「磁気テープのトライボロジーと研究開発を通じて学んだこと」
ソニー株式会社 仙台テクノロジーセンター代表の大崎博之さんの特別講演会が行われました.講演会のタイトルは以下の通りです.
本公演会は,日本機械学会北陸信越支部の特別講演会として開催されたものです.
講演の内容は以下のようなものでした.
一般家庭では,ほとんど使われなくなったテープ媒体も,実は,放送局での最終送出時や,ますます需要が高まるディープ・アーカイブなどのプロ領域では,今でも主流の記録媒体であり続けている.今回は、テープ媒体の新規開発時に,重要な要素となるトライボロジー特性と技術マネジメントを通じて学んだ開発の進め方について私見を述べる.
トライボロジーに関しては,摩擦の起源としての凹凸説と凝着説の解説から始まり,テープで問題となる真実接触部のメニスカスまで丁寧に説明して貰いました.メニスカス力が優勢になる範囲では,一般的な摩擦の法則が成り立たなくなるとのことでした.
一方で,若い技術者のために,なるべく多くの仮説を立てなさいとの,仮説のすすめがありました.これは講師ご自身の長年の開発経験から気づいたこ とのようです.優秀な人物は仕事を進める際に多くの仮説を立てることができるようです.若い学生さんにはこのような姿勢で研究に励んで貰いたいと アドバイスをして貰いました.