特別講義 「グローバル経営と課題」
講 師 信越化学工業株式会社 森俊三 社長
2016年1月20日(水) 14:40-16:30
新潟大学工学部101講義室
講演内容
1)信越化学グループの概要
2)化学メーカーでの”機械屋”の役割
3)事業運営とカントリーリスク
4)質疑応答
本学科のOBでもある信越化学工業且ミ長 森俊三氏をお招きしまして特別講義を開催しました.約240名の学生が参加し101講義室が一杯になりました.
最初に,信越化学工業の概要説明がありました.塩化ビニル樹脂,シリコンウェハー,シリコーン樹脂,レア・アースマグネット,合成石英,メチルセルロース,合成性フェロモンでは国内外のシェアがほぼ1位という説明でした.
それから,機械屋の役割としては,種々の製造プラントを建設するときには,機械の知識を持った人材が必ず必要になるとのことでした.ご自身の若いときに,パキスタンやニカラグアなどの過酷な環境で工場を建設した実例を挙げて分かりやすく説明して頂きました.動力源がなく何事も人海戦術で作業をしなければならない環境で,学生時代に習った手動ウィンチを思い出して,現地で製造したところ,100人分の人力を賄えたエピソードは事上磨錬の良い例として学生に伝わったものと思います.
カントリーリスクのお話では,純粋な経済リスクの外に,国際政治のリスクも否応なしに降りかかってくるということで,グローバル展開している企業にとっては避けて通れないことのようでした.しかも,そのような状況でも,事前にリスクを察知して回避してゆく手腕が問われるのです.そのためには,日頃から多方面にアンテナを張っておく必要があるということも述べておられました.
質疑応答では,「会社に入られた時から社長になると決意してたんですか」,「若いときの座右の銘はなんですか」,「今迄で一番苦労されたことは」といった質問が学生からなされました.森社長からは,「与えられた仕事をいやと思わないで,その中にやりがいや,楽しみを見つけて一生懸命仕事をこなすことが大事」,「失敗を恐れないで,自分の頭で考えて工夫を凝らしたことを進めて行かなければならない」,「最後は人の和が大切で,その関係作りに腐心すること」など示唆に富む内容のアドバイスを頂きました.
気がつけば2時間に亘る講演はあっという間でした.最後に学生全員の盛大な感謝を示す拍手のもと特別講演を終了しました.
将来の社長もきっとこの中にいることでしょう.