第2回英文輪読7月17日



川崎 大原 鈴木 横山 後藤

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'川崎'訳

「BIONIC CONNECTIONS」

義手と神経系をつなぐ新しい方法ができれば,それにより義手をまるで本来の腕のようになめらかに操作することが出来るようになるだろう。

SF映画の最も象徴的なシーンの1つにルーク・スカイウォーカーが何気なく彼の新しい義手を点検するシーンがある。スターウォーズの主人公はピストンの伸縮によって指を動かしている。そのピストンは手首に沿って開いた部分から見ることが出来る。また彼はロボットの外科医に針で指を刺されたのを感じていた。この義手はスカイウォーカーの思ったとおりに動くだけでなく,本当の手のように“感じる”ことができる。
人間と機械の実際の結合部は視聴者には見えないが,私たちのような神経科学者には,まさにその隠されたインターフェースこそがこのシーンのメインであるといえる。その結合部に求められるのは,脳からの神経インパルスを義手への電気信号に変換,またその逆を行えることである。映画の世界を除いて,どのように神経と電線を繋げば本来の体の延長のように義手を動かせるのか解決できた者はいない。
うまくいかないのは驚くことではない。1つに,義肢の電子回路を制御する電線と神経では,全く異なる種類の信号を送ることがある。電子機器は導体や半導体,トランジスタの電子の流れに依存するが,神経系は細胞膜の脱分極が起こり神経細胞どうしの隙間に伝達物質が放出されることに依存する。もう1つには,接続には電線などの電子部品を体に埋め込む必要があるが,通常そのような埋め込まれたものは身体が異物とみなし攻撃を誘発してしまい,インターフェース周辺に瘢痕組織が出来て,機能を崩壊させてしまうことがある。
しかし,ここ数年のナノテクノロジーと組織工学の進歩によって,この2つの問題は対処がされてきている。私たちや他の研究者たちは,義肢の電子回路と神経で直接信号をやり取りさせることの開発よりも,むしろ義肢と神経の間に新たな”ブリッジ“を設けることに取り組んでいる。神経系には変化する環境に順応する能力がもともと備わっているので,接続にはその利点を利用する。実際には最近の研究によってルーク・スカイウォーカーのような,脳で感じ,脳で動かせる義肢の開発という目標に近づいてきている。

運動の感覚の入力の結合
 よくも悪くも義肢の設計は,最近ではアフガニスタン紛争やイラク戦争のような武力衝突の結果として大きく進歩をしてきた。ただ数年前までは義肢開発は上体より下半身(義足)に重点が置かれていた。それは,ビンを開けたり,コンピュータのキーボードをたたく義手の開発より,歩いたり走ったりできる義足を開発する方が簡単だったからだ。2006年の米国防高等研究局(DARPA)の義肢革新プログラムの立ち上げから高性能の義手の開発が大きく進んでいる。
 高性能の義手を設計するときの課題のひとつは,手の精緻な微細運動制御を少なくとも部分的に再現する必要があることだ。それを行うには脳内の自らのメンタルマップを利用できるようにする必要がある。このメンタルマップを使って腕をコントロールする特定の筋繊維に神経信号を送り,手や腕からの圧力,位置,負荷,運動量,力についての神経信号を受け取り,その信号がどこから発せられたのかを知覚している。この感覚のフィードバックから脳は何か動作を実行するのに必要な力を出すのに使う筋繊維の数を決定する。
 本来の手足では運動信号と感覚信号がともに作用してその間で自己受容性感覚として知られる感覚が生み出される。この感覚があることで実際には目に見えなくても,身体の各部位が空間の中のどこに存在し,互いにどんな位置関係かがわかることができる。自己受容性感覚がなければ,ペンで字を書くような簡単に見える作業さえほぼ不可能となるだろう。脳から手へ,手から脳への調和のとれた神経信号のおかげで,手をペンまで動かし,静かにペンを持ち上げ,なめらかに位置を移し,軽くペンを接地させて字を書くことができる。
 現在までに様々な種類で,間接運動制御が可能なロボットハンドが開発されている。例えば,切除した腕の先端部や胸部の筋肉を繰り返し伸縮させ,それをトリガーとして義手を動かすものがある。しかし目標として生体工学者は本来の運動神経に接続しコントロールができる義手を作ろうとしている。運動神経は腕が切断されても死んでしまうわけでなく切断面まで後退するにすぎないのである。
 だが,運動神経の利用は単なる展望の一部にすぎない。今日の優れた義手をもってしても多くの単純な作業ですら困難だと証明されている。なぜなら義手から脳へ感覚信号が送られないからだ。肢端切断者は自己受容性感覚でなく目で見てフィードバックして,義手にそれぞれの動きを意識して指示を出す必要がある。この程度の出来ではぎこちなく遅い動きしかできない結果となり,シャツのボタンをかけるような作業を行うのでさえ,集中力と時間が必要とされ,疲れ果ててしまう。
 そうして重要な目標となるのが,神経と義手をつなぐインターフェースを設計することであり,そのインターフェースでは運動と感覚の情報を双方向に直接伝えることができる。そのような神経工学的なインターフェースがあれば直感的な操作ができ,本物の腕と同様,感じる機能がある義手が開発されるだろう。私たちを含めたいくつかの研究チームがこの目標に向けて研究に従事している。自分たちの得意分野や課題に合わせて様々なアプローチを採択しているが,おそらく多くの研究者の見識と技術革新が組み合わさることで目標に達することができるだろう。

2つの主となるアプローチ
 まず第一歩として,身体と義手の間のインターフェースを作るには,それを神経系のどこに位置取るかを決める必要がある。設計には2つ選択肢がある。中枢神経系(脳あるいは脊髄との接続)か,ずっと外側の(主に脊髄と体の各部位をつなぐ神経である)いわゆる抹消神経系である。
 現在までほとんどの研究者は脳をスタート地点として考えていた。体内への侵入が最も少ないアプローチは頭皮の上や頭蓋骨のすぐ下の脳の表面に設置した電極によって神経活動を読み取る方法である。電極が脳から電気信号を拾い,それをコンピュータが解析し,意図した動作のための信号を出す。これらの方法では脳に穴を開けなくていいという利点がある。しかし,これらは,他の電子機器の干渉を受けやすくある。この電気信号は脳の実際の活動をだいたいで再現したものなので,どの動作が生じるかをコンピュータが予測するのが困難である。
 最も脳への侵入があるアプローチでは,脳の外装部に微小電極アレイを挿入する。(用いられる微小電極は普通,直径が人間の髪より細い,高密なシリコンの探針状のものである。)直接的なインターフェースとして,このアプローチではきわめて正確で多くのデータが用意できるという大きな利点がある。このデータには各神経細胞の「発火」の強度や頻度も含まれる。この考え方では得た情報を専用ソフトウェアを使って解析し,適切な動作への変換をおこなう。このような詳細な情報が得られることで,理論的には,義手の高精細な制御が可能になるだろう。
 脳への直接接続はすでに多くの人間で試験がおこなわれている。1つの例では,脳卒中で麻痺を負った女性がロボットアームを使い,動かし方を考えただけで器を使ってコーヒーを飲むことができた。そして,2012年DARPAは新たな案件を立ち上げた。数人の腕を失った人の脳に電極を挿し込み最新式の義手を操作させるというものだ。この2つのケースは,神経細胞の記録をとる電極は電線で接続されていて,それが頭蓋骨から出ている。信号は高性能コンピュータによって解析しロボットアームに指示を伝える。最終的には研究者たちは,受信者側がコンピュータとつながらなくていいように,無線で情報を送り義手を動かせるようになることを目指している。望ましいのはコンピュータを体内に埋め込むことだが,残念ながら十分小さな高性能なコンピュータはできていない。
 もう1つの問題がある。脳組織が挿し込まれた電極を異物とみなし,炎症反応を起こし,やがて電極周りに微小な瘢痕組織ができてしまうのだ。瘢痕組織ができていくことで,モニターできる神経細胞の数が指数関数的に減少していく。そして時間とともに信号の弱体化が進み,情報量が少なくなっていく。幾人かの患者では,電極が埋め込まれた後数年にわたり1個から複数個の神経細胞の記録を録り続けたという報告もあるが,これらのケースは例外である。研究者はいま,脳内の異物に対する激しい反応を最小限に抑える方法を探している。

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'平'訳

「BIONIC CONNECTIONS」

周辺的な利点
 そのような挑戦は、我々2人に末梢神経系を利用するように促した。中枢神経系が1000億の神経細胞から成るのに対して、末梢神経系の大部分は軸索という繊維が束になって形成されている。軸索とはニューロンの細胞体から伸びた非常に長い突起で、1mに及ぶものもある。中枢神経系と身体の各部位を結び、電気的信号を伝えている。 こうした末梢神経繊維の一部は、脊髄から筋肉に接続して、脳から脊髄にいたるまで信号を送ることによって運動機能を制御させる。他の末梢神経繊維は、感覚情報(肢位、温度または触感)を身体から脊髄に送り、その情報は脳に伝えられ、総合的に処理される。
肢の切り株の残っている感覚神経は信号を送り続けるので、まるで無くなった腕や脚から、入力信号を受け取っているようになり、多くの切断者は、彼らの失われた腕や脚がまだそこにあるという感覚がある(複合性局所疼痛症候群または幻肢)。もし、あなたが、それらの誤作動している感覚神経の軸索を義手につなぎ、義手から神経に強い信号を送れるようにできるのなら、脳は入ってくる信号を人工的な腕、手や指から来るものとすぐに理解する。
 同様に、末梢神経系の運動軸索は、運動を指示する能力が残っている。脳にはこのような様々な運動信号を以前とは別の動作を指示するように振り分け直す能力があるので適切に接続された義肢に自然な動きを指示できるようになる。 問題なのは、それらには接合できる生物学的目標が無い限り、末梢軸索がより長く成長しないことだ。さらに、中枢神経系と同様に、身体は、末梢神経に挿入される電線にひどく反応する傾向がある。
 ノースウェスタン大学のTodd Kuikenと彼のグループは、人間のボランティアで、この問題に独創的な回避方法を示した。彼らは、腕の切断部位と義手の電子回路の間の一種の架け橋として、胸の筋肉を利用した。まず、胸の表面付近にある筋肉につながった運動神経をごく一部だけ切断し、それらの筋肉に脳から信号が伝わらないようにした。次に、脊髄と切断された腕のいくつかの部位をつないでいた運動神経の軸索を慎重に移動させ、処置した胸の筋肉に接続させた。ルートを変えた神経は数週間で胸部筋肉に完全につながる。(または神経を支配する)。存在しない腕を刺激するはずである脳からの指令はその代わりに胸に伝わり、それらの筋肉が収縮する原因になる。
この点において、電極は、筋肉が収縮するとともに、個々の筋肉の電気的活動を記録するために、胸の皮膚に置かれる。その記録は、順番に脳からきている信号を間接的に明らかにする。これによって義手を制御する。患者は数週間の訓練で、望む動作を思い浮かべるだけで義手を動かせることができるようになる。例えば、コップを握ろうと思うと胸で特定のパターンの筋肉の収縮が起き、そこから義手の電子回路に指を曲げる指示が伝わる。  Kuikenと彼のグループは、このアプローチ(目標とされた筋肉の神経再支配)を今は手足を失った大勢の人々に使った。しかし、この技術が本当の手や腕のような自然な動きを再形成するために必要な細かい制御を提供できるかどうかはまだ不明だ。

NEURAL BRIDGES
 義手の高精度の制御法を追及していくと、身体と義手をつなぐ新たなタイプのインターフェースが必要になると我々は考えている。幸い、切断された神経が軸索を伸ばす相手は筋肉だけではない。他の神経に向かっても伸びる。そして、相手が移植された神経であっても、いわば自分の仲間として受け入れるのだ。このように、そこで我々は6年程前から切断部位の軸索と義手の電線を橋渡しするのに筋肉ではなく、移植した神経線維を使う方法を探り始めた。
そのような神経ブリッジをつくるためには、患者の軸索と電子回路の間のギャップを埋めるくらい十分長さである神経繊維に成長させる方法を見つけ出す必要がある。著者のうちの1人(スミス)は、培養皿でニューロンの軸索を伸ばて必要な長さにする技術を開発した。このプロセスは、通常の急成長の間、神経の自然な能力を利用する。この種の「伸長成長」でもっとも極端な例の1つはシロナガスクジラの脊髄の軸索で起こる。そして、それは一日につき3センチメートル以上を伸ばすことができて、長さ最高30メートルに達することができる。
方法はこうだ、我々は培養皿にあるニューロンを2つに分けて、毎日少しずつ離していく。中央の軸索は伸ばされて、その結果、張力を打ち消すために両方向に成長する。この自然な機械的プロセスを利用して、1日につき1センチメートルの先例のない試用賃金で軸索の束を範囲栽培することができる軸索伸長装置を我々は開発した。そして、それらが10センチメートルの長さや最終的にはさらに長くなるだろう。このように引き伸ばした軸索を使って私たちが最初に試したことの1つは、外傷や手術などで切断された末梢神経系の修復だった。
脚の神経が切れたラットに、引き伸ばした軸索の束をその端が神経の先端近くに位置するように移植した。すると切断された神経の軸索が伸びてきて、移植した神経ブリッジに沿って成長した。実際、軸索の多くが少しずつ伸び、麻痺していた脚の中まで達して神経が完全に復活し、ラットは再び脚を動かせるようになった。
 これに加えて、神経ブリッジが免疫反応を誘発することなく、移植後の後、少なくとも4ヶ月の間すべて残存すると、我々は決心した。本当に、我々の神経ブリッジがネズミで非常によく働いていたので、我々は今、ブタでそれらを試している。そして、それらの実験がうまくいったなら、我々は最近で主要な神経損傷を受けた人々でトライアルを始めるつもりだ。
切断された軸索を刺激し、効率よく再生する方法を実証できたの、義肢の電子回路と信号をやり取りできるような、より複雑な神経ブリッジの開発に着手した。我々が考えたのは身体から異物として認識されない非常に細い導電性フィラメントを神経ブリッジと併用する手法だ。
いくらかの試行錯誤の後、我々は様々な伝導性のポリマーを使ったフィラメントをつくることにした。1つはポニアニリン(電流を伝えることが長くしられていた。他の研究では、身体に異物として認識されないことが報告されている窒素系有機化合物)だ。現在のところ、少なくともげっし動物の研究において、そのような専門ポリマーは、免疫系から生じる強い拒絶反応を引き起こすように見えない。
次のステップは、それらのマイクロフィラメントの一端の周囲に研究室で成長したニューロンの束を誘導することであった。その後、ホスト神経の方に向かって軸索を伸ばし成長する。(マイクロフィラメントの反対側はワイヤレス送信機によって義肢につながっています。)理想的には、切断部位からの軸索は我々の伸ばされた軸索に沿って成長して、フィラメントと接触します。そして、それは、電気信号を切断部位の運動軸索から拾って、電子回路にそれらを運びます。同様に、各種のセンサーの信号はフィラメント上に伝わり、そして、ブリッジになった感覚軸索を減極して、それによって情報を脊髄と脳に伝わります。ネズミにこのアプローチを使って、我々は、ストレッチ成長神経組織がホストの再生軸索をポリマーフィラメントの数十ミクロン以内へ導く経路を提供するということがわかった。異なるフィラメントが一方向(肢下)に向かって神経の信号を記録し、他の方向(脳側)に向かって神経を刺激することができるように、それらは、とても近い位置にある。つまり、我々は、装置を2種類の異なるプラグとつなぐ単純なアダプターコードを作成した。我々の生体組織(ニューロンと伸長成長軸索)と非生物学的導電性フィラメントから成るハイブリッド接続コードは、一方の側に義肢の電子回路を、もう一方の側に切断部位の軸索をつなぐことができる。
これまでのところ、これらのハイブリッド接続コードは、移植後少なくとも1カ月の間は生き延び、ホスト神経との統合を維持し、そしてそれは、生き延びず、統合を維持できなければ数日のうちにハイブリッド接続コードを破壊してしまうため、免疫系が容易にそれらを許容していることを示唆している。さらにより長い時間での実験が進行中である。

NEXT STEPS
 有望な間、神経工学への我々のバイオハイブリッドアプローチは、まだ揺籃である。我々は、これらのブリッジがどのくらいもつかについて、まだわからない。また、導電性ポリマーを用いた微細フィラメントを長期的に使ったとき、免疫系がずっと寛容でいられるかどうかもわからない。さらに、我々は神経ブリッジから義肢まで送られる個々の神経信号の感受性を改善するだけではなく、他の電子機器からの干渉を最小限にする必要がある。    たとえ切断部位から義肢までニューロンでつなぐことができたとしても、有意義な方法で義肢から始まる信号を解釈することを脳ができるという保証を我々はまだ持たない。脳がそうした能力をを持つ可能性は高いと考えられる
しかし、そのような精度は、不必要であることが分かる。脳はどの運動ニューロンが何をするかというそれ自身の内部の地図を本質的に書き直す。そして、それが結局新しい手の制御を得ることを可能にする。同様に、神経系との関連があるロボットハンドを動かすことは多分、脳を広範囲に再訓練することを必要とするだろう。
 義手・義足の制御における更なる進展は、本部と末梢神経系の研究の進歩の組み合わせを必要とするだろう。それでも、直接大脳を利用することによって脳と先進の人工補綴の間で直結を形成し、バイオハイブリッドの中の再利用された胸の筋肉または連結を通して、ブリッジは、それが優雅に動く義手がある最高の機会を提供して、切断される前の腕と同じように自然であると感じる。ルーク・スカイウォーカーと彼の新しい腕の間のインターフェースが帝国逆襲で決して明らかにされなかったが、科学者はそれがどのように構成されてることを探る研究は着実に前進している。

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'大原'訳

「Mind in Motion」

身体麻痺の人々が,ある日,ただ考えることによって彼らの手足を操作するかもしれないという考えは,もはやハリウッド風のファンタジーではない.

 2014年,世界中の何十億人の観客はブラジルワールドカップの開幕戦を,ブラジル代表によってゴールが決められたり相手にレッドカードが出されたりすることよりも記憶に残すだろう.その日に、脳からの電気信号でロボットの手足を制御させる技術の開発を専門にしているデューク大学の私の研究室が、身体麻痺克服の重要な段階を示す予定だ.
 もし我々がいまだ直面している手ごわい課題を解決したら,10代の身体麻痺患者にワールドカップの記念すべき最初のキックを蹴ってもらうかもしれない.その患者は対戦チームを両側につけ,ロボットのスーツに身を包みピッチ上をゆったりと歩く.そのスーツ(我々はエクソスケルトンと呼んでいる)は10代患者の脚を覆うだろう.彼または彼女のピッチ上での最初の数歩は,キッカーの脳が出す運動信号によって制御されるだろう.運動信号は患者が背中に担いで運ぶノートパソコンサイズのコンピュータユニットに無線で送られる.エクソスケルトンはまずキッカーの体重を支えることができ,そしてロボット義足を前後に滑らかに動かし始め手入れされた芝生を歩かせるために,このコンピュータは電気の運動信号からデジタルの運動指令への変換を担うだろう.それから,ボールに近づいたキッカーは,脚をボールに触れさせることを想像する.0.3秒後,脳の信号はエクソスケルトンの義足をボールの下に引っ掛けさせ,ブラジル人風に,ボールを空中に蹴らせるだろう.
 ヨーロッパとブラジルの協力を受けている根本的に新しい技術の科学的な実証は,機械の脳による制御は実験や未来の空想から,怪我や病気によって障害を持っている患者の運動能力を器具で回復させられることが実現する新時代に移ることを,世界中の数十億の観客に伝えるだろう.ひょっとすると今後10年以内に,脳を機械装置や電子機器,バーチャルマシンに接続する技術を開発できるだろう.この発展は,事故や戦争の犠牲者だけでなく,筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの,腕を伸ばしたり,手を握ったり,移動したり,話したりすることが困難になる病気の患者の運動も回復させるだろう.神経人工補綴装置(すなわち、ブレイン・マシン・インターフェース(脳介機装置))は科学者に身体障害者を助けさせるだけではないだろう.これらの装備で健康的な人に知覚能力や運動能力を増幅させる能力を与えることによって,画期的な方法で世界を探検できるようになるだろう.
 この未来の筋書きにおいて,自発的な電気的脳波(人間の思考の基礎となる生物学的言語)は大小のロボットを遠隔操作したり,遠くから飛行船を制御したりできるだろう.そしてひょっとすると,一個人の思考や感覚を集団の脳を基礎としたネットワークを介して他人と共有することですら可能になるかもしれない.

思考機械
 キッカー(今までのところ選ばれていない)に着させる予定のその軽量ボディースーツは,まだ開発中である.考えられたプロトタイプは現在,私のよき友人であり協力者である,ミュンヘン工科大学のゴードン・チェンの研究室で組み立て中だ.ゴードン・チェンは「Walk Again Project」の創設メンバーのひとりで,この計画は,デューク大学神経工学センターやローザンヌのスイス連邦工科大学,ブラジルのエドモンド&リリー・サフラ・ナタル神経科学国際研究所の間の非営利的な国際的協同計画である.世界中の主要な研究所や大学からいくつか新しい機関が,今後数ヶ月の間にこの国際チームに加入する予定だ.
 その計画は,ここ20年間で,デューク大学でのブレイン・マシン・インターフェース(脳介機装置)の先駆的な研究を土台にしている.その研究自体は,科学者が初めて,神経信号がコンピュータに送られ,それによって機械装置で運動を始めるという命令が発生するかどうかを見るために動物の脳を利用した1960年代に生まれた研究である.1990年から今世紀の最初の10年を通して,デューク大の仲間と私は,微細ワイヤとして知られている毛髪のように細くて柔軟な何百本ものセンサーをネズミとサル両方の脳に移植する方法を開拓した.過去20年間にわたって,かつて移植されたしなやかな電気的なセンサーは,微弱な電気信号または活動電位を見つけることができることを示してきた.電気信号(活動電位)は動物の前頭葉や頭頂葉のいたるところに分布する何百もの個々のニューロンによって生み出される.前頭葉や頭頂葉は,随意運動の発生を担う広大な脳回路がある領域である.
 10年間,このインターフェースは,動物実験において,脳の信号をロボットの腕や手,脚の動きを生み出すことに使ってきた.重大な発見が昨年あった.我々の研究室の二匹の猿が,仮想世界で物に触れた際に,各々の猿の脳への直接的な「人工感覚」フィードバック信号も与えたが,コンピュータが作り出したアバターの腕の動きの神経制御をすることを覚えた.そのソフトウェアは我々が,動物たちが彼らの脳によって直接制御された仮想の指で物に触れることがどのような感触か感じさせることを可能にした.
 神経科学者やロボット研究家,コンピュータ科学者,神経外科医,リハビリテーション専門家などの国際チームによって支援されているウォーク・アゲイン・コンソーシアムは,これらの動物実験の結果を利用して,重度の身体麻痺患者を訓練し回復させる完全に新しい方法を開発し始めた.ブレイン・マシン・インターフェース技術を使用する方法だ.実際,未来の式典のキッカーに向けた非常に小さな最初のステップは,Cave Automatic Virtual Environment(CAVE)という,高度な仮想現実の空間の中で起こるだろう.CAVEは,床や天井を含んだ全ての壁がスクリーンの空間である.キッカーの候補者(この技術の最初の繰り返しのために体重の軽い10代患者が必要)は,3-Dゴーグルや(脳波検査法や脳磁気図検査法として知られる技術を通して脳波を非侵襲的に検出する)ヘッドピースを身につけた後,あらゆる方向に広がっている仮想環境に浸かるようになるだろう.そこでその若者たちは,単独での思考によって,ソフトウェア上のアバターの身体の動きを制御できるようになるだろう.アバターで引き起こされた動きは複雑さが少しずつ増加し,最終的に変化する地形を歩いたり,仮想のジャム瓶の蓋をはずすことのような細かい動きをさせられるだろう.

ニューロンへの接続
 エクソスケルトンの機械的な動きは,ソフトウェア上のアバターと同じように容易く操縦できないため,技術や訓練はより複雑になる.ロボットの四肢を操るには脳に直接電極を埋め込む必要があるだろう.我々は,頭蓋内に電極を配置するだけでなく,大脳皮質のいたるところで同時に「読み取られる」ニューロンの数を増やすことも必要だろう.多くのセンサーは,運動野に埋め込まれるだろう.運動野は,脊髄(ニューロンはそこから直接我々の筋肉の働きを制御し調整する)に通常ダウンロードされる運動プログラムの生成に最も容易に関係する前頭葉の領域である.(精神と筋肉間の相互作用が,EEGのような脳活動を記録する非侵襲的方法によって達成されるかもしれないと考える神経科学者もいるが,その目標はまだほとんど達成されていない.)
 デューク大での私のグループのゲーリー・レイヒューは新型のセンサーを考案した.埋め込まれたときに,皮質の三次元的体積の至る所で信号を拾うことができる立方体だ.ニューロンの電気的信号を記録する先端をもつ微小電極が平面上に配列された構成の以前の脳センサーと違って,レイヒューの立方体は,中央シャフトの全長にわたって微細ワイヤが上下左右に突き出ている.
 我々の記録立方体の最新版は,1000本までの活動的な記録用微細ワイヤを含んでいる.一本の微細ワイヤで少なくとも4〜6個のニューロンが記録できるから,立方体全体では4000〜6000個のニューロンの電気活動を捕らえることができる.それらの立方体数個を前頭葉や頭頂葉(高度な動きの制御や決定を下すことを担う領域)に埋め込むことができたとすると,我々は何万個ものニューロンのサンプルを同時に得られるだろう.我々の理論上のソフトウェアモデリングによれば,この設計は,二本の脚をもつエクソスケルトンを操作することや,患者の自律神経による運動を回復するのに必要な,柔軟な動きを制御するのに十分である.
 また,センサーからの多くのデータを処理するために,さらに我々は特別設計の新世代ニューロンチップの製作を進めている.それらは微小電極と共に頭蓋内に埋め込まれ,エクソスケルトンの全身をうまく操るために必要な生の運動指令を取り出すだろう.
 もちろん,脳から検出された信号は次に,義肢へ伝達される必要がある.最近,デューク大学大学院博士課程学生のティム・ハンソンはセンサーとチップを備え付けた128チャンネル無線記録システムを開発した.頭蓋骨に埋め込むことができ,そして記録された脳波を離れた受信機へ伝えることができる.これらのニューロンチップの最初のバージョンは,現在猿でテストされ,うまくいっている.実際,我々は最近,脳信号の無線通信を使用することで,24時間ブレイン・マシン・インターフェースを操作する最初の猿を目撃した.七月,我々はブラジル政府に,人間にこの技術を使用する許可を申請した.
 未来のキッカーの場合,記録システムからのデータは、背中に担いだ装置に含まれる小型コンピュータ処理装置に無線で送られるだろう.複数のデジタルプロッセッサーは,稼動部やロボットスーツの関節の至る所に分布したアクチュエーター,エクソスケルトンの人工四肢の位置を調整するハードウェア要素を制御できるデジタル指令に,運動信号を変換するさまざまなソフトウェア・アルゴリズムを動かすだろう.

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'間'訳

「Mind in Motion」

思考の力
 指令は着用者のエクソスケルトンが一歩歩いたり、速度を上げたり下げたり、腰を曲げたり、階段を登ったりをさせる。義肢の大体の位置調整はエクソスケルトンの電子機器回線によって神経系の入力信号なしに直接操縦できる。宇宙服のようなこの服は柔軟性を持っている、それでもやはり着用者の背骨の代理をする構造が備え付けてある。信号を操作する発達した脳とアクチュエータによって与えられた電子的反射神経の相互作用のすべての利点を利用することによって、私たちは意思でブレインマシンインターフェースがワールドカップキッカーを思い通りに動かせるようにできることを望んでいる。
 キッカーは動くことだけでなく、地面を感じるようにしようとしている。エクソスケルトンは特定の動きから感知する力の総量と脊髄から脳に伝える情報を合体させる超小型のセンサーによって触った感覚と平衡感覚を複写する。キッカーはつま先でボールをタッチする感覚を感じることができるようになるのだ。
 私たちは10年の長いブレインマシンインターフェースの研究でキッカーがエクソスケルトンと相互作用を始めればすぐに脳は本当の自分自身の体のイメージの延長線上としてロボットの体を組み入れ始めるだろうと思っている。訓練によって、地面とロボットの足が付く位置の連続的な接触感覚から得られた蓄積された経験からピッチ上を歩いたり歩道を下ったりする動きが可能になるだろう。この計画のすべての段階は人間で始める前に動物実験の中で継続的で厳しいテストが必要である。加えて、すべての手順で科学的で倫理的な見方でしっかりと保証するブラジル、アメリカ、ヨーロッパの規制機関のテストに合格しなければならない。すべての不確実なものが複雑にあり初の公共の場でのデモンストレーションの完成に必要とする時間も少ないのと同時に主要な記念行事のようなものに達する簡単なアイディアはブラジルの科学の以前ではある程度しか見られなかった社会好奇心に刺激する。

  遠隔操作
 ワールドカップもしくは最初の期限に何らかの理由で間に合わないなら2016年リオデジャネイロで開催されるオリンピックとパラリンピックのようなイベントの開幕蹴りはただの人気取りの時間よりも大きなものがある。この技術で可能になるもののヒントはすでに完成された二つの要素を含むサルの実験から拾うことができる。前置きとして、2007年にさかのぼり、私たちデューク大の研究チームはアカゲザルを200以上の大脳皮質ニューロンの電気的活動を記録すると同時にトレッドミルの上を姿勢良く歩くようにしつけた。その間にゴードンチェンは京都にある知能ロボティクス研究所で私たちが直接神経細胞の流れを人型ロボットのCB1の電子コントローラーを使う京都に送ることができる極めて速いインターネットプロトコルを作った。全世界のこの実験の前半部の中でチェンとデューク大の私たちのグループは以前に思考をロボットの腕のコントロールに翻訳するために開発したソフトウェアのアルゴリズムと同じようなものを二つの機械義足で歩くようにする複雑な二足歩行の神経活動パターンに変えることができると示した。
 この実験の後半部はより大きな驚きをもたらした。私たちの実験で使うサルの中の一匹であるイドヤがノースカロライナ州のダーラムのデューク大でトレッドミル上を歩いたとき、私たちのブレインマシンインターフェースはチェンの京都へのインターネット接続を通して彼女の脳の電気的活動の継続的な流れを映した。それでほとんど直ちにCB1はそれらのモーターのコマンドを看破し、より良く歩き始めた。CB1は初め腰にいくつかの支えが必要だが後半の実験でCB1は地球の反対側のサルによって生じた脳から得られた命令からの反応の中で自主的に動き始めた。
 その上、デューク大のトレッドミルが止まり、イドヤが歩くのを止めた時でさえ彼女は京都でCB1の足の動きのコントロールをただライブビデオでロボットの足の動きを観察し、CB1がとるべき一歩一歩の歩行をイメージするだけでCB1歩けていた。イドヤは彼女自身の体がもはやモータータスクに携わらないにも関わらずCB1を歩かせるのに必要な脳パターンを作り続けている。この大陸を股に掛けたブレインマシンインターフェースのデモンストレーションは脳から得られた命令を生物学上の脳を収容した体の物理的制約から解放することと行動が生じる元々の思考から遠く離れた人工デバイスに命令を送ることによって人間もしくはサルが簡単に空間、力、時間を超越することが可能であることを明らかにした。
 それらの実験はブレインマシンインターフェースが人間の直接理解できない環境に送り込まれたロボットを巧みに操作することが可能になると暗示している。それは例えば私たちの思考が体の中の顕微鏡手術道具を扱ったり、人型労働ロボットに原子力発電所の放射線漏れの修理をさせたりすることだ。
 そのインターフェースは私たちの体の許容範囲よりも強い力や軽い力を生み出す道具を操作しそれによって個人が使うことのできる力の総量の制限を壊すことができるかもしれない。サルの脳と人型ロボットをリンクすることで時間によって課せられた制限はすでに取っ払ってある。これはイドヤの思考が自身の足を動かすのに必要な時間よりの少ない時間である0.02秒で世界中を周るからである。
 遠い未来のビジョンが人を感激させるのと同時に私たちのサルを扱う仕事は私たちの計画成功に自信をつける。これを書いたとき、私たちは対麻痺を持つ子供もしくは大人が2014年ワールドカップの開幕戦のオープニングセレモニーに参加するという私たちの計画をそのセレモニーを企画するFIFAが許すかどうか分からず書いている。FIFAの許可をまだ待っているブラジル政府は試験的に私たちの申請を許可している。
 私たちの理想が実行される前に官僚的な財政困難と科学的な不確定要素はたくさんある。しかし、私は麻痺のあるブラジルの子供が自分の意思で立ち上がったり歩いたりし究極的にボールを蹴り科学的に忘れられないゴールの得点するのを30億人が目撃し、短時間であるが熱帯の緑の芝のサッカーピッチで歴史的な一歩を踏み出すと想像して止まない。その美しいゲームを極めた土地で。

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'鈴木'訳

「SPACESHIP HUMANITY」

将来の世代はどのように地球から他の惑星やはるかかなたを旅するのか.
そして人類のとる手段は何か.
著:キャメロンM.スミス

2011年にスペースシャトル,アトランティスが退役したとき,人類の宇宙飛行が終わることを心配していなかった.それどころか恐竜の絶滅によって初期の哺乳類の繁栄がなされたように,スペースシャトルの引退が宇宙探査のためのとても壮大なチャンスの始まる前兆となる.野心的な民間企業のLedによると,私たちは地球外への人類の移住と新天地への適応の初期段階にいる.火星はPayPal社のイーロン・マスクの公言している目標である.極地探検家のトムとティナ・シェーグレンは火星に行くために民間のベンチャー企業を作った.ヨーロッパでは民間で2023年までに人間の集団居住地を設置するMarsOneプロジェクトが設立された.宇宙への移住は現在始まっている.
 しかし技術は不十分である.宇宙への移住を長期期間成功させるには,私たちは工学と同じぐらい生態と文化についてもよく考えなくてはならない.移住はロケットとロボットだけでは不可能である.個人,民族,家族,コミュニティー,文化についても留意しなければならない.私たちは曖昧で,乱雑で,生き生きして,しばしば腹立たしい人間のバイオ文化的な適応の世界に取り組むために,宇宙移住の人類学の形成を始めなければならない.そして私たちはこの新しい冒険の計画をたてなくてはならない.一方で,生き物に関して時代とともに進化によって変化してきたという明白な事実について覚えておかなくてはならない.
 三つの主要な構想が宇宙への移住の最近の考えを形成している.一つ目が火星への移住である.気が短い宇宙工学技術者や火星協会のロバート・ズブリンによって広く公開されているが,火星の居住地は水や酸素,建築資材まで現地の資源を利用することで自給自足できるだろう.二つ目の構想は月や惑星の金属から作られた巨大な浮遊性の居住施設である.1970年代に物理学者のジェラルド・K・オニールによって広められたこの居住施設は数千人の人を収容し,地球のような重力を作るために回転できる.そして地球の周りを回るか,ラグランジュ点と呼ばれる点に止まっていることができる.そのラグランジュ点というのは物体の公転運動が太陽と月と地球の引力とつり合う点である.三つ目がスペースアークの構想を考慮したものである.スペースアークは地球から程遠いため片道に数世代かかる旅で数千人の移住者を輸送する巨大な宇宙船である.私は目標を計画するだけのために非営利財団のIcarus Interstellar と共に活動した.
 これらの手段にはそれぞれ利点がある,そして私はこれらのことはすべて科学技術的に必ず起きることだと思う.しかし私たちは決して宇宙への移住と宇宙征服を混同してはならない.この私たちの想像を超える世界は想像を絶するほど広大である.その広大さは今までもそしてこれからも変わらないでしょう.人類が宇宙に家を作り始めるとき,私たちにどのような変化が起きるだろう.

先駆者たち
誰が宇宙への移住者になるか.私たちは乗組員選抜の古い考え方やThe Right Stuffに描かれているような宇宙のヒーローを選ぶ滑稽で極悪非道な試験を捨てなければならない.宇宙への移住者は計画に参加するのではなく,自身の生涯を送るであろう平凡な家族やコミュニティになるでしょう.本当に初期の移住者たちは農家や建築家のような人たちになるが,私たちは数人のキャプテンPicard(映画:スタートレック)のような人が必要である.  さらに,初期の移住者は遺伝学的に健康でなくてはならない.少ない人口では遺伝的病気を持つ人は数百万人の人口を尽きさせはしないが,将来を脅かす可能性がある.スペースアークでは,移住者の生物的宿命は設立時の人々の遺伝子構成により強力に定められる.もし,たった数人の移住者が遺伝性疾患を持っていたら,その遺伝子は完全に広まってしまうでしょう.
 私たちは現在,癌から難聴に至るまで病気を引き起こす数百の遺伝子の詳細を把握している(最近の研究者はヒトの胎児から3500以上の特徴を検査することが出来ると言っている.).遺伝子検査プログラムは疑う余地がないように思われる(もし問題のある遺伝子を持っていたら地球上に残ればよい.).しかし命はそんなに単純ではない.多くの疾患は無数の遺伝子の複雑な相互作用の結果であるため,多起源である.そして,たとえそのような疾患の遺伝子を持っているとしても,一生の中で出くわす環境要因によってそれらの遺伝子が健康に活性化するか,不健康に活性化するか決定される.
 例えば,人間のATRX細胞は酸素を輸送するのに関連した過程を制御するのを助けています.しかしATRXの活動は食べ物や精神状態など多種多様な環境的影響により変えられてしまう.ATRXの機能がかなり変更されると,酸素の輸送が妨げられ精神障害や発育不全を発症する.したがって,皆が持っているATRXによって人々を単純にふるいにかけることは出来ない.そうはいうものの,環境要因がほとんどわからないにも関わらずATRXがおかしくなるヒトもいる.何か起こるかもしれないからといって宇宙への移住から誰かを除外できるだろうか.
 問題を複雑にするが,私たちは遺伝子プールの遺伝的多様性の大きさをも保障しなくてはならない.もし移住者のメンバー皆が遺伝子学的に同一であるならば,一度の病気の蔓延が全員を死滅させるかもしれない.(この考察は1997年の映画ガタカに描かれているような,遺伝子学的に人工で作られた優秀民族による宇宙旅行者の概念を打破する.) 一度ふるいにかけるとしたら,宇宙移住者はどんな人でなければならないだろう.火星の居住地では,人々は新しい領地に進出し拡大できる.しかしスペースアークでは人口が比較的少なく,近親交配が心配事である.たとえばアーミッシュ,インド人,スウェーデン人,ユタ州の住民での研究で近親間での子は親族でない人の間の子と比べ幼児死亡率が約2倍になった.
 これらの問題を回避するために,私たちは健康的な遺伝子プールを維持するのに必要な最低限の人口を検討しなくてはならない.生存可能な最低限の人口については盛んに議論されてきたが,ある人類学者は500人だと提案した.少ない人口は常に絶滅の危険性があるため,私は少なくとも最低4倍の人口2000人またはその半分の数の空母の優れたスタッフで始めることを提案する.宇宙船にはこの人口が生活するのに十分大きい部屋がある.人類が地球から離れるための安全は人の数で獲得される.(星間の旅でさえ他の太陽系にいくことや人口を増やせる星への居住に焦点を当てている.)
 また,私たちは移住者の年齢や性別といった人口構造も慎重に考慮しなくてはならないだろう.私の同僚のウィリアム・ガードナー・オカーニーのシミュレーションによるとある程度の男女と年齢の割合から始めた人口は数世紀にわたってより良くなる.
 その結果,将来の人々に新しい環境に適用の可能性がある遺伝子の最良のチャンスを与えるために,初期の移住者は個々に健康で全体的には多様であるべきである.しかし私たちは全てをコントロールすることは出来ない.私たちがすでに地球で子供を生むときにしているように遺伝子のさいころを振らなくてはいけないことそしてゆりかごである地球から出発しなければならないことがあるだろう.

宇宙での淘汰
 どんなに気をつけて準備しても,少なくとも最初は,地球外で暮らす居住者たちは危険にさらし,もしかすると現在の命を縮めるかもしれない.地球から離れて人々は現代的な生活を取り除かれ,自然淘汰の力にさらされる.この淘汰は私たちがSF映画で期待するような劇的な展開はしない.そしてその映画は大人の生命に焦点をあてる傾向にある.それよりむしろ,胎児や幼児の組織が発達する重大な期間にそれは起こる.そしてこの期間は人生で最も繊細な期間である.
 その淘汰は展開するのだろうか.一例を挙げると,過去数百万年を費やしてヒトの体は約15ポンド/平方インチ(psi)の海面レベルの気圧の下,約80%の窒素と約20パーセントの酸素の混合の中で呼吸し,進化してきた.しかし宇宙の旅は生きるのに必要な圧力より高くするために高価で多くの時間と労力を要する居住空間が求められる.地球外の気圧は地球より低いので,工学的要求を和らげるだろう.
 同意するが,(アポロの宇宙飛行士は5psiの中元気に生き延びた.)もし気圧を下げても現在呼吸している割合まで酸素を増やさなくてはならない.(アポロの宇宙飛行士は月探索のとき酸素100%で呼吸した.)
残念ながら,低気圧と高い酸素濃度は共に脊椎動物の胎児の成長を妨げる.少なくとも当面の間は,流産や幼児死亡率を高める.必然的に,淘汰は地球外環境に適合性のある遺伝子を守り,適合性の低い遺伝子を削除するだろう.
伝染病(宇宙の居住地のように規模が小さく人口密度が高いところではとりわけ攻撃されやすい)重要な懸念,主要で新たな淘汰圧として再来するだろう.私たちが予防接種や権益でどんなに気をつけても,伝染病は最終的に移住者たちに広がるだろう.淘汰の結果として生き抜く力が少ないものが対抗することで,病気に対してさらに生存能力を強めるだろう.
最後に私たちが覚えておくことは、私たちと共に食料や材料になる数千の動物や植物も連れて行き、それらも淘汰圧を受けるということである.ヒトに付いたり,体の中にいる数百万の微生物種も同様である.そしてそれは私たちの健康に必須の目に見えないヒッチハイカーである.(2012 6月のScientific American,“The Ultimate Social Network”ジェニファー・アッカーマン著を参照)
いくつかの予測を基に,私は5回の30歳世代(約150年)のうちにそのような変化が地球外の人間の体に起こると思う.
生物学的適応進化は私たちが作る居住地の大気や化学的環境に依存するところが大きい.私たちは大体においてそれらをコントロールできる.しかし私たちは宇宙でのヒトを形作る他の2つの大事な因子である重力と放射線を簡単にはコントロールできない.
火星探索者は地球の三分の一の重力を感じるでしょう.このような状況は移動に要するもて余すほど大きい力を減らすためによりしなやかな体になる.私たちは地球の重力に対抗するために比較的筋肉の発達した体をしている.スペースアークやその他の浮遊性の計画では重力は普段の地球と同じだろう.そのため地球のヒトの体型は存続する.
 放射線は突然変異を引き起こす,そしてどんな宇宙の居住地でも地球の大気や磁場のように放射線から守ってくれるものは与えられないだろう.増大する突然変異は身体的異常(5本以上の指のように重なった器官や口蓋裂のような奇形を引き起こすのか.確かに私たちはどんな効果があるかわからない.私たちが自信を持って唯一予測できるのは放射線障害によって増やされた抵抗するための淘汰です.他の人よりも遺伝子修復メカニズムが優れていて活発な人がいる.そのヒトの遺伝子が勝ち残りそうである.
 より効率的な遺伝子修復メカニズムはいくつか目に見える相互に関連のあるものがあるのか.例えば髪の色とか.これもまた私たちは知らない.しかしそのような目に見える相互に関連するものがなくても有益な遺伝子の特徴を広めることは可能である.比較的小さいコミュニティーの少ない人数の間で交配する南ダコタのフッター派(キリスト教の一派)の間で,人々は相手選ぶ際,体臭に強く影響を受けるであろうということ人類学者は発見した.そして魅力的でより良いにおいの相手はその人の免疫システムに良いことがわかった.
 控えめに言うと,5世代の時間スケールで,それらの環境によってヒトの体型が微妙に新しい形になる.私たちは標高高いアンデスやチベットの原住民(より効率的な酸素輸送生理機能に発達してきた)が上記の道理に従って結果としてより広く,厚さがある肺となる適応を目にするだろう.しかしながら,それぞれの変化は危険にさらすことである.この高高度の住民は高地で出産するとき,高い幼児死亡率に耐えている.
この生物学的変化のために母親が子供を生むために酸素が濃い標高までおりるという文化的適応が続けられてきた.私たちは地球外でも似たような生態的文化を期待できる.そして最も起きそうな生態的文化を計画すべきである.例えば火星では,妊婦は軌道上のステーションを往復する.そのステーションでは1Gの重力がかかるように回転しさらに地球の大気で分娩ができる.しかし私は最終的には面倒はなくなり,独自の火星のヒトの特質に進化すると主張する

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'関'訳

「SPACESHIP HUMANITY」

宇宙に基づく環境
150年の期間で文化的な変化は生物学的な変化よりもよりはっきりするだろう。人間の移行の研究は、移行している人々はアイデンティティを維持するためにいくつかの伝統を続ける傾向がある間、彼らも必要に応じて新しい環境で新しい伝統と習慣を考案している、と私たちに教えた。たとえば、紀元後800年始めてアイスランドを植民地にしたスカンジナビア人は、古代ノルウェーの神を礼拝し、古代北欧語を話し続けていたが、彼らが未知の土地の資源を調査したので、肉を大量に使ったり(スカンジナビアでライムギとオート麦が成長したのに対して。)、厳しい冬を生き抜くために保存された食品などすぐさま特有な料理を開発した。
 火星では、この文化の変化は数えきれないほど使い尽くされるだろう。気圧が低いので、特徴的な構成する材料と配列が含まれている酸素が豊富な空気は、おそらく新しいアクセントと訛りによって起こる発音とスピーチのぺーシングにさえ影響をもたらすような微妙なものとは異なって繁殖させるように思われる。より軽い重力は、コミュニケーションの大切な要素であるボディランゲージに影響を及ぼせ、すべての種類のパフォーマンスも影響を及ぼすだろう。文化的な相違は、そのような小さな数えきれない違いが蓄積されて起きる。
 スペースアークのシナリオでは、さらに重大な文化の変化は、宇宙船が急いで離れる瞬間、地球での暮らしをする必要が少なるところで起こる。ここでは、宇宙と時間の基本的な概念はむしろ速くよく変わることができた。たとえば、スペースアークの文化はどのくらい長く地球上での時間を使用するだろうか?地球の日、夜、年なしでは、文明は10進法の時間スケールを発明するかもしれない。もしくは遠くの太陽系が従来の(決して帰らない地球からの出発のような)イベントからより高く達するまでカウントダウンすることを決定していたかもしれない。

長期の遺伝的な変化
 著しい遺伝的な変化は、集団において新しい遺伝子が広まったときおこる。古くからの例は、牛の家畜化の後まもなくアフリカとヨーロッパで独立的に現れた大人の乳糖不耐症という遺伝子の広がった結果である。この遺伝的なものは牛から由来するより多くのエネルギーとし、これらの人々において、それはすぐさま一般的になりもしくは固定された。
 しかしながら、集団遺伝学が私たちに、どのくらいの長さで宇宙探検家のゲノムに固定されるかを見積もさせるかという変化を私たちは予言できない。私の計算では、ある年齢と性別の2000人の集団に基づいた火星モデルは2,3世代や間違いなく300年以内に起こりうると示す、私たちはこの人間の時間スケールで重要である最初の地球から離れた物理的特性を予期できる。これらの変化は、私たちが異なる背丈、肌の色、髪質やその他の特徴のスペクトルのような今人間として見えるような幅広い地理的変異の状態でいるだろう。
 火星では、ある人々がより大きな機動性を提供された表面の生息地に住むために、増加する放射能のリスクを負っている間、いくつかの人々が地下の生息地で守られている彼らの大部分の人生で生きることを選ぶことによって更なる内部の相違があるかもしれない。スペースアークのシナリオの限られた集団は、閉ざされたシステムで、遺伝子への固執はおそらく火星でよりよい均一性で進むことがより早く起こる。
 ところが、若干の生物学的な変化があるかもしれない、長期間の文化的な変化はより重大なものとなるだろう。1600年代前半から1900年代前半までの3世紀に、英語が17世紀の頃の英語の教科書を理解するためには特別な訓練を必要とする事を考えて、3世紀後にスペースアークで話される言語はまったく違うかもしれない。
 大規模な文化の変化もまたありそうです。正確に人類学上でほかの文化から一つの文化を分けることは、重大な議論となるテーマであるが、私は人類学者のロイ・ラパポルトが区別を明白にしたと信じている。異なる文化は異なる「最終的な神聖な仮定」を持っている。人々の重要な哲学と道徳的な規則を作る伝統と行事によって染みついた主要な概念は、たいてい疑いがなく問題にされていない。たとえば、キリスト教での、ひとつのそのような仮定は「はじめに、神は天国と地球を作った。」そのような、地球からはなれて信念の創設を変化させるためにどのくらいかかるだろうか。を答えるのは不可能だが、数世紀は間違いなく新しい文化を起こさせるのに十分な時間だ。

地球外での人の高まり
 いつわれわれはもっとたくさんの基本的な生物学的な種形成な変化を見れるのだろう?1200年代後半海賊船が普通のハツカネズミを落としたことによってフェロー諸島を放浪する普通の大きなねずみによって証明されたとして、小さな集団だと早く変化できる。しかし解剖学的に現代の人間は、明らかに生物学的種形成なしでアフリカから多種多様な環境へ移るために、(砂漠から開放的な海まで)100000年以上過ぎた。(低温順応のネアンデルタール人と私たちより実質早い共通の先祖の分裂である見るからに西大西洋にある華やかな島の人間が小型化されたホビットのような我々に最も近い人族の生物、)これは主に私たちが生物学単体よりも適当な文化と技術を使用するからだ。そして、それはどんどん生産的に地球に住む人たちと結婚ができなくなってきたような地球外の人々を作り直すための重要な自然と、文化的な選択を適用しました。
 もちろん、人間は自分自身の種形成を考案します。地球から離れた人々は、彼ら自身の体を多くの状況に合うように変えるDNAの驚異的な力を利用することは結局は避けられないようだ。おそらく、火星の人々は医学的に、大気中の二酸化炭素から酸素を分けるえらのような構造を作り出すか、低気圧から守るために肌組織などを硬くされるだろう。彼らは意識的な選択によって、地球外の人として自分自身を新しい種にするかもしれない。

どこで始まるか?
 人間の宇宙への移住は多くの工学的および技術的な前進が十分に必要となる。われわれは、人間の生物学と文化が、どうやって新たな状況と適応し、宇宙移住の成功を助ける知識を使うかという理解を改めなくてはならない。私は直ちに3つの行動方針から始めることを提案する。
初めに、新たな放射、圧力、大気と重力環境の中での人間の再生、発展、成長の重要な問題を理解するために、我々は専門技術者の人間的な嫌悪感を捨て、また地球から離れて生殖を始め、そこでの誕生を与え、子供の育成をはじめなければならない。官僚などは初の地球外で住む人々の(自転車のヘルメットのようなもろい装備のような複雑なリスクを超える)リスクに巻き込まれたこどもたちからひるむだろうが、重要なことは宇宙へのアクセスが民営化されて少なくなるだろう。まだ、時々宇宙への改作に骨が折れるだろう。が、誕生するだろう。
 つぎに、われわれは地球から離れて家庭的な成長と健康の維持を実験しなければならない。私たちは、微生物、植物と動物なしではどこにも行けません。
 そして、これらの2つの目標を促進するために、X-Prize(微生物のいる軌道に乗っているが、人々が植物を栽培することができて、動物を育てることができて、子供たちがいることさえできる研究所)は最初の機能的な地球から離れて人間が住みよい生息地として認められるべきだ。大半はそのような場所で滞在する予想にぞっとするが、同時に、ボランティアの不足することもないだろう。
 最後に、我々は、現在までの人間の生き残りを可能にした率先的な導入を再び取り入れ、また地球の向こうで我々自身の進化を形づくるその能力を使わなければならない。われわれは、官僚たちよりも大胆にでなければならない。1936年にH.G.ウェルズが地球以外のように我々が絶滅した時の欠点として人間の未来について書いた「all the universe or nothing」

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'横山'訳

「Space exploration(The low-cost ticket to space)」

宇宙探査で最も頭の痛い問題のひとつは50年もの間我々が宇宙に行く方法がほとんど変わっていないということである.そのせいでいまだに宇宙へ行くことは高価でまれなままである.海洋学者が日常的に深海に潜ったり、地球物理学者が北極や南極に冒険するのとは違い、宇宙関連の研究者は日常的に宇宙へ行き研究を行う段階まで達していない.

上記のような状況は変わっていく見通しである.
営利目的の宇宙飛行の出現はごく最近、スペースX社によって製造、運営されているドラゴン宇宙貨物カプセルの国際宇宙ステーション(ISS)のための発射成功によって脚光を浴びている.-おそらく宇宙調査は一変するでしょう.科学者たちは安価な発射経費、現在よりもはるかに頻繁に宇宙へ行き軌道上で彼らの個人的な実験を行う機会を享受する.これらの前進はNASAや、日本およびヨーロッパの宇宙関連機関など、大手の宇宙調査機関の助けになるだけではなく、世界中の国々、学術機関、企業など幅広い範囲の人々の助けとなる.
私が最初に商業用宇宙飛行に興味を持ち始めたのはNASAで宇宙および地球の科学論を担当する準管理者のときだった.
それ以来私は、商業宇宙飛行企業に助言したり、Google Lunar X Prize(GLXP)に参加する2つのチームのチーフサイエンティストになったり、テキサス州のサン・アントニオ市に拠点を置いているサウスウエスト研究所を通して研究用宇宙飛行チケットを購入した. 私は商業用宇宙飛行が成長していくのを直接まのあたりにした.
今後2.3年の間に登場する多くの民間宇宙システムは、宇宙に関する研究者に新しい可能性を提供するだろう.宇宙に関する研究者は、第二次世界大戦後に敵であるドイツから接収したV2ロケット(ロケットと言ってもミサイルのこと)を転用して以降目的のためには面子にこだわらずに手段を選ばない.現在の計画のいくつかは失敗するかもしれないがほかのものは成功するものもあるだろう.しかし、予算の締め付けや費用超過、そして宇宙へのアクセスの長い停滞という現代の状況を踏まえると、いくら早く成功しても遅いくらいだ.
2010〜20年代はちょうど1950〜60年代のように宇宙探査する方法にとって重要であると私は確信しています.実際、われわれはすでに進行中の革命を目撃しています.
軌道に乗らないフライトから国際宇宙ステーション(ISS)もしくはもっと先の軌道しかしそれは科学者にも席を提供します.準軌道飛行(直:軌道に乗らない飛行、弾道飛行とも)から ISSやその外の謎の世界との関係はここ数年で変わっていくだろう.
準軌道飛行の将来
NASAの宇宙飛行計画の中で最も生産的、しかし不運にもほとんど知られていないものはおそらく準軌道飛行であろう.何十年もの間、この準軌道飛行プログラムは毎月1.2回の短時間の宇宙作戦のため使い捨ての無人ロケットの打ち上げを行ってきた.それは科学者たちに数分間彼らの実験用計器を宇宙空間に打ち上げるものであった.このように短くて簡潔な飛行にもかかわらず、準軌道飛行計画は太陽物理学、高層大気の科学、天体物理学や彗星の研究の鍵となる科学的な成果を生み出しました.それに加え、10億ドル規模の計画に取り掛かる前に新しい宇宙船やセンサの試験をすることが重要であると証明し、米国でもっとも洗練された天文学者、大気学者や惑星計画のリーダー数人を含む無数の宇宙実験主義者を訓練してきました.
過去20年以上、科学界は急峻な飛行頻度の増加を要求してきたが、NASAの準軌道飛行プログラムの打ち上げの割合はいまだにイライラするほどに低いままである.
理由は数多くありますが、彼らの注目はその費用に集まっている.これらの計画一回あたりの平均費用は250万ドルであり、NASAの準軌道飛行プログラムの予算内ではより高い割合で打ち上げることは不可能です.
それでも(エックスコア・エアロスペース、ヴァージン・ギャラクティック、アルマジロ・エアロスペース、マステン・スペース・システム、ブルーオリジン)のような、新しい、再利用可能な準軌道飛行ロケットの出現は準軌道飛行研究のペースと生産性の両方を大きく進歩させる可能性をもたらしている.

どのようにしてこれは可能になったのだろうか.
第一に、ロケットが使い捨てではなく何度も打ち上げできるので、これらの企業は劇的に飛行経費を下げることができ、打ち上げ頻度を高くすることができました.この二つの進歩によって、宇宙の研究はPC革命がコンピュータ・クリエイティングを変えたように亜宇宙へのアクセス革命の影響を与えるでしょう.
NASAは現在、一年に20〜25回準軌道飛行を行っている.準軌道飛行会社ヴァージン・ギャラクティック社の最初のロケットはおそらく一日に一回程度の頻度で飛行するだろう.そして一度の飛行で六つのペイロードラックもしくは六人の研究者(、あるいはその混合) を乗せることができます.(荷物2、人間4でも可能という意味)この会社は年に2000回の実験の機会を提供できました.
ヴァージン・ギャラクティックはこの新しいマーケットにおいて唯一の会社ではない.エックスコア・エアロスペースはヴァージン・ギャラクティックの最も手ごわいライバルの一つである、一日に4回程度再利用可能ロケットを打ち上げるようになるだろう.この会社のいくつかのロケットはすでに韓国やキュラソー(カリブ海にあるオランダの構成国)などの国に貸し出されました.頻繁に飛行することがどれほど早く宇宙という研究分野を成長させるかを想像してみてください.たとえば、生命学者は現在手に入れている一握りの研究データから大きく上がり、毎年何百もの宇宙飛行士のデータを手にすることができる.
当然のことながら、高い打ち上げ頻度のみが革命をもたらしているわけではない.もう一つの再利用可能システムの鍵となる特徴は低コストという点だ.
ヴァージン・ギャラクティックは200ポンド(90kg)の荷物または研究者を乗せた打ち上げを20万ドルで行っているがこれは通常の気象観測用ロケットの打ち上げの10分の1の費用で打ち上げるということです.エックスコア・エアロスペースやアルマジロ・エアロスペースは10万ドル前後を提示している.
再利用可能ロケットの革命は新しい種類の科学を生み出すでしょう.
たとえば、研究者が未知域と呼ぶ、航空機や気球では高くて行けず、逆に人工衛星では低すぎて地上に落下してしまう科学的には重要な高高度の大気圏に行くことができればレッドスプライトやブルージェットと呼ばれる謎に満ちた高高度放電現象を研究できるようになる.
これらの新しいロケットは研究者や彼らの荷物を搭載して飛行できるという革命的な能力があるという点が大きな利点である.
宇宙時代の始まり以降初めて宇宙研究はほかの分野の研究が長い間楽しんできた領域(科学者がロボティクスなしに即座に、彼ら自身の研究を行える研究所環境)に突入しようとしている.
こういう話は、サイエンス・フィクションのように思えるかもしれないが、いくつかの研究機関ではすでに研究者と機材の搭乗予約をし始めている.1950年代に観測ロケットによる研究が進んだのと同じように2010年代中盤までには次世代の準軌道飛行技術が開花し頻繁に打ち上げできるかもしれない.これだけでも劇的な進歩といえないだろうか?答えは“YES”です。しかし弾丸飛行は宇宙研究の第一歩でしかないのだ.

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'後藤'訳

「Space exploration(The low-cost ticket to space)」

歴史上NASAの軌道科学のミッションで使われているアメリカで打ち上げた乗り物(ペガサス、アトラス、デルタロケット)に1990年代後半からコストの面で二倍以上かかっている。ペガサスロケットに搭載された小規模の科学ミッションに打ち上げるために約1500万ドル費やした。それは今4000万ドル以上かかっている。そして最大のペイロード、いわゆるアトラスVのような重量物運搬機を運ぶことができる最高峰の価格であるロケットは1億5000万ドルから3億5000万ドル程度かかる。
 宇宙科学の予算は資金カットとコスト超過の間で絞り、NASAの科学計画の支配人はより安価な民間の打ち上げ参入者が思いがけない幸運であることがわかった。例えばスペースX によって作られたファルコン打ち上げラインを考えなさい。政府が今は無いアレスロケットの発射台を建てるために使った費用よりも少ない費用で会社はファルコン打ち上げラインの構想、設計、開発、試験、使用可能になることまでした。スペースXは実際に競争相手の中型リフトのデルタUにかかるコストの約半分の6500万ドルでFalconを提供する。そして2014年までにスペースXはFalcon HeavyかFHと呼ばれる非常に大きいFalconを打ち上げることを計画している。FHは最も大きいアトラスやデルタロケットが持ち上げられる二倍の重さを持ち上げられるが、競争相手の価格の三分の一よりも少ない1億ドルである。
 歴史上、NASAは一年に三回から五回軌道科学ミッションを打ち上げている。Falcon Heavyに乗せてこれらのミッションのちょうど半分を送ることは五年にわたって20億ドルから30億ドルを節約する。これらの節約は別の惑星へのいくつかの新しいDiscoveryクラスのミッションまたは天文学と太陽物理学に使われた10回前後のSmall Explorerのミッションを行うのに十分である。これらは新しい旗艦火星ローバーと同種のCuriosityに資金提供するのさえ十分である。
商業的宇宙企業の開拓しているもう一つのコストを抑えるオプションは民間飛行便のピギーバック方式の科学的ペイロードの能力である。例えば、第二世代のIridium communications社の通信衛星群の72機の宇宙船は顧客が支払うことへ余地を提供する。主要なミッションは発射、衛生費、科学機器への支払いの端数だけ提供する。現在この「hosted payload」構想はブティック市場のままである。科学的手段が搭載されている通信衛星に合って、彼らの専門軌道が動くときだけそれは作動する。そして自身の専用衛星が要求されるミッションや大きい望遠鏡にとって便利でないことは明白である。それでもそれは今衛星派遣団を管理し打ち上げるのにかかる何億ドルの代わりに何千万ドルでささやかなペイロードを打ち上げる機会を作る。

月と火星を目指して
 これらのピギーバック方式のペイロードはすぐに地球軌道を超えて科学機器を持ってくることができた。ヨーロッパ、北米、アジア、他の地域からの二ダースを越えるチームは、グーグルのLunar X PRIZE競争に参加した。それは最初に商業ロボットの月面着陸任務を達成したチームに3000万ドルを超える価値のあるすばらしい財産を与えるだろう。[見る‘月に向かう’Michael Belfiore著、Scientific American2012年4月]。
 Moon ExpressやAstroboticのようなチームは月に科学的ペイロードを持ってくるという契約にもうサインしている。これらと他の会社はただの最初のデモンストレーションミッションとしてLunar X PRIZE自体を見なす。長期間での目標は何億ドルも持っておらず、月に着陸する科学経験は無いが誰か他の証明された着陸船のペイロードの寝台を買う資金を持つ国や研究者から安定した収益の流れを生み出だすこと。1000万ドルのチケットは最近の過去の10億ドルの政府率いる派遣団よりまだ100倍安い。
 たくさんの月や惑星の科学者はこれらの価格に楽観的で、意義深いことにより多くの国々が月へ実権を送る余裕を持つことができる。「五番目の地球型惑星」(地球、火星、水星、金星の後の)を研究する中で第二のルネサンスを創る。
 火星に月を見据えてSpaceXは当初火星へ大きいペイロードを運ぶためにISSへ運ぼうとしていたDragon capsulesの修理の可能性について議論している。これは最近の火星着陸船より何億ドルも少ない費用になるだろう。もしSpaceXがアイディアをNASAや海外の宇宙局に売ることができたら、世界中の宇宙局が火星探索を続ける余裕を持つのに苦労している時、火星探索を実行する安価な新しい方法を生み出せるかもしれない。

私的宇宙空間
 地球上の194の国の約90%はISSのパートナーではない。したがって大きいステーションへ実際に近づくいい予想もできない。中国、インド、韓国のような国々のために私的商業宇宙ステーションは国家の威信は言うまでも無く、微重力、基礎物理学、科学技術の試験、宇宙生命科学のために宇宙を利用する最善の策かもしれない。
これらの努力の間で知られている最初でおそらく最高のものはBigelow Aerospaceの私的宇宙ステーションである。多くの派手な誇示活動なしで、会社は低地球軌道で二つの宇宙ステーションの原型をすでに建て、テストしている。忙しい六人の研究者たちに寝台を提供することによって、Bigelowの最初に人間が手入れしたステーションは軌道上でいつでも研究者の数を二倍にするだろう。それをする中でBoeingの計画されていたCST-100やSpaceX’s Dragon(どちらもISSに宇宙飛行士を運ぶよう設計されている。)のような私的宇宙タクシーを使うことによって、Bigelowのステーションはアメリカと海外の両方の研究者・機関・会社にSoyuz打ち上げやISS滞在に見積もられている費用の半分かそれ以下の費用でより速く宇宙に近づくよう提供することができるかもしれない。
しかしBigelowはこの追求の中で孤独ではない。Excalibur Almazと呼ばれる第二の会社は予備のソビエト時代の宇宙ステーションモジュールと乗組員輸送機関を使い、似ているがより小さいステーションを計画する。
SpaceX’s Dragon宇宙カプセルは長期間宇宙ステーションで使われるかもしれない。現在、Dragon vehiclesは貨物をISSへ輸送したりISSから輸送したりするためにNASAと契約している。近い将来、彼らは宇宙飛行士も空輸できるようにもすべきである。だがDragon capsulesはずっと多くすることができる。SpaceXはオートメーション化して人を乗せたDragonLab派遣団を計画し、それは地球軌道を飛ぶことができ、内外両方のペイロードで研究を実施して数週間から数ヶ月そこでうろついて、民間宇宙ステーションが提供しそうである費用より安い費用でオートメーション化して人を乗せたDragonLab派遣団を計画する。

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 これらの革新は軌道に乗らない研究、惑星ミッション、地球軌道衛星の全てが十分に発達した年代の1950年代と1960年代から宇宙へ接近しなければならなかった最初の基本的な新しい方法を意味する。それでも私たちはまだ芽を出しかけた商業革命の初期段階である。そして多くの疑問が残る。出現している会社は宇宙科学をどれくらい大きく変えられ、公衆にどれくらい深く感激させ、どれくらい早く起業家に商業的宇宙革命に気づくように納得させるのか。その答えは革新的な研究者と宇宙局はどのようにありえるのか、私たちが宇宙調査をする方法を向上するために商業的宇宙の世界に適応し、それを利用することを彼らがどれくらい速く学ぶか少なからず手段による。 
 本当に既に進行中の商業軌道に乗らなくて軌道の冒険が成功するなら、彼らは太陽系の小惑星、惑星、衛星を探査するためにもう一つの道を開けるかもしれない。科学は極地の地方を開けた個人的な探検から利益を得たほぼ同じ方法で利益を得ることができた。そのような予測は確かに空が制限でない一つの場合である。

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川崎 大原 鈴木 横山 後藤

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