英文輪読第1回

GATHER THE WIND Scientific American 2012.03

佐藤 真平 訳分


風を集めよ


もし再生可能エネルギーが普及したら、私たちは太陽が輝いていないとき、風が吹いていないときのためにエネルギーを蓄えるのによい方法が必要になります。



再生可能エネルギーが直面している大きな問題を見るために、デンマークを覗いてみましょう。この小さな国には世界最大規模の風力発電施設があります。しかしながら、消費者の需要が低いのに風が強く吹くときもあります。そのようなとき、デンマークは近隣の国にその余剰電力を安く販売していますが、もし需要が上昇した場合は電力を幾分高く買い戻すしかありません。結果として、デンマークの消費者は世界でもっとも高い水準の電気料金を支払っています。



ここでは再生可能エネルギーを余剰な時には保存し、必要なときに取り出すことができるエネルギー保存システムを紹介します。




蓄熱槽

・規模設定性3.6

・費用対効果3.6

・エネルギー効率3.0


長所:どこにでも設置可能

短所:高価、長期間のエネルギー保存が難しい


 太陽光が継続して降り注ぐ地域では、太陽のエネルギーを保存するのと同じように、集光型太陽光発電施設は経済的な発電方法になり得るでしょう。パラボラ状のミラーの列が太陽光を列を平行に走る長いパイプに集光し、パイプ内の鉱物油などの流体を加熱します。この油は、水と熱交換し蒸気を発生させ、その蒸気がタービンを回し電力を発生させます。太陽が沈むと、加熱流体はタンクにためることができるので、ゆっくりと冷えていく間数時間は発電をするに必要な蒸気を発生させることができます。

 

 数多くの集光型太陽光発電施設がアメリカとヨーロッパにあります。しかしながら、熱エネルギーをより長く保存するために、イタリアにあるアルキメーデ太陽光発電所は、シチリア島シラクーサ近郊に油に代わりに融解塩を用いる技術の実証のための施設を作りました。「摂氏400度までの油に比べ、融解塩は摂氏500度まで過熱することが可能なので、太陽が沈んでからより長く蒸気を発生させることが可能です。」とアルキメデス太陽光発電所ビジネス開発および販売主任のPaolo Martini氏は言います。続けて、「5立方メートルの融解塩は1MWhの電力を保存でき、これは12立方メートルの油に相当します。」ドイツのソーラーミレニアム社は、スペイン・アンダルシアに出力調整可能なアンダソル1融解塩型システムを2008年から操業しています。2011年6月には、24時間連続太陽光発電という偉業を達成しました。

 

 現在、集光型太陽光発電による電力は、天然ガスによる火力発電の電力の2倍の価格になっています。しかし、業界の長期的計画においては、熱伝達流体の化学的側面も含めて発電プラントの微調整をすること、そして規模の経済によって、集光型太陽光発電10年以内には天然ガスによる発電と競合できるようになると予想されています。サハラ砂漠のような、殆ど雲が見られないような適所に建設されることで成功を収めることができるでしょう。

 もちろん、風力発電やその他の方法によって生み出された過剰なエネルギーによっても、流体を加熱し、後で発電することが可能です。蓄熱槽方式は"熱"の代わりに"寒"を用いることも可能です。コロラド州ウィンザーで生まれた氷エネルギーと呼ばれるこの方法では、電力が豊富な夜に氷を作っておき、昼間のうちはその氷を溶かして空調や換気のシステムに冷たい液体を供給するシステムを販売しています。一日のもっとも暑い時間帯における空調システム網の電力需要を賄うため、大規模小売店のような商業的利用を目的としたいくつかの顧客がこのシステムを導入し始めています。

上野 勇人 訳分



 多くの国々はすでに揚水発電を実用化している。中でも、アメリカはすでに揚水発電によって20ギガワットを発電してきた。

この伝統的技術は逆流操作が可能のふたつのダムを必要とする。余剰電力は、下方のダムから上方のダムへ水をくみ上げる際に

使われる。水は発電用のタービンブレードを回転させながら下方のダムへと流れ落ちる。仕事率はほぼ80パーセントである。

 アメリカでは、国全体の発電容量の約2パーセントを、38の揚水発電施設によってまかなっている。その割合はヨーロッパの国々の

5パーセントや、日本の10パーセントという数字に比べるとはるかに小さいことがわかる。しかし、企業には工場の近くにダムを作る計画がある。

「高低差と水さえあればいい。」オハマのHDR先任の副学長リックミラー氏は言う。また、現在の容量を倍増させる多くの計画が考えられていると彼は言う。

多くの大掛かりな計画のうちのひとつが南カリフォルニアのイーグル山揚水発電計画である。それは、廃止された鉱山のはずれに、地域全体から集められた

風力発電や太陽光発電のエネルギーを貯蔵するために二つのダムを掘るという計画である。モンタナでは、GrasslandsRenewableEnergysという会社が400mの

絶壁をもつビュートの頂上に、グレートプレーンからの風力エネルギーを貯蔵するための人造湖を建設する計画を立てている。揚水によって増加させられるエネルギーは、

本来地形によって制限されている。大きく、高いところにある水鉢は、水で満たされいなければならないが、それは生態系にダメージを与えうる。

 デンマークやオランダのような国々は、地形が平坦過ぎるという問題がある。オランダのエナジーコンサルティング会社Kemaは、“エネルギーの島”という根本的な考えを

思いついた。それは、岸から設置された誘導式の壁をもつ人工的なため池を浅い海につくるという計画である。余剰電力は、水をため池の外へ排出するのに利用され、電力需要が

高まった際は、水がタービンブレードを回しながらため池の中へ流入するというしくみである。つまり、海は高い側のダムの役割を果たすわけである。

 サンタバーバラにおける重力を用いた発電方法は、どんな場所にも設置ができるという特性を持つ。地中に深い垂直の穴が掘られ、重いシリンダーが底に設置されている。

そして、水がシリンダーを持ち上げながらシリンダーの下側に満たされていく。底に設置されたトンネルの弁が開き、水がタービンを回しながら流出することによって発電する。

佐久間 俊介 訳分



圧縮空気発電

                           

アラバマの田園の地中深くのエンパイアステートビルの半分ほどの大きさの洞窟は最も迅速に世界のエネルギーの貯蔵を用意できるものを保有している。それは空気だ。

電気供給が要求分を超えた時、地上において強力な電気ポンプが高圧力で空気を洞窟の中に注入する。グリッドが不足したとき圧縮された空気の一部が外に放出されタービンを通り回転させる。PowerSouth Energy Cooperativeによって操業されるアラバマ州、マッキントッシュにある施設は110メガワットを最大26時間供給できる。これがアメリカで唯一の圧縮空気発電事業だが20年間の実績がある。ハンノヴァーに本拠を構えるドイツのE.ON Kraftwerke社はザクセン州(ドイツ北西の旧公国)のハントーフで類似のプラントを運営している。

 PowerSouth社はで水で塩の層をゆっくりと溶かし洞窟を作った。これはアメリカ戦略的石油保存洞窟が形成されたのと同じ工程である。塩の層はアメリカ南部にかけて豊富に存在する。また、たいていの州は天然の洞窟や枯れたガス田を含む一種かそれ以上の洞窟を保有しており、それは空気を収容できるだろう。

 圧縮空気発電事業の計画はニューヨーク、カリフォルニアを含む様々な州で起こっている。

最近ではデスモイネス近くのアイオワのエネルギー団地を40億ドルで購入することが提案されたが破棄された。なぜなら詳細な調査が砂岩の浸透率を示したからだ。

それは空気を受容できないだろう。

 一つの現実的な課題としては空気は圧縮されたとき加熱し、膨張させられたとき冷却することだ。それは圧縮に使われるエネルギーの一部が廃熱として失われることを意味する。また空気を単に外部へ排出すると空気は冷却し工業用強化タービンを含む触れたものすべてを凍らせるだろう。それゆえPowerSouth社、E.ON社は温風を発生させるため天然ガスを燃焼させる。それは冷たい空気をタービンへの中へと膨張させながら温め、全体のエネルギー効率を下げ、二酸化炭素を放出する。それはいくらかの風と太陽の利益を減らす。

 それら複雑な事柄が圧縮空気の貯蔵効率を制限するため技術者たちは手段を工夫している。一つの方法は空気が暖かい状態を保つため保温することだ。熱は固体か液体容器に移動され後に膨張した空気を再加熱する。ニューハンプシャーに本拠を置くSustainX社は小さな水滴を圧縮中の空気に噴射し、加熱させプールに集める。水はその後、再び膨張している空気に噴射され空気を加熱する。SustainX社は地上のタンクでその行程を説明しました。最近ではマサチューセッツ州、ニュートンでの圧縮は類似の地下貯蔵の方法を発展させ、テキサスのプラントでの大規模なデモンストレーションを計画している。「我々はもう天然ガスを買う必要はない」とデイビット・マーカス社長は言う。