上野 勇人 訳分
多くの国々はすでに揚水発電を実用化している。中でも、アメリカはすでに揚水発電によって20ギガワットを発電してきた。
この伝統的技術は逆流操作が可能のふたつのダムを必要とする。余剰電力は、下方のダムから上方のダムへ水をくみ上げる際に
使われる。水は発電用のタービンブレードを回転させながら下方のダムへと流れ落ちる。仕事率はほぼ80パーセントである。
アメリカでは、国全体の発電容量の約2パーセントを、38の揚水発電施設によってまかなっている。その割合はヨーロッパの国々の
5パーセントや、日本の10パーセントという数字に比べるとはるかに小さいことがわかる。しかし、企業には工場の近くにダムを作る計画がある。
「高低差と水さえあればいい。」オハマのHDR先任の副学長リックミラー氏は言う。また、現在の容量を倍増させる多くの計画が考えられていると彼は言う。
多くの大掛かりな計画のうちのひとつが南カリフォルニアのイーグル山揚水発電計画である。それは、廃止された鉱山のはずれに、地域全体から集められた
風力発電や太陽光発電のエネルギーを貯蔵するために二つのダムを掘るという計画である。モンタナでは、GrasslandsRenewableEnergysという会社が400mの
絶壁をもつビュートの頂上に、グレートプレーンからの風力エネルギーを貯蔵するための人造湖を建設する計画を立てている。揚水によって増加させられるエネルギーは、
本来地形によって制限されている。大きく、高いところにある水鉢は、水で満たされいなければならないが、それは生態系にダメージを与えうる。
デンマークやオランダのような国々は、地形が平坦過ぎるという問題がある。オランダのエナジーコンサルティング会社Kemaは、“エネルギーの島”という根本的な考えを
思いついた。それは、岸から設置された誘導式の壁をもつ人工的なため池を浅い海につくるという計画である。余剰電力は、水をため池の外へ排出するのに利用され、電力需要が
高まった際は、水がタービンブレードを回しながらため池の中へ流入するというしくみである。つまり、海は高い側のダムの役割を果たすわけである。
サンタバーバラにおける重力を用いた発電方法は、どんな場所にも設置ができるという特性を持つ。地中に深い垂直の穴が掘られ、重いシリンダーが底に設置されている。
そして、水がシリンダーを持ち上げながらシリンダーの下側に満たされていく。底に設置されたトンネルの弁が開き、水がタービンを回しながら流出することによって発電する。