REVOLUTIONALY RAILScientific American 2010.05

寺島 陸 訳分




列車が一度定期的に記載されていたことは驚きとなるかもしれない。1935年にコラムニストのクリストファーモーリーが土曜文芸評論のためにそれらの言葉を書いたときにでも鉄道旅行の黄金時代は、間違いなくその頂点にあったといえる。数10本の列車は、シカゴ、モントリオール、セントルイス行きのニューヨークのグランドセントラル駅を毎日出発した。線路の広範なネットワークは大陸に広がり、また、人々、食料備蓄、主要な資源、工業製品を移動した。イギリスのゴールデンアロー号、ヨーロッパのオリエント急行、アメリカのゼファーのような旅客列車は、スピード、パワー、快適さだけでなく技術の進歩そのものを体現するようになった。

もちろん、その時以来60年間は、世界中の州間高速道路や国際高速道路システムと同様に、民間航空機での旅行の到来を包含した。これら両方の輸送手段は発達し続け、今もさらなる進化を遂げようと思われている。このような発展は質問を促す。亜音速交通機やスマートな高速道路上を走る先進的な自動車の世界での鉄道旅行の役割はなんだろうか?

答えは、多くの先進国で、列車は非常に重要な役割を確かに果たすであろうということである。これらの地域では、北アメリカと同じように今まで自動車を頼りにしなかった地域社会でレールシステムはシステムの強化や技術を著しく高めてきた。ヨーロッパやアジアの多くの地域では飛行機よりむしろ電車が、200から600キロメートルの経路の旅行で好まれている。新技術による高速鉄道の利用は10年前から始まり、近い将来先端的な磁気浮上(マグレブ式)列車が加わってくるだろう。鉄のレールと鉄の車輪の鉄道は、現在時速300キロメートルまでの速さで運転されている、そしてマグレブ式は、おそらく10年以内で時速400から500キロメートルの速さで運転できるように開発と試験が行われている。

北アメリカでは、高速鉄道の実現は腹立たしいほど遅れている。インターアーバンや通勤列車サービスは現在、年間旅客マイルの2パーセント未満を締めている。鉄道ははまだ十分な輸送を行っているが、ここでもトラックが優勢な輸送になっている。

にもかかわらず、大都市地域における高速道路の渋滞や、ピーク時の拠点空港の飛行制限に、大陸の移動度が脅かされているという認識が広がりつつある。可動性を支えることと、経済の発展は、鉄道と飛行機や道路交通の組み合わせの更なるバランスを要求する。このようなことから鉄道復興が提案される。数百キロ離れた都市間の大きな旅行回廊地帯に関して、システムの設計研究やルート調査、公共交通機関利用者数の評価に、これまで数千万ドル使われてきた。

このような研究は、他の国では長い経験の記録から成功している。たとえば、日本では1964年、東京大阪間での名高い新幹線が開通した。その後、速度は時速210から270キロメートルまで上がり、東京大阪間の553キロメートルでの旅行時間を4時間から2.5時間に短縮している。日本の新幹線ネットワークは現在、本州北部の盛岡から九州の博多の2045キロメートルに広がり、毎年2億7500万人の客を運んでいる。同じころ、国の地域鉄道会社のひとつのJR東海を先頭に技術発達は続いている。進行中のプロジェクトは、21世紀の最新型鉄道のスーパー列車(STAR21)で、試作機は時速425キロメートルを達成している。

しかしながら、フランスのテジェヴェ(TGV)は世界で一番速い営業列車システムである。フランス国鉄TVGアトランティックは最高速度で時速300キロメートルである。パリがネットワークの中心になっており、北にリールと英仏海峡トンネル、西にツールとルマン、南にリヨンにのびている。TGVはまたスイスに動作する。1992年には、スペインのマドリード、セビリア間の運行が始まり、1998年には韓国のソウル、プサン間も運行することになっている。

ドイツもまたインターシティエクスプレス(ICE)という高速列車を持っており、ハノーバー、ビュルツブルグ間と、マンハイム、シュツットガルト間を現在時速250キロメートルで走行している。日本とフランスのものと同様にこのシステムは、踏切を除外し、高度な制御を用いることで、乗客と公共の安全を最大限に高めながら専用軌道を走行している。

スウェーデンのX2000は違った方法を採用しており、ストックホルム、イエテボリ間の456 kmを最速で時速220kmを達成しており、その車輪の脚から相対的に客室を積極に傾け、既存の鉄道基礎構造を最大限に利用している。この方式は、高速でカーブを曲がる間、乗客にとって不快である横力を取り除くものである。イタリアのETR-450も、ローマ、フィレンツェ間で似たような運転をしている。

北アメリカでは、高速鉄道の経験は、多くは卓上の研究でわずかなものであり、ヨーロッパの技術実演が同業者に刺激を与えている。多くの報告書は、ピッツバーグ、フィラデルフィア間、ラスベガス、ロサンゼルス間、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ間、ダラス、ヒューストン、サンアントニオ間、マイアミ、オーランド、タンパ間、トロント、オタワ、モントリオール間のような回廊地帯には高速鉄道が適していると評価していた。しかしながら、ひとつも建設されていない。連邦政府と州政府が実質的な資金を約束することを渋っているために、経済がわずかであることが予想されるためである。



アムトラック、全米鉄道旅客輸送公社は、重要な線路である北東回廊線の改善を計画している。このネットワークの一部であるワシントンD.Cとニューヨークシティ間は、常に時速200kmの速さで走っており、競合するエアシャトルより多くの乗客を運んでいる。近い将来、アムトラックは回廊地帯で使われる最大で26セットまでの高速鉄道を購入し持続する70億ドルの契約を授与する予定であり、連邦議会の予算交渉次第で、この秋の後に契約を与えることができるかもしれない。いったん線路の改善が終了すれば、もしかすると1999年に、新しい列車が、ボストン、ニューヨーク、そしてワシントンD.C最大で時速225kmで繋ぐだろう。その列車は、たいがい海外の開発者との共同事業で、アメリカで製造される。

垣内 侃 訳分


低空飛行



 高速鉄道の導入が有望な理由のほとんどは既存鉄道技術を改良すること対応できることであり、ほとんどのプロジェクトは既存のインフラを使用することによってコストダウンを図っている。マグレブ‐これは高速鉄道に代わる革命的な交通機関であり、リニアにはない利点がある。マグレブは、車両は磁気により浮上し、誘導され、推進されるという意味の日本語の技術用語である。そのために全く新しいインフラが必要になり、マグレブは主に大きな輸送需要が見込めるルートを見つける必要性があり、潜在的な収益は地上からの摺動面を構築するコストを正当化することができる。


 主な理由はこの障害であり、マグレブは長引く思春期があった。この最初の概念的なアウトラインは、ニューヨーク州ロングアイランドのブルックヘヴン国立研究所の2人の物理学者によって約30年前に発表されました。ジェームズRパウウェルとゴードンダンビーは列車が磁石の超電導コイルによって浮かされることにより、480km/h(300mile/h)を想定していた。しかしながら、実質的にすべての研究開発は10年以内にドイツと日本に移った。それぞれは政府と民間の資金によって異なる方式に発展した。


 リニアでは、車両の磁石を固定するような磁気波を生成しながら走行路に沿って配置した推進コイルに交流電流が供給される。速度は推進コイルに流れる電流の周波数を変化させることで制御される。実質的に、車両の磁石と軌道上のコイルによって1つの同期リニアを構成し、回転運動ではなく直線運動を生み出している。


 このテーマには2つの種類があります。いわゆるリポーション(反発)モード動電システム(磁気反発浮上式)、パウウェルとダンビーによって提案され日本で追求されたもので、車両に超伝導磁石を搭載し、車両の走行により走行路上の地上コイルに電流を誘導させる。この相互作用は軌道上を航空機であるかのように15cmほど浮上させる。実際、日本の場合は100km/hで磁気によって車両を持ち上げることができ、低速走行時は車輪で走行する。


 もう一方のタイプは、ドイツで開発され、アトラクション(引力)モードの電磁システム(磁気吸引浮上式)です。車両に搭載された従来の(非超伝導の)鉄心磁石は、ガイドウェイ構造の下面に取り付けられた強磁性体によって上向きの引力を受ける。このタイプの磁気浮上式は、本質的に不安定であり、車両と磁石の間に1.5センチの隙間を維持するために正確な制御が必要となる。しかし、ひとつの利点は動かないときでも車体を浮上させた状態を維持できることである。したがって、都市と郊外を結ぶためだけでなく長い間使用することが出来る。英国のバーミンガムの空港ターミナルと近隣の鉄道駅との間に1984年に設置された。 


 日本の反発モードシステムは大規模なエンジニアリィング企業の多くと共同で、同国の鉄道総合技術研究所によって開発されています。ML-500Rを含む試験車両のシリーズは、九州の宮崎の近くの7キロのテストコースで1979年に517km/h‐リニアモーターカーの記録‐を達成した。その試作機の後継者は東京に近い山梨県で42.7kmを事前商用試験とデモ用施設で1997年に試験運転を開始する。この二重軌道案内路は運用システムの本質的にすべての側面が500km/hでトンネルを通過するフルサイズの車両を含め、テストすることが出来る。プロジェクトの後援者は商業版が2005年までに東京と大阪間に導入する準備が整うことを期待している。


 ドイツでは、アトラクションモード(磁気吸引浮上式)の“トランスラピッド”磁気浮上システムは1960年代後半から開発共同出資会社化されています。再び試験車両は1980年代初頭にエムスランドで、実証設備の建設につながった。直線の両端にループを持った変則的な8の字形状の延長31kmの軌道はフルスケールの車両が実際の運転時と同じ条件で走れるようになっている。試作車両TR-07は、定期的に400~450km/hを達成し、ほぼ5年にわたり耐久試験されてきました。ドイツ政府は最近、ベルリンとハンブルクを結ぶ新しいラインのための技術を採用した。約2005年までに構築される経路は、統一ドイツでは東西の旅行を高めるためのプログラムの中心となります。



 回転または浮動で300km/h


 高度な地上交通機関では、3つのカテゴリを持っている。高速、超高速、磁気浮上(マグレブ)。このような米国のアムトラックの北東回路のような高速システムでは、従来のスチール・オン・レールの技術で200~240km/h(125~150mile/h)のトップスピードで走行可能である。超高速システムは強化されたホイール・オン・レール技術を用いて、350km/h(218mph)に達すると考えられている。これらは常に電気的に制御され、より高速化するには比較的まっすぐな軌道の平面線形性が必要である。フランスのTGV、ドイツのICE、日本の新幹線はすべて超高速列車の例である。


 マグレブシステムは、従来の電車とはかなり異なる。目標速度320~500km/h(200~310mph)で、軌道に沿って鉄道車両を浮上、誘導、推進させるために電磁力を使用している。高架軌道上のドイツのトランスラピッド、と日本のMLU-どちらも実験的試作機-は高速マグレブ技術の本格的な例です。マグレブ独自の機能は、回転運動というよりはむしろ線形運動を与える同期モーターを使用することである。力は軌道にある推進コイルによって供給される。


 高速マグレブのサスペンションは2種のうちいずれかで採用されている。電磁(EMS)または電気力学(EDS)。ドイツのトランスラピッドで使用されているEMSは、ガイドウェイの下側の車載磁石と走行路上の磁石との引力に依存する。対照的に、電気力学システム(EDS)は反発磁石を用いて軌道上の車両を押し上げる。日本のMLUのプロトタイプで実装されているEDSは、超電導磁石によるもので、EMSが生み出す10倍程度のギャップを作ることが出来る。大きなギャップはガイドウェイの施工精度が多少悪くとも許容される。しかしながら、現時点では、EDS車両の乗り心地はEMSのよりも悪く、より改良が求められる。

柴野 雄介 訳分



 


アメリカのマグレブ;仮死状態


アメリカでのマグレブの研究は1960年から1970年代中ごろまでの短い期間、フォード車、スタンフォード研究所およびマサチューセッツ研究所において研究されたのみで、見切りをつけられた。しかし、そのマグレブの研究は1980年代後半になって再び見直されるようになり、政府はいくつかの技術(極低温学、電力工学、空気力学、制御および車両工学など)をマグレブの技術に応用しようと試みようとして国際マグレブ調査会を発足させた。目標は南アメリカの需要と条件に合うような第二のマグレブシステムであった。1994年には民間の貢献団体の意欲が狩り立たれることなく資金供給が尽きてしまった。そのときには4つの革新的なマグレブシステムが設計されていた。いずれも着工されなかったが、いくつかの興味深いアイデアがあり、中には、同時推進といった新しい方式や、車両と軌道の間の隙間を大きく開けた超電導磁石方式が含まれていた。1994年より南アメリカにおけるマグレブの開発研究は今までのような低い状態に戻った。


これらは、マグレブが変化の犠牲となってしまった事例である。20~25年前、マグレブ技術は600kmほど離れた建物、人口の密集した地域を繋ぐには最適な考えだとされていた。時速450~500kmの速度を誇るマグレブは航空での輸送に対抗でき、その時は石油燃料のコストと活用法に関して関心の寄せられていた最中でもあった。


この討論はマグレブの最高速度に大きく依存しており、最高速度の遅い車輪駆動の車両が存在することに注意すべきだ。これらの従来式の列車は多くの場合で経済的である。2~30年前には車輪駆動の列車の実用的な限界速度は時速250kmほどと考えられていた。しかし、高速鉄道技術は先に述べたように、最高速度が時速300kmに達するまでに進んでいる。この功績は、車輪と軌道の力学、空気力学や高速運転時において線路から電気的な力が送られるといったような技術がより解明されたことによるのである。さらになの驚くべきは、車両駆動の列車が時速520kmの速度でテスト走行したことだ。これはマグレブ式の記録よりも時速3kmほど速い。このような速い速度で貨客列車を走行してほしいといった意見を言う者はいないが、時速350kmであれば経営上でも良いだろうと考えられている。


このようにマグレブの速度と合計旅行時間に対する利点はかつてほどあるとは言えない。現実的には、最適な状態の車両駆動式の列車に対しての速度効果は2~30%ほどである。いったいいくつの国が、航空での輸送に勝るような、非常に大きな市場を占める輸送ルートに対して、従来の高速鉄道ではなく、基本的には全く新しい方法であるマグレブ方式を採用するのであろうか。


もちろん、より高速のマグレブであれば利用価値が増える。時速500kmが最終目標ではないが、それにはどうしても限界がある。しかし、このスピードしかでない主な原因は空気力学にある。空気抵抗に打ち勝つために必要な力は速度の3乗で増加していき、空気の騒音は速度の6乗で増加する。列車同士のすれ違いやトンネル走行時に生じる動力学的な問題は、速度の上昇とともに大きくなる。これらの対策としては真空状態の、あるいは部分的に真空なチューブを走行させることだ。


数年前に、究極な国際的輸送法としてニューヨークやロス、他の国の都市を先に述べたようなチューブトンネルで繋ぐ案が提案されている。最高速度は時速2000kmにおよび、重力を利用して推進と減速を行い、駅間を行き来する。技術的な懸念として、トンネルの建設費や維持費を考慮すると、こういった考えは空想に終わってしまうと、最後に述べられている。


しかしながら、数十年経てば、ニューヨークとロス間を2時間で繋げるようになるかもしれないが、今後マグレブと従来式の車両駆動式の列車の両者に重要で画期的な出来事が起こるかもしれない。数十年後には、最初の商業的な長距離マグレブ路線が実現するかもしれない。その一方で、高速鉄道は着実に速度や乗客の快適性の強化を行っていくだろう。ヨーロッパの高速鉄道サービスは徐々に広まっていくだろう。同時に、日本の新幹線、韓国、台湾、中国の新しい線路建設を含め、新しい高速線路がアジアで建設されていくだろう。


アメリカでは、新しい高速鉄道分野に関して、先導する立場ではなく、追う立場である。


しかし、アメリカは北東回廊線の建設を始めることで、旅客鉄道線路の再生の重要性に気づくであろう。おそらく、石油危機や、経済成長を妨げるような道路や空路の混雑といった出来事が必要となるだろう。テレビ会議や他の通信手段は旅行の必要性を減らしたり、時間とお金の節約を促すだろう。しかしそういった通信手段がビジネス旅行の必要性を少なくする根拠はない。ハイテクな列車が北アメリカに現れる。そのためには必要性であったり、好ましい経済環境であるかが条件である。通信手段は2番目の良き手段であり、最も優れた手段であるわけではない。