第10回英文輪読

'青木'訳

エロージョンで形成された磨耗粉のほとんどが衝突によって変形したという証拠にもかかわらず,エロージョンに進む多くの理論的なモデルは基本的に平面に当たる単一の粒子の衝突についてのモデルであり,複合的な衝突の現実的な場合への結果の経験的な推定を含んでいる.そのようなアプローチの1つは傾斜衝突に及ぶ.上で述べた直角衝突についての単純なモデルの浅い角度で堅く角のある粒子が完全な塑性材料に当たる動きを同一視していることを解決することにより,切断作用だけによって材料は除去されると想定している.図6.36は平面に食い込んでいる堅い粒子の理想化した2次元モデルを示している.除去された材料の体積は(圧痕によって移動させられた総体積とは異なり)粒子の先端の動きによって一掃したものだと思われる.それゆえ,モデルは直角入射に対してエロージョンがないことを予測する.様々な単純化した想定は可能である.分析の1つの方法,それは粒子上での力が最先端で作用し,式を導くと思われる. Ε=(K_ρ U^2)/H f(θ)

▲PAGE TOP

'石黒'訳

粒子の形状や実際に理想的な方法で切削された粒子の破片にKの値は依存する(もしくはそのかわりに実際に摩耗粉として除去された粒子の先端によって掃き出された破片の体積に依存する).関数f(θ)は垂直入射の場合ゼロになるとはいえ,図6.36で見せられた理論により予測され,図6.36で示されている実験的に観測された曲線(a)に似ている.  衝突の間中動くことができる粒子での力が作用するポイントである類似のものだがよりそっくりなモデルは式(6.23)よって近似されるEにとってより複雑な式になる原因となる E=(K_1 ρU^n)/H f_1 (θ) 速度指数であるnは一般的に2.0から2.5の間にあり,それ自身が衝突角度θの関数である.

▲PAGE TOP

'影山'訳

式6.22と6.23を導くモデルは、材料は切削作用の場合個々の粒子によって取り除かれ(図6.34(c)でのタイプUの切削と似ている)、浅い入射角にとってのみ妥当であると仮定する。高衝撃角にて、破片は繰返し変形して初めて切り離されるようになり、そしてこの要素を考慮したモデルはより適用できる。球状粒子によって直角入射での極端なエロージョンの場合は、切削が役割を持たないはずである時、蓄積された塑性ひずみが臨界値に到達するとき表面材料が切り離されるようになることを仮定すること、また問題を連続的な粒子の衝突と関連付けられた周期的な塑性変形によって引き起こされる低サイクル疲労として扱うこと、この2つの方法によってモデル化される。どちらのアプローチも、衝撃力学について適切な仮説を用いて、それらの当初の仮説に違いがあるにも関わらず似た結論を導く。侵食速度は式6.24に従うはずだ。 E=(K_2 ρσ^(1/2) U^3)/(ε_c^2 H^(3/2) )

▲PAGE TOP

'木村'訳

ここで、σは球状の侵食粒子の密度であり、ε_cは磨耗粉が発生して分離した臨海塑性ひずみである。式6.24は特に、速度Uの指数が大きい点と表面材料の二つの異なる性質がその耐侵食性を決定するという点で式6.22および式6.23と異なる。それは硬度Hだけでなく破損ひずみε_cであり、侵食条件化では材料の延性の尺度として考えることができる。実際には、金属のエロージョンは粒子の衝突速度に対して強い感度を示す。依存関係はしばしば  E∝U^n (6.25) で表され、約2.3~3.0の間のnの値が一般的に報告されている。速度指数nはほとんどの場合、単純なモデルで予測される2.0の値より大きく最大侵食の衝撃角に近い衝撃角で延性金属では約2.4付近にある。

▲PAGE TOP

'今野'訳

図6.37で示すように銅の侵食に関してnの値が大きくなるほど衝突の角度が急になることが考えられる.この増加は磨耗粉の各破片を除去するのに必要な粒子衝突の数の増加および結果として生じる機構の単一衝突事象が支配的なものから塑性ひずみの疲労または蓄積としてよりよく説明されるものへの変化に関連しているかもしれない.  上記で概説した全ての理論モデルは塑性変形を含むメカニズムによる侵食速度が材料の硬さに反比例し,1(式6.21,式6.22,式6.23)あるいは3/2のどちらかのべき乗になるはずだと予想している.また,材料の延性に依存していると式6.24より予想できる.また,これらの式より,粒子の単位質量あたり除去される質量Eは材料の密度に比例するはずなので,硬度のみに対する依存性を調べるときには硬さに対する量E/ρをプロットすることが役立つと予想することができる.

▲PAGE TOP

'澤'訳

E/ρは粒子の単位質量によって除去された体積を表す。そして、設計の文脈の中で特に役立つエロ―ジョン摩耗の基準である(7章参照)。図の6.38はエロ―ジョン体積を表す。この方法で定義され、いくつかの純金属において、焼きなまし状態での硬さに対してだけでなく、エロ―ジョンを受けた表面の硬さに対してもプロットされる。表面の材料は粒子の衝突によって激しく加工硬化し、これは2組の硬さの値の違いに反映される。エロ―ジョン体積と(焼きなまし金属の硬さ)^(-1)の間にまずまずの相互関係が見られるのに対し、(エロ―ジョンを受けた表面の硬さ)^(-0.6)によりよい相互関係が見られる。もちろん、式6.21から式6.24によれば、定常エロ―ジョン率を決定すると予想されるのはエロ―ジョンを受けた表面の硬さだろう。

▲PAGE TOP

'長谷川'訳

同様の結果が、図6.39に示されており、ここでは、体積摩耗率の逆数と耐浸食性の尺度のρ/Eは圧痕硬さに対してプロットされる。やはり、式6.21から、式6.23までによって予測される線形挙動は、いくつかの焼きなましされた純金属についてのみ見出せる。加工硬化の金属に対する依存性は線形ではなく、そして驚くべきことに、鋼の硬化はそれに対応する耐摩耗性の向上をもたらさない。この図の結果は、図6.9に示すアブレシブ摩耗の結果と比較することができる。純金属は、例外はあるものの、一般的に硬度と耐摩耗性との間にきわめて優れた相関を示している(図6.39のモリブデンとタングステン)。鋼を含む合金は硬度に対する耐摩耗性の依存性が弱い。浸食摩耗に対しては、硬さの増加に伴う抵抗の増加はほとんど見られず、場合によっては減少している。

▲PAGE TOP

'目黒'訳

セラミック、ガラスやポリマーのような材料は、慣習的にもろいと考えられており、ふつう直角入射において弱い浸食を受けている。しかしながら、とても小さい粒子による浸食では名義上、脆性材料は浅い角度において塑性変形によってのみ除去された材料と最大浸食の発生とともに延性挙動を正しく示すことができる。この脆性から延性へと移り変わるメカニズムは図6.43に示されており、炭化ケイ素粒子によるソーダ石灰ガラスの浸食である。この挙動の理由は、6.3.2節のアブレシブ摩耗の文脈において論じられているのと全く同じである。破砕はそれぞれの粒子が正確な閾値を超えることによって凹みが生じたときのみ起こる。

▲PAGE TOP

<< PREV NEXT >>