第02回英文輪読
'青木'訳
6.2.2 粒子の形 アブレシブやエローシブの原因であるほとんどの粒子はおおよそ等軸である．しかし，その起源によって角張った形はかなりの違いがある．摩耗率は粒子の形に強く依存する．角張った粒子は丸い粒子よりも大きな摩耗を引き起こしている．この依存の理由は後の6.3節と6.4節で取り扱われる． 角のある形は定義するのが難しい．図6.5は石英粒子の丸いものと角張ったもの2つの形を示している．この大きさの粒子の形の違いは結果として，10倍かそれ以上摩耗率に違いがでる．しかし，アブレシブ粒子の角張ったものはめったに量的に測られることはない．これは主に，磨耗性の原因である複雑な3次元の形の特徴を確認し，量を定めるのが困難であるという理由である．
'石黒'訳
形の最も単純な記述の一つは光学顕微鏡法によって発生させた粒子の二次元投影の周囲の長さと面積の測定に基づかれている．その時，真円度要素であるFは，投影の実際の面積であるAと，その投影した同じ周囲長さPを持つ円の面積との比によって定義される．これらの量の用語を用いて， F=(4πA)/P^2 (6,1) もし投影したものがF=1の円なら，粒子の外形が円形から外れるのが多ければ多いほどFの値は小さくなる．ランダムに方向付けられた多くの粒子の二次元の外形に由来するFの値の平均によって指標は三次元粒子の真球度から新しい発展がもたらされることがある．
'影山'訳
アブレシブ摩耗率と真円度要素Fの値に相互関係がある場合、いくつか成功を残しているが、しかしそれはただ完全な球体からの粒子の偏りのそのままの基準を与えているだけだ。他にも、もっと敏感な角ばりの基準が提案されているが、それらの適用性の将来の研究はかなりの可能性がある。 6.2.2 粒子の大きさ 研磨粒子の大きさは広範囲に及んでいる。それらの多くのアブレシブ摩耗と腐食摩耗の 要因は大きさ５～５００マイクロメートルであり、研磨は大きさマイクロメートル未満の粒子を用いるだろうが、一方でガウジング摩耗は数十から数百ミリメートルほどにわたる固い粒子を必要とするだろう。
'木村'訳
挙動の一貫したパターンは図6.6に示したように、金属のアブレージョンとエロージョンの両方の実験室研究で見られる。そこにプロットされた磨耗の単位はさらに6.3節と6.4節で説明されている。今のところ、違う大きさの粒子は物質の除去に等しく効果的である場合、これらの単位で表される磨耗率は一定になることに注意することで十分である。実際、図6.6に示したように、役100μmより小さい粒子の磨耗率は粒子サイズの減少とともに著しく低下する。同様の挙動は全く異なる粒子材料と異なる金属で見られる。
'今野'訳
いくつかの説明が金属のアブレイションとイローションに対する粒子サイズのこの効果について提案されているが，この効果が観察される広範囲の条件にわたって１つだけが説得的に適用できる．この挙動は実際のサイズ効果が金属自身の強さに影響を与えると考えられていて，それはまた，押し込み及び引っかき実験でも確認されている．非常に小さな体積の流動応力は，より大きな体積の材料よりも大きい．おそらく，小さな体積内で，転移を核生成または，移動させることが困難だからだろう．変形の規模が減少するにつれて，局所的な流動応力の増加は塑性流動による磨耗率の減少につながる．（セクション6.3.1および6.41でさらに論じられる）したがって観察される粒子サイズ効果をもたらす．
'澤'訳
図の6.6に示されるような挙動は，金属や他の材料の摩耗が塑性流動を含む箇所に見られる．下記で見るように，脆性材料の摩耗は割れを伴うかもしれない．そのうえ，摩耗率が粒子の大きさにより強く依存することを示している．どの主要な仕組みでも，小さい粒子は大きいものに比べて起こす摩耗が比例的に少ないという事実は幸運である．濾過法や遠心分離法のような，系から混入粒子を取り除く方法は，大きい粒子を小さい粒子よりもたやすく除去するので，アブレージョンやエロージョンによる摩耗率をとても効果的に減らすことができる（7.4節を参照）
'長谷川'訳
アブレシブ摩耗にメカニズムは塑性流動と脆性構造が主要な要因である。状況によっては塑性流動が単独で起きることがあるが、理想的にはもろいと従来考えられている材料においても両方ともしばし一緒に起こる。それぞれの種類のメカニズムによるアブレシブ摩耗のモデルは単独で開発されていますが、モデルは通常他のメカニズムの可能性を無視しています。簡単な用語でアブレシブ摩耗を理解するために、私たちはメカニズムを2つのグループに分け、塑性変形および脆性破壊によるアブレシブ摩耗のモデルを調べる。これらの幾分理想化されたモデルに照らして、私たちは工業材料の挙動についての説明をする。
'目黒'訳
アグレッシブ磨耗の単純モデルは、塑性変形により材料の移動を伴う。3.4.2節で説明された摩擦成分の成形はそのモデルに親密に関係している。図6.7は円錐の半角αとして理想的な研磨粒子がへこみ圧Pの下を流れる延性材料の表面に引かれている。それは、材料に溝を形成し、磨耗はその溝から粒子に取って代わられたいくらかの材料の移動によって起こると思い込まれている。私たちが3.4.2節で見たように、その粒子に伝えられた垂直荷重ｗは、その表面間の接触面積を越えて作用する原因となる粒子の下の塑性流動によって維持されている。円錐は動き、それゆえその表面の上だけに接触しているから、(6.2)式が成り立つ。
'石﨏'訳
円錐形の突起が表面を距離lだけ滑ることによって離脱する材料の大きさは, laxもしくはlx^2 tan?αである. aやｘの量は図6.7にて定義している. もし溝から離脱する材料のうち比率η分が摩耗粉として除去されるなら, 単位滑り距離qでの1粒子による摩耗粉の発生量は q=ηx^2tanα (6.3) 6.2式よりx^2を変形すると q=2ηw/(πPtanα ) (6.4) 全てのアブレシブ粒子による効果を合計し, Pを圧入硬度Hとほぼ等しいと仮定すると, 単位滑り距離Qにおける合計の除去量は Q=KW/H (6.5) ここで, Wは全体にかかる荷重で, 定数Kは材料の除去比率ηとアブレシブ粒子の形状に依存する.
'加賀谷'訳
式6.5は，滑り摩耗の式であるアーチャードの式(式5.7)と全く同じものとなっている．それぞれの仮説の起源は全く異なったものに由来するのにも関わらずである．無次元の摩耗係数を表すKは，摩耗の厳しさの基準として使用される．金属の2元アブレシブ摩耗におけるKの値は5×10＾(-3)から50×10＾(-3)の値をとる．3元摩耗においてはKの値は小さくなり，普通0.5×10＾(-3)から5×10＾(-3)の値を取る．滑り摩耗においては，mm＾3/(Nm)という単位を持つ，有次元の摩耗係数k(＝K/H)を用いると便利なこともある．
'大谷'訳
もう１つの量は, 特に現れている異なるアブレシオン状態とエローシブ摩耗の間の比較を許すアブレシブ摩耗を説明するものだ. それは材料除去のための明確なエネルギーU．これは取り除かれた材料の単位面積ごとに増加する摩擦力として定義される. 上記で論じている量は, U=μ/k (6.6) μは変動している物体間の摩擦係数である. (接線方向の水直力の比率). Uもまたμとkを用いて表すことができる. U=μ/k (6.7) 大気での金属の二元摩耗では, μは一般的に0.4~1の間に位置しているが, 一方三元状態では0.2~0.5と低くなることが多い. Uの大まかな評価は, すでに方程式6.7と次元のある摩擦係数kの値から作ることができる.