第12回英文輪読
'青木'訳
結合相含有量は他のセラミックスやサーメットの侵食抵抗において重要であるとわかった．例えば，10%の遊離ケイ素を含んでいる反応焼結炭化ケイ素は99%より大きい理論密度のホットプレスされた炭化ケイ素の8倍か9倍の速さのアルミナ粒子によって侵食される．似たような挙動は窒化ケイ素でも見られる．残留気孔率を含む反応焼結窒化ケイ素は上圧焼結やホットプレス試験片の10倍の速さで侵食されるかもしれない．現在，広い傾向は見分けられたが，セラミック材料の侵食抵抗を正確に予測するのは不可能である．異なる製造業者によって同じ方法で作り出された名目上同じ構成で同じ製造方法の材料は侵食試験において完璧に異なる挙動を示す．
'石黒'訳
超硬合金（サーメット）は幅広く研究されている．アブレシブ摩耗の場合と同じように（セクション6.3.3）エロージョンの支配的なメカニズムは個々の粒子接触の規模に依存する．もし侵食性の粒子が十分小さいならば，摩耗は金属結合層の優先的なエロージョンによって発生することができ，アンダーカットや最終的にすべての炭素粒子の脱落を引き起こす．もし結合域があまりに小さすぎて局所的な衝突を起こすこのタイプが知覚できないならその時，炭化物や結合のエロージョンが全体で発生し，もし侵食性粒子が小さいならたいていは延性のメカニズムによって発生する．図6.45で説明したように，これらのメカニズムの組み合わせは微細シリカスラリーによってWC-Coサーメットのエロージョンにとって，結合量において侵食速度の強くて単調な依存を引き起こす（粒子のサイズが1μmへと下がると）．
'影山'訳
より大きいエロージョン粒子では、脆性カーバイド粒の破壊は重要になるはずで、また結合材率の中間値にて侵食率の最高点へと導くはずだ。図6.46は100μmによって侵食されたWC-Coサーメットの挙動を説明している。浅い入射角では、図6.45で見られるようにあまり強くはないけれども、結合材率と共に侵食率の上昇の全般の傾向が見られる。しかし、垂直入射において侵食率のはっきりとした最高点は~10wt.%のコバルト結合材率にて見られる。これらの条件下ではエロージョンの支配的な仕組みはカーバイド粒の破砕であり、それはこの結合材率の度合いでもっとも広く行われている。
'木村'訳
プラスティック材料、エストラマーを含むポリマーは対侵食性においてとても幅広い変動を示す。４種のポリマーが図6.44には含まれている。その試験の状況下での質量損失に関してそれらの侵食速度は銅の約3倍（アセタールの場合）からたったの４分の１（スチレンブタジエンゴム）の範囲である。エロージョンのメカニズムと角度依存はそれ相応に広く異なる。ナイロン、アセタール、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの延性の熱可塑性物質は金属と同様に塑性変形を伴うメカニズムによって侵食され、浅い衝突角度で最大の磨耗を経験する。ポリスチレンやPMMA、エポキシ樹脂などの熱可塑物質や熱硬化性樹脂は脆性破壊によって侵食され、高い角度で最大の侵食速度を示す。脆性破壊によって侵食されたほかの材料に関しては十分にちいさなエローシブ粒子によって塑性メカニズムによる磨耗への遷移が起こり得る。
'今野'訳
あるエラストマーは垂直入射および中程度の速度に対して優れた耐侵食性を示すが，従来の延性または脆性材料のどちらかよりも衝突角度と速度の両方に対して高い感度を示します．図6.47は天然ゴムパウンドの衝突速度に対する侵食依存性を示していて，それは約50ｍ/ｓを超えると非常に急な侵食の増加を示します．この材料では90°の衝突角での侵食は30°での約1／4です．ゴムの侵食のメカニズムはアブレッシブ磨耗のメカニズムに似ているが，（５.11.2節参照）引き裂き，亀裂の伝播，疲労が全て重要な役割を果たします． 侵食速度を引張り強度と相関させる試みは一般的に成功しておらず，ラトナーランキャスター相関は有効であると思えない．（5.11.2参照）しかしながら，反発弾性（ゴム表面に衝突する硬球の反発の相対的高さとして定義される）は未充填ゴムパウンドの範囲で良好な対侵食性との関連が発見されており，そしてあるシステムでは低い弾性率も侵食率が低くなります．
'澤'訳
6.4.4 エロ―ジョン摩耗の試験方法 実験室規模のエロ―ジョン試験が行われる理由にはいくつかある。特定の状況下での絶対摩耗率と相対摩耗率に関するデータを与えるため、理論モデルの妥当性を検証するため、をして摩耗のメカニズムを検証するためである。これらの目的の一つ目は、設計技術者に直接の値からなる情報を与える。一方で、その他はエロ―ジョン摩耗への理解をより深めるのにより高い価値がある。試験の結果が役に立つように、衝突の状況(粒子速度、流速、衝突角)は厳密に定義されなければならない。そして試験されている粒子と材料はその特性がよく明らかになっているべきである。
'目黒'訳
潜伏期の挙動(6.4.1節を参照)は、もし認められなかったり考慮しなかったなら、浸食試験は誤解を招く結果につながる可能性がある。例えば、個々の時限あるいは個々の腐食物の量のために材料を試験すること、そして信頼できるある程度の浸食を示すために結果として生じる質量あるいは減容を考えることは危険である。試験手順は、どんな潜伏期間も見分けるのに使われるべきであり、潜伏期の後の安定した状態における摩耗率の正確な測量を与えている。
'石﨏'訳
変形の大きさは粒子の大きさと衝突時の状況によって決定され, 粒子を小さくするか衝突速度を小さくことで衝突時の塑性変形が残り, 材料が延性金属と同様にエロージョンする. 6.3.2章で見たように, H/Kcの大きさは材料の脆さの尺度であり, これは（長さ）-1/2の次元を持つ. 無次元量に属するKc2/rH2 (rはエロージョン粒子の半径) はエロージョンの仕組みに支配的な性質を表す. これが小さいとき材料の挙動は破砕による性質が支配的になり, 一方で大きいときは極端な塑性流動が生じる.
'加賀谷'訳
金属合金は、硬度の実質的な違いにもかかわらず、同じ合金系の部材間の侵食速度の差が著しく小さいことを示している。トウ鋼のデータを図6.39に示した。そのような観察は他の多くの研究で確認されています。例えば図6.44は、フェライト鋼、マルテンサイト鋼、オーステナイト鋼、アルミニウム合金、ニッケル合金、銅合金の範囲における同じ条件下での侵食速度を示しています。各合金系内の変動の欠如は、異なる合金系間の変動の範囲が狭いことと同様に顕著である。合金の硬度が侵食性粒子自体の硬度よりも小さいという条件で、合金の選択が侵食摩耗の減少にほとんど役立たないという一般的な結論は真実である。より硬い合金の場合、侵食剤が見つかると、セクション6.2.1で説明し図6.2に示す効果によって侵食速度が低下する可能性があります。この効果は、図6.44に示した焼入れ工具鋼の比較的低い侵食速度をおそらく説明しています。
'大谷'訳
セラミック材料は金属より耐侵食性においてかなり大きい変化を見せる. 我々は, もしエロージョンのメカニズムがそのモデル中で仮定されたメカニズムと異なる場合, 計測された硬さそして破壊靭性の値から理論的に予測された侵食率は, 誤差が大きくなることを知っている. 大部分のセラミックスが石英より硬い, しかしそれでもこの材料によって侵食された時著しい侵食率を示す. 図6.44での３種類の異なる多結晶の焼結されたアルミナに対するデータはこれらの材料の挙動の範囲を表す. 最も悪いサンプルは, 鋼よりもむしろ低い質量損失を示す, しかし一致する体積損失(低い密度のため) は, 実際には高い. 優れたアルミナセラミックスはカーボン鋼の体積損失より20%低い体積損失を示す. これらの試験で焼結されたガラス結合のアルミナの耐侵食性は, アルミナ含有量と相互関係がある. しかしこの規則が一般には成り立たない. 他の研究で, アルミナ含有量88%の材料は, 97.5%のものより高い耐侵食性を与えることがわかった. より重要なのはおそらく, 粒径, 龍改装の性質と強さそして多孔性の割合と分布である.