第13回英文輪読
'青木'訳
前の節で見てきたように粒子の衝突速度は最も重要な変数であり，侵食速度に影響を与える．エロージョン試験において，速度を一定に保ち，できることなら正確に知られていることが重要である．スラリーのエロージョン試験において，粒子速度が液体のものと同じだと仮定するのが時折道理的である．それはたいてい単純な方法で測定される．ジェット衝突試験において，例えば，決まった時間で周知の寸法のノズルから出ているスラリーの量はスラリージェットの流出速度の直接の基準を与える．空気で運ばれる粒子についてのほとんどの試験方法では，しかしながら，粒子速度の独自の測定は必要である．マルチフラッシュ写真撮影，レーザードップラー流速計(LDV)と回転円盤法はすべて潜在的に役立つ．
'石黒'訳
経済的な理由のために図6.49で示されたこれらの方法の三つ目がたいてい使われる．粒子の流れが一対のディスク中の溝を通って通過し，そのディスクは共通軸で高速で一緒に回転する．粒子は第二のディスクにぶつかり，そして跡を付ける．第二の跡は，ディスクを固定している状態で粒子流が溝を通って通過することを許すことにより作られる．そのとき第二の跡に対して第一の跡の変位はディスクの回転の速度とディスクの離れている距離を渡る粒子の飛行時間に単純に関連している．粒子流で回転しているディスク自身の空気力学の影響の為，定誤差が生じうるけれども，この方法で測った速度において偶然誤差は一般的に±10％になる
'影山'訳
この誤差は~10%かそれより大きくなり、それは小さい粒子や低密度の粒子に対してより厳格になるだろう。図6.50はシリコンカーバイドとアルミナの50μmの粒子のダブルディスク測定の体系的な誤差を示し、それはLDVによるより正確な粒子速度の測定によって決定される。回転ディスク方式は10~15%くらいだけそれら小さい粒子の真の速度を一貫して少なく見積もる。ジェット衝突装置では、試験片表面に接するガス流はそらされることになり、粒子の動作の速度と方向を変えるから、噴出口の終わりから試験片とを隔てる距離は衝突速度を変えるはずだ。ここでもう一度、LDVはダブルディスク方式よりも真の衝突速度のより優れた評価を与える。
'木村'訳
衝突速度についての不確かさはエロージョン試験においての最大の誤差の原因であり、異なる実験室で同じ材料を用いて名目上同一の条件で繰り返し行った場合でも、著しく異なった結果がでる可能性がある。図6.51はこのようにして５個の異なる研究室で実施された低炭素鋼に関する一連のよく管理された試験の結果を示している。5個の研究室で測定されたエロージョンの平均差は24％で、それらの大半は速度測定の不確実さによっておそらく説明されることが可能である。速度におけるたった8-10％ばらつきはこの程度のエロージョンのばらつきを説明するであろう。
'今野'訳
侵食試験において重要かつ時に無視される変数は表面に衝突する単位時間あたりの単位面積に衝突する粒子の数あるいはその総質量のどちらかとして測定された粒子のフラックスである．侵食試験はたいてい一定時間あるいは一定量の侵食粒子を用いて行われるので，フラックスは表面上の個々の点がさらされる衝突の数，および連続する衝突間の時間間隔を決定するだろう．それにもかかわらず，実際の侵食磨耗のケースでは，妥当な時間で測定可能な磨耗を得るために高い流束で実施されるかもしれない．この種の試験は加速試験と呼ばれる．
'澤'訳
加速試験の結果を実用条件下でのエロ―ジョンを予測するために適用するつもりならば、エロ―ジョンでの粒子束効果が重要ではないということが確証されなければならない。たいていの材料では中くらいの流束でこれは正しい。しかしながら、とても高い流束ではエロ―ジョンは表面にぶつかる粒子とその表面からの反発との間の相互関係に、あるいは運動エネルギー散逸率が高い状況下で表面の熱が上がる時の熱効果に影響を受けるだろう。そのような効果は鋼では流束が約1km^(-2) s^(-1)より上、熱拡散率の低い材料では流束がやや低いとき重要になる。それゆえ実験室でのエロ―ジョン試験では高い流束は避けられるべきである。
'石﨏'訳
粒子の劣化の課題は, 図6.48(b)に見られるポンプの循環や再循環の試験でも生じる. ここで，粒子と流体（ガスか液体）の二層流れは一連の配管の中で動作される．この試験は，空気圧や流体の流れを曲げたり弁で調節するような配管の部品の摩耗を規定する能力があり，流体に標本を完全に浸らせることによって，材料の振る舞いをより直接的に調べることができる．図6.48の概略図は，ポンプを流れが通過することを示しているが，実際に設計されたものの中には，ポンプの摩耗は流体から粒子を分けることによって抑えられ，流体がポンプで押し出されたあとに粒子と流体が再結合するようになっている物がある． 実験室でのモデル実験で用いられるエロージョン粒子は，実験結果が現場に応用される場合は注意深く選定するべきである．実際に使われるものと粒子の大きさを同じにするだけでなく，粒子材料や突起の角度も現実に合わせるべきだ．6.3.5章でアブレージョン摩耗について見たように，粒子の材料は摩耗の構造や摩耗量に影響する．極端な場合，被エロージョン摩耗量で比較した材料の等級さえも，異なったエロージョン粒子では変化しうる．
'加賀谷'訳
図6.48（c）に示す方法は、遠心加速器とも呼ばれ、円運動を使用して粒子の連続的な流れを生成し，通常は空気中または真空中で使用される。侵食粒子は、ローターの中心に供給され、そしてローターの周速度によって支配される速度でローターを離れて、半径方向のチューブまたはチャネルに沿って外向きに移動する。いくつかの設計段階において無視できる割合に半径方向速度を減少させるように取られるが、侵食粒子が縁に達する時までにいくらかの半径方向速度を得たのでそれらの運動は回転子に対して接線方向ではない。静止した試験片は、ローターの縁の周りに配置され、そしてこの方法は、最大２０個程度の異なる試験片の侵食挙動を同時に比較するために使用することができる。
'大谷'訳
図6.46(d)の示された装置では, 安定したロータの端にある2つの試験片はゆっくりと落ちる粒子の流れを通じて高速で動く. そしてそれをロータの周辺速度そして試験片の方向性によって定められる角度で衝突する.回転腕の試験は通常, 粒子の空力効果を取り除く，そしてロータを回転させる必要な力を減らすために真空で実施される． 同様な原理は，slurry-pot試験で使われる．それはロータの運ばれる試験片は液体と粒子のスラリーを含んでいるタンクに浸されている. この種類の試験ではしかしながら衝突角度と速度は定義するのが難しい. そしてそれは侵食速度の絶対測定よりも材料の比較に適している.