第04回英文輪読
'青木'訳
切削やウェッジ形成が起こったとき，粒子によって移動させられる材料すべてが摩耗粉としてとして除去されるわけではない．材料は除去されずに移動させられるだろう．どちらかの隆起のわきに入るか，溝から離れたバルクで弾性変形によって収容される．切削かウェッジ形成の間，実際に除去される割合は異なる金属の間で変わる．それは金属の硬さとともに増加する傾向がある．そして，上記で定義されたE/Hの比の増加とともに減少する．また，金属の延性が増加するのに伴い減少する．(その金属は引張破壊ひずみとしてあるいは転がり実験でクラッキングが起こるひずみとして定義されたものである．)
'石黒'訳
アブレーション中の表面材料の加工硬化の程度（表面の硬度をその塊の硬度よりも高くすることをアブレーションが引き起こす），掘り起こしではなくむしろウェッジ形成や切削によって材料が変形する粒子の破断，実際に切削やウェッジ形成によって取り除かれた溝の体積の割合の３つの要因のKの影響を私たちは今も論じている．全ては金属の特性はもちろん粒子の特性にある程度依存する．式（6.5）に由来しているKを組み入れている更なる要因は粒子の幾何学単独に依存しており，2/(πtanα)の円錐と等しい．金属の二元摩耗によるKの実験的に測定した値は一般的に0.05から0.005の間にあると知っている．この位数の数値は私たちがちょうど挙げた要因に関して容易に理解されることができる．
'影山'訳
角ばった研磨粒子において、αはおそらく60°程であり、一方でもっと丸くなった粒子においてそれはもっと大きくなるであろう。それゆえ要素2/(πtanα)は0.4より小さくなるであろう。実験研究は、カッティングかウェッジフォーメーションによって物質を取り除く粒子の割合は0.1と0.6の間であろうということ、またそれらの真に取り除かれた溝体積の割合は0.2から0.9であろうということを暗示している。加工硬化が考慮される時それら3要素の組み合わせは0.2から8×10^-3より小さいKの値をもたらし、金属の二元摩耗で実際に観測された範囲と十分一致する。 6.3.2脆性破壊によるアブレシブ摩耗 二番目の我々が調査すべきアブレシブ摩耗の理想図は、材料の除去が塑性流動と関連付けられた、前の段落で論じられた仕組みからのごくわずかの付与での脆性破壊によって起こるものである。
'木村'訳
5.10.2章に示したように、十分に高い荷重で鈍い（例えば球状の）本体によって押し込まれ、接触応力が打安静を維持している場合、図5.28に示すようにヘルツ円錐亀裂が形成される。もし圧死が表面を滑ると、一連の不完全な円錐形のひび割れが形成され、一列の円弧で表面と交差する。（図5.29）完全な円錐形の亀裂も一連の部分的な円錐形の亀裂も、容易には材料の除去にはつながらない。しかしながら、スライダーが硬い角のある研磨粒子である場合には、接触店で局所的な塑性変形および異なる形状の亀裂が生じ、それが直ちに磨耗を招く可能性がある。 図6.14は、点荷重をうけた塑性固体にクラックがどのように形成されるかを示している。このような亀裂は、円錐形、ピラミッド系、または不規則なグリッド粒子などの弾性応力場は生成する鋭く硬い圧子の下に成長する。それらは鈍い圧子の下で弾性応力場に形成されるヘルツ亀裂とは全く異なる。
'今野'訳
最初の接触点では非常に高い応力を発生します．実際,圧子の先端が完全に鋭かったら（すなわち曲率半径が０）この点で応力特異性があるだろう．これらの強い応力（せん断および静水圧縮）は局所的な塑性流動あるいは圧子の先端周りの緻密化によって緩和される．変形した材料のゾーンは図6.14の文字Dで示されている．圧子への負荷が臨界値まで達すると，垂直方向の中央平面を横切る張力応力が図6.14のMで示されている中央ひび割れを起こします．圧子への荷重がさらに増加すると中央ひび割れの積極的な拡大を伴う．荷重を減らすと中央ひび割れは閉じる．（図6.14（ｄ））さらに荷重を減らすと（図6.14（e）と（f））横方向のひび割れの形成と成長を伴います．（Lと表示）これらの横方向のひび割れの形成は接触点周りの変形した材料のゆるみによって引き起こされた残留弾性応力によって引き起こされる．除荷が完了すると（図6.14（f））横方向のひび割れは上方向に曲がって，自由表面で終わります．
'澤'訳
鈍角圧子によるヘルツコーンクラックのような中央クラックは，圧子に掛かる負荷が増すとともに固体バルクへ伝わっていく．そして，除荷するとそれより大きくはならない．中央クラックは，第一に，材料の除去と結びついていない．対照的に，横クラックは直接摩耗を引き起こす． 横クラックは圧子にかかる垂直荷重が臨界値w^*を上回るときのみ形成される．w^*の値は材料の破壊靭性K_cと材料硬さHに依存する．一説によれば， w^*∝(K_c/H)^3 K_c
'長谷川'訳
異なる応力分布および異なるサイズスケールで生じる押し込み破壊に適用可能な靱性の値は、通常のノッチ付き引張試験または曲げ試験で測定されるように、Kcは通常、モード1平面ひずみ破壊靱性Kicであるとみなされ、大きく異なる可能性がある。材料の比H/Kcはその脆さの有効な尺度を表す。この脆性指数の低い値は高い値のw*に対応し、それゆえ、押し込みによる破壊に消極的な材料を示す。(Kc/H)2の量は長さの寸法を持ち、限界スケーリング寸法に関連することができる。それをこえると鋭い圧子による接触中に破断が起こる可能性がある。
'目黒'訳
脆性材料のアグレシブ磨耗における１つのモデルは、横断亀裂による材料の移動に基づいている。とがった粒子が塑性溝を形成している表面上を滑るにつれてゆがんだ材料に関連した残留応力によって貫通された横断亀裂が表面下のゆがんだ領域の下から自由表面にかけて上向きに発達している（図6.15）。材料は、横断亀裂や自由表面によって結び付けられた領域から切りくずとして取り除かれると推測される。そして、その磨耗率量はこの領域の体積から推定される。亀裂の広がるわき道ｃは式（6.9）で与えられる。ｗは粒子の垂直荷重、E,Hはそれぞれ材料のヤング率と押し込み硬さ、そしてKcは破壊靱性である。α１は粒子系のみに依存する一定の値である。
'石﨏'訳
横割れの深さbは塑性変形部分の半径に比例し，次の式で与えられる． b=α2 (E/H)^(2/5) (w/H)^(1/2) (6.10) ここでα2は形状の定数である．単位粒子，他院滑り距離あたりに横割れによって除去される量の上限は2bcになる．もしN個の粒子が表面に接触し，それぞれの粒子に同等の負荷wがかかるならば，すべての粒子による単位滑り距離あたりの摩耗量の総量Qは Q=α_3 N ((E/H) w^(9/8))/(Kc^(1/2) H^(5/8) ) (6.11) ここでα_3は材料によらない定数である． 同じモデルでも，cやbの計算方法が異なる別の分析が行われ，わずかに異なった値になっている．一つの例として Q=α_4 N w^(5/4)/(Kc^(3/4) H^(1/2) ) (6.12) ここでα4は定数である．この場合，QはEによらない．
'加賀谷'訳
式6.11および式6.12が持つ実質的な結果は，類似している．異なる硬脆材間におけるE/Hの値に大きな差異がないからである．両式は，摩耗率が硬度と靭性に反比例し，およそ1/2の累乗程度に引き上げるということを予測している．各種のセラミック材料におけるアブレシブ摩耗率の実験的測定結果は，これらの側面破壊モデルの予測と確かに一致する．図6.16では砥粒加工における除去率，つまり脆性破壊を伴う2元アブレシブ摩耗と，様々なセラミック材料におけるH＾(-5/8)Kc＾(-1/2)との関係を示しており．このような関係はH＾(-1/2)Kc＾(-3/4)にも見られる．