第08回英文輪読
'青木'訳
6.4固体粒子衝突によるエロージョン ばらばらの固体粒子が表面に当たったとき，固体粒子エロージョンとして知られている磨耗のプロセスは引き起こる．それは自由な粒子を含み，主に粒子と磨耗面の間の力が原因であることが三元磨耗とは異なる．磨耗での粒子は通常2つの滑り面(図6.1(b))に閉じ込められるために，表面に対して押され，移動する．エロージョン(図6.1(c))では，異なる起源のいくつかの力は固体表面と接触している粒子に作用する．それらは図6.30に示されている．隣接した粒子は接触力を及ぼすかもしれない．そして，流れる流体がもし存在するなら抗力を引き起こすだろう．ある状況下では重力は重要かもしれない．しかしながら，主に初期衝撃速度から減速する原因であるエローシブ粒子の支配的な力は，通常表面よって及ぼされた接触面である．
'石黒'訳
アブレシブ摩耗において，私たちは脱落した材料の量が表面に対して，粒子を押し付けての垂直荷重と滑らせた距離に依存することがわかった．（セクション6.3.1と6.3.2）．代わりにエロージョンにおいては，摩耗の範囲は表面を叩く多量の個々の粒子の数や衝撃速度によって決まる． アブレーションの場合のように，侵食性の摩耗のメカニズムは塑性変形と脆性破壊の両方がある．私たちはこれらのことを次のセクションで考察するでしょう．金属のエロージョンはたいてい塑性流動が必要である．ところがより多くの脆性材料は衝撃条件に依存して流動か破壊かどちらか一方によって主に摩耗することは以下で論じる． 6.4.1 塑性変形によっての侵食性摩耗 塑性変形を含むエロージョンのメカニズムで詳細を見る前に，垂直入射で軟性の表面を叩く一つの硬い粒子の挙動を考察することは役に立つ（図6.31）．
'影山'訳
私たちは、粒子は変形しない、問題は準静的に（波動伝播やひずみ速度感度のような動的効果を無視することによって）分析される、というできる限り簡素な仮説を立てます。変動するものと仮定される唯一の力は表面によって働かれる接触力です。私たちはさらに定常押込み圧力硬さHを用いて、表面の変形は完全に可塑性であるということを仮定します。初期接触後の時間ｔにおいて、粒子質量ｍは深さｘだけ表面にぎざぎざをつけ続け、また表面での押込み断面積をA(x)とし、それは粒子の形状によって定義されます。粒子を減速させる上向きの力は領域A(x)上を動く塑性流動圧力のせいであろう。そしてそれゆえ粒子の運動方程式は次のようにあらわされる。 m(d^2x)/(dt^2)=-HA(x)
'木村'訳
これらのメカニズムの速度と相対的な重要性は、試験片の材料によっても、また荷重、滑り速度、周囲の環境、その他の要因によっても異なる。研磨剤の劣化によってもたらされる問題を回避するために、標本が常に新鮮な研磨剤に対して滑ることが保障されることが多い。ピンオンディスクジオメトリ（図6.26（a））では、これらはテスト中にピンをディスク上で半径方向に動かすことで達成できる。その結果、ピンはスパイラルトラックを描く。別の形状としては、長方形の研磨紙の上を直線的にスライドさせる（図6.26（b））か、研磨粒子で覆われた回転シリンダーに沿ってピンを軸方向に動かす（図6.26（c））後者のタイプの装置は、国際的に広く使用されているゴムの磨耗試験のためのドイツ国内規格手順（DIN53516）に規定されている。これらの場合のそれぞれにおいて、一定の荷重がしばしば自重によってピンに加えられる。いくつかの設計では、ピンの位置を連続的に監視するために電気的変換機を使用してその瞬間の長さを測定するが、磨耗率は通常、試験前後のピンの重量を測定することによって測定される。このようにして、試験中に磨耗の連続記録を得ることができる。
'今野'訳
図6.26（ｄ）は２種類目の一般的なアブレッシブ磨耗試験を概略的に示している．試験片はプレートまたは，ブロックの形をしていて，回転するホイールのふちに対して一定荷重で押し付けられている．米国規格として採用されている通常の形式では（ASTM：乾式砂/ゴムホイールアブレッシブ磨耗試験実施のための標準プラクティス）ホイールはスティールディスクの表面に形成され，規定の硬度（すなわち弾性率）のゴムリムで構成されている．標準仕様では，ゴムリムの厚さは12.7mm，ホイールは幅12.7mm，全直径228.6mmであり，それは200rpmで回転する．ホイールに対して試験片を押す力もまた，規定されている．せまい粒子分布のシリカ（石英）粒子を特定の供給源から接触領域に一定の速度で供給する．磨耗は試験片を秤量することによって測定する．一般的な手順では試験期間，荷重，滑り速度，ゴムの硬さ，粒子供給速度のように他の試験定数もまた規定しています．
'澤'訳
図の6.26に示される2種類の試験では、試験片はかなり異なる状況にさらされる。ゴム車輪の試験では遊離砥粒を含み、それは摩耗の間ずっと柔軟な車輪をへこませる。接触している間はおそらく転がらないが、それがかなり回転できるのは確かである。その間砥粒は摩擦エネルギーの散逸を最小にするために切削方向から離れていく傾向にあるだろう。なので、この試験の状況は二元摩耗より三元摩耗により近い。測定された摩耗率(金属に対してK≒5×10^(-4))は確かに三元摩耗試験での値と比べてより近い値をとる。
'長谷川'訳
固定研磨上でピンの試験片を滑らせることを含む試験は、対照的に真の二元摩耗を生じる。多くの場合は、おそらくそれらを容易に入手できるためにアルミナまたは炭化ケイ素研磨紙が使われる。6.2.1で見たように、これらの研磨剤は天然の研磨剤粒子よりはるかにっ硬いのでより柔らかい研磨粒子の使用条件でそのような硬質粒子による摩耗試験の結果を適用する際は、注意が必要である。研磨粒子の硬度、形状サイズは概説した理由により、すべての摩耗率に影響を与える。それらは様々な摩耗メカニズムの相対的重要性を制御し、そして、異なる研磨剤粒子および異なる条件を使用する異なるタイプの摩耗試験からの結果が比較されるときに材料のみかけの耐摩耗性は著しく変化する。
'目黒'訳
式6.21は、エロージョン摩耗を支配している要因の未熟な推定のみを与えている。例えば、それはどの侵食率の変化も無視している。私たちの理解をより深めるために硬い粒子と延性材料の表面との間の相互作用をより詳細に考察しなければならない。硬い粒子の衝突のための変形の幾何学は、衝突速度、形や粒子の適応性、そして衝突角度に依存する。図6.33で示されたように、エロージョンの衝突角度はふつう平面と関連して定義される。垂直衝突ではθ＝90°だが、一方ですれすれの入射ではθが0二位なる傾向がある。図6.33で示されたように（曲線a）、延性材料の侵食（例えばたいていの鉄）では、非常に衝突角度に依存している。一般的に、直角入射における摩耗率のピークは最大20～30°を示し、1/2~1/3まで落ちている。
'石﨏'訳
試験方法の機械の特徴による影響とは全く別に, 図6.23と図6.28で確認できるアブレシブ材料だけに見られる強い効果がある. これは, ピン―オン―プレート試験（図6.26ｂ）での２つのマルテンサイト系鉄合金の摩耗で見られる. その２つの材料とは, バルク硬度の近い0.9%炭素鋼と27Cr白鋳鉄である. 炭化ケイ素に対してアブレシブ摩耗する際は2つとも似たような摩耗量を示すが, ザクロ石に対しては全く異なった挙動を示す. アルミナに対する摩耗はその中間的なふるまいを示す. これらの違いの主な理由は, 硬さの異なる研磨剤における, 二つの材料, 特に鋳鉄内の硬質炭化クロム相の反応にある. 脆性炭化カルシウムの広範囲な破砕は, 炭化カルシウムよりも硬い炭化ケイ素とのアブレシブ摩耗では起こるが（表6.1参照）, 一方で炭化カルシウムより柔らかいザクロ石とのアブレシブ摩耗ではそのような破砕は起こらない.
'加賀谷'訳
第5章で議論されている滑り摩耗の場合において，研究室での結果を実用化することにおいては注意をしなければならない．最低でも，2セットの条件化における摩擦のメカニズムが一致していることを立証しなければならない．特定の用途におけるより詳細なシミュレーションを与えるために，多くのアブレシブ摩耗試験が考案されてきた．その一例が研究室スケールのジョークラッシャー試験により与えられ，それは鉱山業における大規模選鉱プラントで起こる，ガウジング摩耗の摩擦シミュレーションで使用され，またUS規格であるASTM G81に採用されている．ジョークラッシャー試験において，ジョーと呼ばれる2つの平らなプレートは，互いに複雑な動作をするため相対的に稼動させられる．図6.29はジョークラッシャー試験におけるデザインされたプレートの動きを示してあり，その楕円は稼動プレートの動きを示している．試験片プレートの摩耗率は一定量の標準岩石，通常最大50mmほどの大きさの標準岩石が衝突した後，その重さを量ることにより決定される．装置の規模や運転条件は当然一般化されなければならない．実験条件における必然的なちょっとした変化性を補正するため，もう1つのプレートはスタンダーダロイでできており，またその摩耗率も計測されている．この方法では，実験での試験片と標準物質の摩耗率を同時に計測することができ，そしてその比が導き出される．
'大谷'訳
摩耗試験のこれらすべての結果は多くの実験の変数によって影響される. そして異なる実験室間で試験結果を再現するためには, 測定しているすべての条件そして標準化している条件に注意を払うべきである. ASTMのゴムタイヤ摩耗試験では, 例えばそれは厳密に定義されている. 同器具を用いた同材料での標準状態下の摩耗率測定の一連は一般的に平均値の約5%の標準偏差の摩耗率の分布を示す. 試験の間は, 異なった実験室で名目上は同一条件で実施される. 標準偏差は10%かそれより大きくなると思われる. 少なくともこの変化性の一部はアブレシブ粒子に属するものとみなすことができる. 特に粒子形状は摩耗率において強い影響を持つ. (説6.2.2参照), そして摩耗状態でのいくつかの変化は, 必然的に異なる同じ摩耗源からのアブレシブの一郡でさえも見つけることができる. 多くの場合, 上記で述べられたJaw-crusher試験のような試験条件を構成するための標準物質の使用は価値があるであろう.