第09回英文輪読
'木村'訳
単純な粒子形状では、この方程式は容易に細かく解くことができるが、私たちの目的では、粒子が深さdで静止するときの最終的な圧痕の体積だけを知りたい。（図6.31）この点では、減速力によって行われる仕事は粒子の初期運動エネルギーに等しくなり、これは初期速度Uを有すると仮定される。 ∫d~0 HA(x)dx=1/2 mU^2 (6.16) 圧痕Vの最終体積は V=∫d~0 A(x)dx (6.17) で与えられる。 したがって、Hは定数であると仮定されるので V=(mU^2)/2H
'今野'訳
くぼみから変位した材料は数種類の起こりうる運命をたどるかもしれない．それはくぼみから離れた材料の弾性変形によって適応させられるかもしれないし，くぼみ周りの塑性変形した材料のふちを形成するかもしれないし，あるいは磨耗粉として何らかの方法で除去されるかもしれない．以下では材料を除去することができるメカニズムによって論じるが，現時点ではくぼみから変位した材料の1部Kが磨耗粉として除去されるだけだと仮定する．したがって除去された材料の質量はkρmu^2/2H（6.19）と書くことができる．ここでρは侵食される材料の密度，Kは無次元定数である．
'澤'訳
式6.19をたくさんの影響に渡って合計することは、表面から取り除かれる材料の総質量は表面にぶつかるエロ―ジョン粒子の総質量に比例するということを提唱する。図の6.32は表面から失われる質量が表面にぶつかるエロ―ジョン粒子の総質量によってどのように変化するかを示している。ある材料では、粒子は表面に埋め込まれる場合があり、曲線(b)に示されるような初期質量増加を引き起こす。この潜伏期間は、主に柔らかいターゲット材料においてみられ、入射角が大きいところでより際立つ傾向にある。この期間の後、エロ―ジョンが表面を打つ砥粒の質量に比例して進行する。たいていの延性の高い材料とエロ―ジョン粒子のたいていの種類では、しかしながら、潜伏期間はごくわずかで、図の6.32の直線(a)のように表面から失われた質量はエロ―ジョン粒子の総質量にほぼ比例する。定常状態でのエロ―ジョンで見られる線形関係により、エロ―ジョンEを簡単に定義することができ、 E=除去される材料の質量/(表面に当たるエロ―ジョン粒子の質量) (6.20) となる。Eは無次元量で、式6.19は E=(KρU^2)/2H (6.21) となる。
'長谷川'訳
アブレシブ摩耗についての式6.21と式6.5の比較は有益です。どちらも表面の硬さであるHに反比例する摩耗率を予測する。アブレシブ摩耗における垂直荷重の役割(式6.5のW)は、侵食時にはρU2/2の量で発生する。どちらの場合も、摩耗の厳しさは無次元摩耗係数Kによって決まる。これは6.3.1項で説明したように滑り摩耗のArchard係数に似ている。Kは材料除去のプロセスの効率の尺度として考えることができる。侵食粒子によって置き換えられたすべての材料が除去された場合、Kは1になる。金属の浸食の場合、Kは一般的に5×10-3～10-1の範囲にあり、二元摩耗において観察される値と非常に似ている。
'目黒'訳
容積硬さがアブレージョン摩耗にもまた当てはまる鉄の侵食抵抗の乏しい予測因子であるといういくつかの理由があり、すでに節6.3.1で論じられてきている。より良い相互関係は侵食抵抗とエロージョンによる加工硬化の後の表面硬さの間に見られ、案の定、依存性は理論によって提唱されたそれよりも弱い。塑性流動の度合いは、除去のために取って代わられた材料の故障発生度に影響があるであろうそれぞれの粒子の衝突場所の周囲に限定されており、おそらく重要である。そのため先ほどアブレージョンについて論じたように、鉄の加工硬化率に影響があり、弾性率と硬さの比にも関係がある。合金の場合は、硬さの増加量の効果はそれぞれの衝突によって取って代わられた鉄のより多くの割合の除去につながるひずみ硬化率の減少によってたぶん相殺されるだろう。
'石﨏'訳
衝突角30度で金属面に衝突する粒子の研究は，図6.34で示されるように衝撃による損傷には3つのタイプがあることを示している．円形粒子は掘り起こしによって粒子前方または側面の材料と入れ替わることで表面を変形させる（図6.34a）．近傍にさらなる衝撃が加わると，クレーターの縁，もしくはへりの端点を起点として材料が大きく歪む．このような変形では，図6.11のb,cに見られるような掘り起こしモードと隆起モードのアブレージョンの双方が生じる．角のある粒子で生じるこの変形は，表面に衝突する粒子の挙動と，接触時の粒子の回転方向が進行方向か逆向きかに依存する．図6.34bに見られるようなⅠ型の切削モードでは，粒子は進行方向に回転し，表面にぎざぎざをつけ，材料を掘り起こして突出したへりを形成し，材料除去を容易にする．もし図6.34cのように粒子の回転が進行方向と逆向きであれば，アブレシブ粒子の角が表面から突起を切削する正しい機械的挙動をしめす．これはⅡ型の切削モードで，粒子の形状や衝突の挙動の条件さえ満たせば生じる．
'加賀谷'訳
単一粒子が平らな表面にぶつかるとき、これら３つのタイプの変形の間に明確な区別をつけることができるが、不規則な形状のランダムに配向した粒子が以前に侵食され、それによって粗面化された表面に衝突するとき、分類はそれほど単純ではない。それにもかかわらず、単一粒子の衝撃によって引き起こされるものと同様の特徴は、多くの粒子の衝撃によって浸食された表面上で区別することができる。図6.35（a）は、例えば、炭化ケイ素粒子で浸食された鋼の表面を示している。浸食摩耗は、衝撃部位から盛り上がったクレーターの縁や唇に移動した金属の塑性破裂による剥離と関係している。各衝撃は形成されたくぼみから材料を移動させるが、それは数サイクルの塑性変形を経験しそしてひどく加工硬化する。
'大谷'訳
アブレシブ粒子の形状は各圧痕周りの塑性変形のパターンと, リップやリムを形作る各圧痕によって動かされた材料の割合に影響する. より丸い粒子は少ない局所的な変形を導き, そしてより大きい衝撃は粉のかけらを取り除くのに必要とされる. 増加した衝突角度も同じような効果を持っている. 特に直角入射による球形の粒子の場合には, 在得ようは隣接した衝撃が周期的な塑性変形を負わされることによって取り除かれる. そして表面は角ばった粒子によって腐食されたものと大きく異なって見える, (図6.35(b))