第02回英文輪読

'清野'訳

表面間で相対運動が起こる場所では摩耗を完全に取り除くことはできないが,ある条件においては重要でないレベルにまで摩耗を低減できる可能性がある.予測された摩耗率が許容できない場合(または事実上,機能システムを再設計する場合),設計者は摩耗率を低減するためにいくつかの方法でシステムを変える必要がある.特定のシステムにおける摩耗率が多くの要素の相互作用によって決められるということを認識することは重要なことである.摩耗分析のためのシステムアプローチと呼ばれるものでは,これらの影響は次の2つのグループに分けられ認識されている.それは機械システムの構造およびそれに課される動作変数である.

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'馬場'訳

7.4 操作変数の変更による摩耗の低減 これらは通常、システムの全体的な目的によって決定されるため、動作変数の変更の範囲は限られている場合がある。第5章と第6章で与えられた簡単な式は、摩耗のいくつかのメカニズムで操作変数を変更した場合の影響の可能性が高いことを示しており、いくつかの指針を提供することができる。例えば、すべり摩耗の場合、砥粒の有無にかかわらず、式5.7と式6.5は常圧(単位公称接触面積あたりの負荷荷重)を下げることで摩耗速度が低下することを示している。これは、荷重を減らす(これは特定の設計の制約の中では現実的ではないことが多い)か、荷重がかかる面積を増やすことによって達成する可能性がある。第5章で見たように、常圧の低下やすべり速度の低下は、すべり摩耗のメカニズムに変化をもたらす可能性もある。

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'吉田'訳

固体表面が互いにすべり合う場合、潤滑の状態、すべり面の性質、化学的環境、および通常の負荷やすべり速度のような運転条件に応じて、いくつかの異なるメカニズムによって摩耗が発生する可能性がある。これまで見てきたように、表面の相対的な変位は意図的あるいは大きなものである必要はない。たとえ表面が名目上固定されていたとしても、わずかな相対的な振動運動がフレッチング及び関連する摩耗を引き起こすかもしれない。これら全て条件下での摩耗については第5章で説明している。転がり軸受のように、接触が主にすべりではなく転がりを伴う場合、転がり接触疲労によって表面の損傷と摩耗が発生し、これは全てのタイプの軸受の材料とともに第9章で説明されている。

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'秋澤'訳

このようなアプローチには落とし穴がある。第5章と6章で見てきたようにいくつかのシステムの摩耗速度は一定でなく、時間と共に変化する。慣し期間(潤滑滑り摩耗の多くの場合のような)の後に減少したり、初期潜伏期間(特定の状況下での固体粒子の侵食のような)の後に増加する可能性もある。外挿法によって寿命を予測するには、設計者は測定された摩擦速度が事実上一定のままであり、システムの操作変数が変化せず、その寿命に渡って摩擦速度に影響を与えないことを確信しなければならない。さらに、システムの最終的に停止するメカニズムについてある程度の知識が存在している必要があり、測定された摩擦速度はそのメカニズムに関連していなければならない。例えばスラリーのパイプラインの場合、摩耗による壁の穿孔は通常、曲がり目の外側の曲線で起こり、ほかの場所の平均摩耗速度でなくその時点の摩耗速度でシステムの寿命を決定する。

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'福島'訳

表面間の垂直力や摩擦係数を下げることは、幾何学的な要因によって引き起こされる接触圧力の集中を減らす設計法と同様にこの効果がある。二つ目の場合では圧力制御として説明され、摩擦を減らす方法の目標は相対運動を減らすあるいは無くすことでなければならない。ここでは締め付け力または摩擦係数の増加は変位を減らし、このようにしてフレッチング摩耗の割合を減らす。適切な接着剤またはシーリング材の賢明な使用はこの点だけでなく、フレッチング摩耗のメカニズムが起こるのに必要な大気中の酸素への接触を防ぐのにも役に立つ。従って特定のフレッチング摩耗に対する最適な設計解決策は運動の起源に依存する。             

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'最上谷'訳

「著しい摩耗」と「許容範囲」という用語の意味は設計されているシステムの詳細に明らかに依存する。同様に、摩耗を減らすためにとることができるステップにも依存する。 摩耗を提言する方法を提案するためには設計者は摩耗が発生するメカニズムを確立する必要がある。また、そのメカニズムによる摩耗を制御する要因を理解する必要がある。 この本の初めの章の目的の1つは、このような摩耗メカニズムの基本的な理解を提供することです。 前の2つの章では、機械システムで一般的に起こる摩耗のいくつかのタイプを説明しました。

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'兼田'訳

稼働中の摩耗速度を推定する第二の方法は、稼働中に予想される摩耗速度をシミュレートする条件で、システムの構成要素の試験からデータを取得することである。この方法は密接に稼働状態を模倣する潤滑の負荷、速度、温度および状態を実験室の試験装置で明らかにすることができる軸受けの摩耗を予測するために広く利用されている。加速試験を使用して,例えば,軸受の摺動速度を上げることによって,使用中に発生するよりも急速に摩耗を生じさせる場合には,摩耗メカニズムが変更されず,他の関連する稼働条件が同じままであることを確実にするために,(5.2 節で述べたように)注意が払われなければならない。使用中のシステム全体の摩耗測定と同様に,リグ試験のデータの構成要素は,注意してのみ外挿しなければならない。

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'廣川'訳

これは摩耗速度の有益な削減につながる可能性があり、しかし代わりに壊滅的な増加を引き起こすかもしれない。摩耗が発生している体裁の知識はこのような状況で明らかにとても役立つ、そしてもしシステムが非常によく特徴づけられており、摩耗メカニズムマップを構築できる場合、これは非常に貴重なツールとなる。そのようなマップの将来の開発は、設計プロセスにおいて大きな利益になると思われる。浸食摩耗は、接触している2つの表面の相対運動によって生じる。フレッティング問題の2種類は識別できる。変異制御と応力制御に。

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'今野'訳

負荷や速度のような操作変数の摩耗速度に関係する理論上のもしくは実験上の方程式は、摩耗速度を予測する3つ目の意味を提供する。滑り摩耗のシンプルな方程式(Archard方程式)では、摩耗と侵食はチャプター5と6で与えられる。これらはざっとした摩耗速度の見積もりだけを提供することができるが、操作変数の値が分かっている初期の設計計算書の値になるのもわかる。 方程式5.7の滑り摩耗や6.5の摩耗、そして6.21の侵食の場合では、摩耗速度の絶対値は無次元摩耗係数Kの値に依存する。Kの典型的な値はチャプター5と6で減らされ、テーブル7.1に要約された。ここに載せられた範囲は幅広いが、十分な実験データはさらに狭い範囲で存在するさまざまなはっきりした材料や状態で見積もられる。そのような情報の出典がこのチャプターの最後に載っている。

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'本田'訳

全てのケースにおいて、フレッチング摩耗の大幅な低減は、フレッチング動作の原因に注意を払うことで実現できます。それは熱膨張の違いによるものかどうかや、バランスを欠いた回転体の力によるかどうかや、その他の振動が原因によるものかどうかを問いません。その他多くのタイプの摩耗と異なり、フレッチングは適切な設計法を用いることによって往々にして完全に取り除くことが可能です。接触疲労による表面損傷で一般的に歯車やカムフォロワーや、9.2.2章にある転がり軸受で見られるものは、周期的な表面荷重の結果として発生します。システムがさらされる周期的負荷を減らすことは通常現実的ではありませんが、ジオメトリの変更や負荷の削減を通じて、最大接触応力を削減する措置を講じることができ、有益な結果をもたらす場合があります。

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'高内'訳

構造は相対運動している表面を構成する材料、存在する界面材料の性質(潤滑剤と研磨粒子を含む)、環境(例:周囲の気体または液体)、およびこれらの構成要素の間の幾何学的関係によって説明できる。動作変数は動作速度、負荷、温度のような使用中にシステムに課せられる条件である。これらすべての要因が摩耗率に影響を与える可能性があり、設計者はそれらのほとんどを制御できる。私たちは動作変数の変更、潤滑、適切な材料の選択によってシステムの摩耗をどのようにへらすことができるか、この章の残りの部分でよく考えるだろう。

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