Research
現在の研究内容
脊椎固定器具の固定性向上
ペディクルスクリュー締結部の高摩擦化による固定性向上
脊椎側弯症患者に対して,脊椎固定器具を用いたインストゥルメンテーション手術が施される場合がある. 脊椎固定器具の1つにスクリューとロッドにより椎体間を固定する方法(ペディクルスクリュフィグゼーション)がある. ペディクルスクリュは施術後に体表から浮き出るという問題があり,日本人の体格に合うよう小型化が進められている. しかし,ペディクルスクリュの小型化に伴い剛性や固定性の低下が懸念される. そこで本研究室では,小型化した器具においても同等な固定性を得られる高摩擦係数を有する接触面の開発を行った. ロッドとの接触面(セットスクリュ端面・Cリング表面)にレーザ加工機を用いてテクスチャを施すことで接触面を高摩擦化させた. ロッドとペディクルスクリュ間の摩擦力を向上させることにより,ペディクルスクリュの小型化を可能にした. 摩擦力が向上することにより,従来よりも小さい力で設置することができる. また硬さ試験と組成分析により,レーザ加工を施した表面が硬化・酸化していることが確認され,摩擦力が向上したメカニズムが明らかになった.
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締結面の摩擦メカニズム
本研究は,レーザ加工による摩擦係数増大効果の詳細なメカニズムを明らかにすることを目的としている. ボールオンプレート型の摩擦試験装置を用いて摩擦試験を行い,予摺動の有無,レーザ照射回数の違いによる突起高さの違いが摩擦係数および摩擦メカニズムに及ぼす影響を明らかにした.
スパインフックの固定性向上
脊椎側彎症の治療に用いられるスパインフックというものがある.
既存品では、フック部分のサイズが決まっており,骨に圧着させることが不可能となっていて十分な固定力,矯正力を得ることができない.
そのため脱落しやすいなどの問題点がある.
そこで骨との接触部にねじ機構を使用した製品が開発され従来は行えなかった骨への圧着が可能となった.
しかし,スパインフックと骨における摩擦についての研究例は少なく,最適な摩擦面形状や摩擦特性は明らかになっていない.
本研究ではフックの固定力向上を目的とし,Ti-6Al-4V試験片にレーザ加工を施し微小な凹凸をつけ,骨との摩擦試験を行った.
骨試験片に与える垂直荷重, Ti-6Al-4V試験片表面の凹凸の大きさを変化させることで,摩擦力,摩擦係数を測定し,その結果を基にスパインフックにおける骨との摩擦面の提案を行った.