Research
現在の研究内容
広視野レーザ干渉計を用いた精密金型の形状計測
光学部品の非球面レンズは,一般的に金型によって製作される. 非球面レンズは完全な球面ではない形状を持ち,球面レンズに比べ収差が小さいという特徴を持っている. このような特徴を実現するためには,使用される金型には高い寸法精度が求められる. この金型の形状測定には広い視野と高い分解能が要求されるが,この二つはトレードオフの関係にあるため一般的な光学装置での測定は困難である. そこで本研究室が開発した広視野・高分解能という特徴を持つ広視野レーザ顕微鏡に参照板を導入しレーザ干渉計とすることで凹面形状を測定する方法を考案した. 凹面観察物に参照板を介してレーザを走査させることでレーザ光の干渉が生じる. そこから得た干渉縞画像から凹面の形状を得ることが可能である. この方法を非球面レンズ金型の測定に応用することを目的とし,以下の実験を行った.
干渉縞は参照板底面と観察物の距離がレーザの半波長分変化する毎に発生する. そのため観察物の勾配が大きいと干渉縞は密になり,レーザ顕微鏡の分解能を超える細かさになってしまうため,解析が困難となってしまう. そこで平凸レンズを参照板として用いて参照板底面と観察物の距離の変化率を小さくすることで干渉縞の間隔を広げ,干渉縞を確認できる範囲を広げることに成功した.
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平面参照板では観察物の勾配が大きいと反射光を取得することができない. そこで平凹レンズ参照板を用いてレーザを屈折させ,観察物表面に垂直により近くレーザを当てることで反射光が得られる範囲を広げることに成功した. また,切削工程後の粗さをもつレンズ金型の形状計測を想定し,このレーザ干渉計における干渉縞が発生する限界の表面粗さを明らかにした.
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この干渉計において,鮮明な干渉縞を取得するために金属薄膜を成膜し反射率を上げた参照板を用いると,通常とは異なる非正弦波状の輝度分布を示す干渉縞が観察された. さらに,この非正弦波状の輝度分布と干渉縞の傾斜方向との間に関連性があることが実験的に明らかになった. この干渉縞を形状計測に利用するため,参照板に成膜する金属薄膜材料を替えて干渉縞の観察と解析を行い,金属薄膜の影響と干渉縞の輝度分布が非正弦波状になる原因を明らかにした.
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広視野レーザ干渉計を用いた凹面形状のナノレベル測定法を非球面レンズ金型計測に実用化する際,切削加工後に一度干渉計で測定し,研磨加工にフィードバックすることで金型の形状精度を上げるといったことがある. ここで,切削加工面を観察する際,表面粗さがレーザの波長に対して大きい場合に干渉縞画像の画質に影響を及ぼすことが考えられる. そこで,本研究では広視野レーザ干渉計での観察において観察物の表面粗さが干渉縞生成に及ぼす影響を検証した.
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