第02回英文輪読05月07日
'池田'訳
図1.1は燃料効率におけるエンジンオイル改善の影響を示す。
1993年から2005年までに、エンジンオイルの変化は非粘性のエンジン摩擦の低減により1.2％燃費の向上をもたらした。
これは取るに足らない量だと思えるかもしれないが、1997年のアメリカの消費レベルで年間ガソリン消費量を15億ガロン削減するのに十分である。
燃費向上に伴い、これらの新しいエンジンオイルもより良い磨耗保護性能、耐酸化性、ピストン清浄性、スラッジ及びワニスの形成の傾向を達成した。
同1993-2005期間にわたって、より低い粘度伝達流体を使用することによって自動車の燃費をさらに1％改善し、より低い粘度のギア潤滑油を使用することでもう1％達成した。
摩擦の低減によって6速トランスミッションよりも約10％の改善を提供することができる無段変速機（CVT）の採用によって、燃費の大幅な上昇が期待されている（ゲンゴーパーディエイ2006）。
図1.1 ガソリンを燃料とする(GF)車両のエンジンオイルを変えることでエンジン摩擦の低減が達成されることによって、燃費効率は向上している。
GF-1からGF-4のエンジンオイルの仕様はベースオイルと添加剤の化学的性質の変化に対応している。
5W-30から5W-20にオイル粘度を下げることでさらに0.5％の改善を提供している。
ベースラインは1993年以前に利用可能なエナジーコンサーヴィングⅡ のエンジンオイルである。
フォードリサーチとアドバンスドエンジニアリングのロン・ジェンセンとアラップ・ゲンゴーパーディエイの好意による。
'加藤'訳
1.2.1.2 MEMSとデジタル・マイクロミラー・デバイスにおける凝着の解明
メカニクス（力学・機械学）の縮小化は、主要な新しいテクノロジー（科学技術）になり得る、ということは長い間認識されてきた。
近年、マイクロスケールのデバイスの製造のための最も将来有望な方法は、半導体電子デバイスのために独自に開発されたプロセスを使うことである。
これらのプロセスを使うことにより、力学的機能（作動、流体の流れ、熱応答など）は、チップの小さな領域（面積？）において電気信号の処理と一緒に統合することができる。
半導体処理技術とともに、これらの微小電気機械システム（MEMS）の製造の大きな利点は、それ自身が大きなスケールの節約（効率的な使用）を成し遂げることである、というのも、多くのデバイスが1枚のチップの上に同時に作られるからである。
小さな空間への機械的・電気的機能の統合に加え、この低単価は、すべての新しいテクノロジーのタイプ（型式）が商業的に存続可能になることを容易にさせる。
今のところ、最も成功したMEMSのデバイスは、車のエアバッグを起こすために用いられる加速度計と、映像の映写のためのデジタルライトプロセッシング（DLP：デジタル光処理）に用いられるデジタル・マイクロミラー・デバイス（DMD）である。
しかしながら、これらのMEMSデバイスでは互いに表面がこすれ合ってしまうため、この縮小化のプロセスはしばしば厳しいトライボロジー的問題になる（Williams and Le 2006）。
たとえば1988年、初の実用的なMEMSマイクロモーターについて大きく騒がれた（Fan et al. 1989）。
これらのマイクロモーターが要望通り（指示通り）に回転する間、それらは高摩擦と過度の磨耗を被り、結果として多くのアプリケーションの寿命がかなり短くなってしまった。
徹底的な研究の奮闘にも関わらず（Maboudian et al. 2002; Williams and Le 2006）、MEMSマイクロモーターのための満足いく潤滑の機構（仕組）は開発されてこなかった。
状況は、トライボロジーの困難に直面している他の多くの潜在的なMEMSデバイスと同様である。
したがって、動くパーツが互いにこすれ合わないようにするためにそれら（MEMSデバイス？）を設計し、可能な限りMEMSのトライボロジー問題を回避するべきである。
'齋藤'訳
デジタルマイクロミラーデバイス（DMD）－テキサス装置によって発展し、大画面テレビのようなDPLビデオ投影装置に使用される－プロバイド、しかしながらミクロスケールの摩擦問題におけるサクセスストーリーは実用化に向けた十分な信憑性をもたらすために解決されなければならない。
DMDでは、それぞれ約16μmに渡るミラーの配置は、ビデオ画面上に映像を投影するためのものである。
図１．２に示されたように、それぞれの画素の強度は静電引力の使用によって±10°の間で個々のマイクロミラーを回転させることで支配している。
1996年に初のDMDプロダクトに送る以前、テキサスインストロメントが大きな信憑性のある設計と実験を行い、信憑性のある発行物のいくつかは申し込まれた。
動かないミラーやミラーヒンジの疲労、ヒンジメモリー、ミラーは振動や衝撃の結果壊れ、粒子は回転からミラーを妨げる。
ここで私たちは、それらの機械的な停止に対するミラーのくっつきに焦点を当て、それはTIエンジニアが粘着性のあるメカニズムの良いマイクロレベルの理解を基にした賢い解決策の組み合わせを実行した頑固なトライボロジー問題であった。
DMDでは、個々のマイクロミラーはオンの位置からオフの位置に回転する。
それぞれのミラーは、ローテーションの終わりで正しい角度を保つということを保障し、図1.2のようにミラーのくびきは機械的停止に対して静止するように設計されている。
DMDの発達の間、この接触で起こる粘着力は時々停止に対するミラーの固定の結果に十分な大きさになるだろうし、それを無機能にする。
これらの粘着力は接触周りを濃縮する水蒸気のために起こる表面張力やファンデルワールス力が原因となって起こる。
設計変更のいくつかは、DMDでのこれらの粘着力の巨大さを減少することと放つ機能を改良することを実行する。
'笹崎'訳
- DMDは水の毛管凝縮を最小限にするために乾燥した環境の中で密閉して封印された。
- 接触している部分はファンデルワールス力を最小限にするために低表面エネルギーを持つ”非粘着性”材料で覆われていた。
- 小型のバネは図1.2に示されている”バネの先端”に接触させる鏡を結びつける部品に加えられた。
図1.2 デジタルマイクロミラー装置の中にある2つの鏡。 静電気力はバネの先端を接触させて機械的に止めるため、鏡を±10°回転させるのに用いられる。 テキサス・インスツルメンツのM.R.Douglassの好意。
'佐藤'訳
1.2.1.3 ディスク・ドライブのスライダー-ディスク・インタフェース
ディスクドライブ産業は、断続的にトライボロジー的な問題を解くことを通して数十年持続し続けた技術の指数関数的な改善の最も著しい例である。
最初のディスク・ドライブは、IBM RAMACコンピュータの一部として1956年に導入された。
RAMACディスクドライブはその日、 小型の冷蔵庫のサイズの空間の中に4.4メガバイトを印象的に保存した。
記憶容量のこの相当な増加とサイズの縮小は、主に範囲貯蔵密度の指数関数的な成長から来た。（ディスク面で平方インチにつき保存されることができるビットの数）
1956年から2006年まで、ディスク・ドライブの範囲貯蔵密度は、10の5乗倍に増加したが、年間成長率で、30から100%にわたる。
範囲密度のこの相当な成長は数十年にわたっている期間の間継続し、ディスク・ドライブ技術のすべての面は、絶えず改善されなければならなかった。
ここで私たちはディスクドライブ産業における範囲貯蔵密度のこの急速な成長を継続するために最近直面したトライボロジー的挑戦に焦点をあてる
ディスク・ドライブの中に、図1.3に図示されるように、読込み・書込み記録ヘッドによるスライダーは、回転ディスクの上にある。
情報はディスク面の上の磁気材料の薄い層の中に磁気ビットとして保存される。
これらのビットからの地場がビット・サイズに比例する衰退距離に伴ってディスク磁気媒体から離れて急速に衰退するので、ヘッドセンサーとディスク上の磁気媒体との間の磁気間隔はディスクドライバー製品の将来の中でディスク上の磁気ビットの横の寸法と共に一定の比率が必要だ。
図1.4は、磁気間隔と線形ビット密度の関係を示す。
'定嶋'訳
図1.3 上部）ディスク駆動装置で回転しているディスク表面上で浮く記録ヘッド・スライダ。
（下部）記録ヘッドが位置するスライダの後縁の拡大図。
横断面は磁気間隔に寄与する記録ヘッドとディスクの様々な構成要素を示す。
そして、それはディスク磁気媒体の上部からヘッドセンサー下部までの距離と定義される。
範囲貯蔵密度がより高いほど、磁気間隔は、より小さい必要がある。
図1.4 ディスク駆動体に格納されるデータの線形ビット密度の機能としての磁気間隔の傾向。
範囲貯蔵密度=線形ビット密度/軌道の幅。
日立グローバルストレージテクノロジーズの提供。
記録ヘッドスライダがディスク表面上のわずか数ナノメートルの隙間で高速（一般的に約10メートル/秒）で飛ぶので、スライダとディスクの間の高速接触による危険の最小限化に向けて、製品の開発、製造に細心の注意を払う必要がある。
これらの接触の数を最小にするために、スライダの下の空気を引いているディスクにより発生する空気軸受と、スライダの下部表面の上に精密に組み立てられた袋で飛ぶように、スライダは設計されている。
これらの表面特徴は、ディスク表面上の数ナノメートルの後縁でディスク上を浮上するスライダを可能にして、サスペンションから荷重力と釣り合う持ち上げ力を発生させる空気軸受面（ABS）を形成する。
時折の衝撃から保護するために、ディスクとスライダ表面は、通常、ダイヤモンドのようなカーボンの硬質材料（2005年の駆動装置で約3-4 nm）で覆われている。
さらに、スライダ、ディスク境界面は、高速衝撃によって破損していないことを確実にするために、潤滑剤の分子的に薄い膜（一般的には、約1nmの厚さ）はカーボンを上塗りされたディスク上に適用される。
'豊﨑'訳
図1.4でわかるように、ヘッドセンサーとディスクの磁気層の間の空間は保護層として利用でき、それらは急激に減少していく。 この1995年から2005年までの10年間で磁気を帯びた空間は96nmから16nmまで劇的に縮小した。 これはいくらかの主要な技術革新を達成しておらず、むしろ特にトライボロジーの細部を入念に注目している。
- 形成加工工程とスライダ空気ベアリング面の許容差制御の向上が改善され、結果として最後のスライダーディスク空間の制御が向上した。
- 高密度なカーボン保護膜によって合成と滞積工程が変化した。
- 潤滑油システムの設計は少なくともディスク表面の潤滑油の単一層をディスクドライブ寿命以上に保つ。
- ディスク地形の慎重な制御は、サブナノメーターの粗さを達成した。
'中村'訳
- 熱の浮上高制御 - 記録ヘッドに組み込まれた小さなヒーターは数ナノメートル未満まで隙間を活発に制御するために使用される。（ソクら、2005）
- ウェアインパッド - 記録ヘッドは、スライダの後縁から突出する小さなパッド上に配置されている。 いったん磁気的隙間を空けることへのスライダオーバーコートの寄与を取り除き、浮上高許容差を改善するためにスライダがドライブにはめ込まれたら、数ナノメートルはパッドから離れて磨かれる。（シンら2004、ストロムら2004）
- 接触記録 - スライダの後縁が磁気的空間を空けることへのクリアランスの寄与を排除するディスクに接触して動く。（メイトら2004、メイトら2005）
1.3 現代のトライボロジーの簡単な歴史
トライボロジーの実践は有史以前の人間と同じくらい遥か昔に遡り、そしてその頃の人は、最初に儀式の道具に摩耗を使い、火を起こすために摩擦を使った。
摩擦の科学的調査は、摩擦が荷重に比例したという観察をノートに記録したレオナルド・ダ・ヴィンチで始まった。 摩擦のこの法則はフランスの物理学者、ギョームアモントンによって再発見され、彼は自分の発見を発表した。 これは現在1699年のアモントンの摩擦の法則で言及されている。 アモントンの結果は摩擦の微細な起源についての論争をすぐに引き起こした。 そして、それは今日さえ完全には解決されていない。 摩擦の考えられる起源は、第4章および第11章で説明されている。