第08回英文輪読07月16日

'池田'訳

 多くの表面はガウス分布によって表すことができるが、それはほとんどの表面ではないということを覚えておくことが重要である。 一般的に、研削面はガウスの高さ分布を持つが、その研削面のその後の研磨により、高さ分布から高い突起を削除する。 もう1つの例として、図2.1に示す加工面のような規則的な構造を有する表面を考える。表面高さはランダムではなく、機械加工によって生成される特徴的な波長や振幅の波形を持つので、この表面の高さ分布はガウス分布ではあまり表すことができない。 うねりの特徴的な波長より短い長さスケールでは、高さzの粗さはガウス分布によって潜在的に表されているだろう。

2.4 表面粗さの測定
トライボロジーの他に多くの科学的・技術的分野において、表面トポグラフィーの重要性によって、幅広い種類の技術が表面トポグラフィーを測定するために長年にわたって発明されてきた。 これらの技術は二つの分野に分類される。

  1. 接触方法、測定器の一部が測定物の表面に接触する方法。
    例:触針式形状測定、走査式プローブ顕微鏡
  2. 非接触方法
    例:光干渉、光散乱、走査型電子顕微鏡、静電容量式

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'加藤'訳

 測定具の選択はしばしばトポグラフィーの情報が要求される長さスケールに依存する。 たとえば、もしサンプルの広範囲にわたる表面粗さをそれほど正確でなくとも知りたいのなら、光学技術が一般的に用いられている。 もし興味のある範囲が数ミリメートルより小さいのなら、単線走査で十分であり、機械仕掛けの針の側面計が用いられるかもしれない。 もしできる限り高い解像度で比較的小さい面積(100μm未満)の表面トポグラフィーを知ることが望ましいのなら、走査トンネル顕微鏡(STM)あるいは原子間力顕微鏡(AFM)といった走査プルーブ(走査針?)が用いられる。
 我々は主に、できるだけ小さいスケールにおいて何が起こるのか、ということが書いてあるこの本に関心があるので、我々はただ原子間力顕微鏡がどのようにして表面トポグラフィーを測定するのか、ということについて詳しく論じる、というのもこれ(AFM)が小さなスケールにおいて表面トポグラフィーを測定するために好まれる技術だからである。

2.4.1 原子間力顕微鏡法 (AFM)
原子間力顕微鏡法において、とがったチップの先端にある数個の原子に働く力は、図2.5に示されるように、そのチップがサンプルの表面上を徐々に移動することによって測定される。 これは既知のばね定数を持った片持ち梁の末端にチップを取り付けることによって成される。 片持ち梁は力に比例する量によって傾く。原子レベルの分析を成すために、原子1個の大きさよりも小さいたわみを測定することが必要である。 一般的に原子は直径で数Åなので、測定感度は1Åよりも良いほうが良い。 図2.6はAFMに用いられる片持ち梁の小さなたわみを測定するために開発された、いくつかの方法を示している。 その方法というのは電子トンネル効果、光学干渉、光偏向、そして静電容量式である。 今日、多くのAFMデザインが常に10-11m(0.1Å)ほどの小さなたわみを測定している。 現在、工業用の(営利的な)AFMに用いられている最も一般的な探知法は光偏向である(図2.6(c),図2.7)

図2.5 原子間力顕微鏡(AFM)の概略図.

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'齋藤'訳

 表面のトポグラフィーを決定するために、AFMは先端が表面に接触しているときの反発力か先端がサンプルからの小さい距離によって分けられている時の引力のどちらかに使用できる。 その反発状態(ビニヒ、クウェイト他。1986年)で、先端は一定の力で接触しながら硬い表面を横切って走査される、そのため先端が昔ながらの蓄音機の溝を針が動くのとほぼ同じように表面形状の上を上下する。 この方法では、非常に高い解像度の表面地形が作ることができる。 典型的なAFMでは、半径10nmオーダーの先端は数ナノメーターの側面解像度を達成する数ナノニュートンの反発力と接触する。 正確な原子レベルの解像度を達成するために、先端を10nmより鋭くすることと0.1nNより少ない反発力で表面に接触することが必要であり、いくつかの大きな力が先端の端かサンプル表面上で原子を妨げる可能性があるためである。

図2.6 AFMsで片持ち梁のたわみを測定する様々な方法:(a)トンネル検出(STM、走査型トンネル顕微鏡)(b)容量検出 (c)光偏向(d)光学干渉

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'笹崎'訳

 柔らかく、より壊れやすい表面のために引力モードイメージングは用いられる. このモード(Martin, Williams及びその他 1987年)において、先端はファンデルワールス力の引力を感知するために、サンプルから2〜10nm程度離れたところに固定された. しかし、ファンデルワールス力の引力の大きさは反発力よりもとても弱い. この弱い力を測定する感度の良い方法は固有振動数未満の低い振幅で片持ち梁を振動させ、振幅を記録することである. 引力が先端に働くとき、片持ち梁の固有共振振動数は低い振動数へと移る。 そして、固有振動数が駆動周波数へと近づき振幅の増加に至らす。 フィードバックループは表面の上にある先端の高さを調節することにより振動を一定の変動に維持するのに用いられ、先端は表面よりも上で走査される。 先端に働く引力は先端とサンプルのバイアス電圧を適切にし、静電気力のファンデルワールス力を加えることで増加させることができる。 (Martin, Williams及びその他 1987年;Hu, Xiao及びその他 1995年;Kim, Mate及びその他 1999年)
 第3のAFM画像化方法は、’タッピングモード’あるいは’断続的な接触モード’と呼ばれ、反発力と引力の画像化方法のいくつかの特徴を組み合わせである。 断続的な接触モードにおいて、片持ち梁は一般的に数十ナノメートルという比較的大きな振動振幅であり、その固有振動数で振動させられる。 先端が振幅周期の間、一時的にサンプルに接触するとき、大きな振幅は先端をサンプルに固定しがちである凝着力から自由にするためにサンプルから十分に遠い先端へと引き離す。 先端とサンプルの断続的な接触は、断続的な接触力と比例した量により、振幅を減らす。 フィードバックループはサンプルのz高さを調節するために用いられ、それは振動している先端が表面の上で走査するのと同様に振幅の減少を一定に保つためである。 断続的な接触方法は接触イメージングよりも少ないダメージの反発接触力を引き起こす。 一方で、引力イメージングより高い解像度を成し遂げることができる。

図2.7 光鏡AFMの図式。 片持ち梁の通常そして側面の置換は、片持ち梁の曲がっている角度を測定するために、四分割フォトダイオードの上に片持ち梁からレーザービームを反射することによって決定される。

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