第10回英文輪読06月22日

'飯詰'訳

 完全な凝着は、表3.10(a)に示すように、大きな「盛り上がり」をもたらす。ここでのμ、タンジェント方向と垂直方向の比率は1に近い。凝着0(表3.10(b))ではもっと小さな「盛り上がり」が形成され、基質における塑性ひずみはより小さく、摩擦係数は、前の章で(等式(3.12))検討された単純平面ひずみの掘り起こしモデルのように (3.26) で与えられる。

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'伊藤'訳

 この理論で使用されている手法は、ボーデンとテイバーによって分離された接着と鋤の2つの影響をより簡単な図で1つのモデルに統合する点で魅力的だ。この理論は、界面がバルクのせん断強度よりも小さい剪断強度を有することを考慮することによってさらに発展させることができ、界面膜の効果を処理することができる。

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'佐藤'訳

 図3,11はこのモデルから生じた結果を表している. 一般的な突起の角度(α>80°)において,その定性的な写真は図3.9の写真ととてもよくにている. 高い値のμは予測される,τi=τoに急速に落ちると,境界面が弱くなるにつれて. この場合,しかしながら,少し残っている摩擦の掘りおこし部分がある,たとえ境界面が全く強度をもっていなかったとしても.

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'竹島'訳

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'津守'訳

 摩擦の全ての量的議論において、正確なμの値はその計測をしている実験条件に決定的に依存していることを念頭においていかなくてはならない。表3.1の数字の有用性は絶対値よりも相対的な大きさにある。場合によっては、下記の例に示すように、摩擦係数は条件に非常に依存しているため、一つのμの値を引用することは大きく間違っている。私達はそのセクションにそって表3.1にあるμの値が基礎となっている理由について考察していくだろう。

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'平久江'訳

 もし金属が高真空できれいにされ、そこで接触していたら、強い凝着がたいてい観察されるだろう。 表面はそれらがくっつくためには原子的にまできれいである必要はなく、単に真空内で熱することは吸着した気体を払うためでよく十分である。 これらの状況下での摩擦係数はとても高い値にあり、典型的に2から10あるいはそれ以上で、滑り試験の時によく全体の焼き付きが続く。 強力な金属接着は接点を通って変形し、表面が引きはがされるとき、金属はある物質からそのほかの物質へと移される。 微小あるいはまったくの界面汚染が起きると、接合増大の広がりが突起金属の柔軟性のみで制限される。 摩擦係数はそれゆえにとても高い。 超高真空状況下での滑り摩擦は宇宙工学で起こり、そして特別な測定が過酷な環境で作用する滑り構成の設計が適用されなければならない。 固体潤滑と薄く柔らかい金属フィルム(項4.7)は貴重な保護を供給できる。

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'渡辺(紘'訳

大気中の同一金属 最も実用的な適用において、大気中で金属が互いにすべる。摩擦係数はそのとき、真空中よりずっと低くなり、摩擦係数は無潤滑すべりの場合、一般的に0.5~1.5の範囲になる。表3.1(a)はいくつかの代表的なμの値を記録しているが、しかし、覚えておかなければならない。摩擦のふるまいは、しばしば著しく、金属の成分や微細構造および、測定条件に依存する。

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'渡邉(陽'訳

 金は、記録された金属の中で特にμの値が高い。  吸着された気体は空気中に存在するが、酸化膜は形成しない、それゆえに接合突起は強い傾向があります。  金は延性があり、かなりの接合突起が起こり得る。  これらの両方の要因が高い摩擦力に寄与する、けれども高真空で見られるほど高くはない。

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'淺田'訳

 他のすべての金属は,ある程度空気中で酸化し,数分以内に原子的にきれいな表面に通常1〜10nmの厚さの酸化膜を形成する.これらの膜は摺動挙動を決定する上で重要な役割を果たす.というのは,酸化物表面間または,酸化物とベアメタルとの間の摩擦は,ほとんど常にベアメタルの表面間の摩擦よりも小さいからである. ※ベアメタル:露出金属面

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'飯詰'訳2

 グラフ3.12は純鉄の滑り摩擦での酸素の影響を示している。高真空では、強い凝着と焼きつきが起こる。高い摩擦係数だが、酸素の小さい圧力のみによる吸気は滑りを可能にする。より多くの酸素がシステムに吸気されるとき、μの値は、最終的に普通大気圧下で測定される値まで下がる。

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'伊藤'訳

 しかし、摺動中にフィルムが浸透すると、摩擦緩和における酸化皮膜の効果がある程度破壊される可能性がある。図3.13に、銅の場合の一般的な動作を示す。 低い通常荷重では、酸化膜は2つの金属表面を効果的に分離し、真の金属接触がほとんどまたは全くない。界面の電気抵抗が高く、スライダによって形成された跡は滑らかで磨かれているように見える。おそらく酸化物が低剪断強さのフィルムとして作用するので、摩擦係数は低いが、その低い延性は接合部の成長を制限する。通常の負荷が増加すると、μのより高い値への遷移が起こる:この実験では、銅の場合、0.5未満から1.5より大きい。 スライダのトラックは、金属の移動の証拠を伴ってかなりの表面損傷を示し、コンタクトの電気抵抗は低くなり、銅凹凸面間で金属接触が起こっていると推測されます。

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'佐藤'訳2

 この種の転移は他の金属でも共通しておこるが,μの変化は銅のように大きくならない. アルミニウムにおいて,たとえば,μは一般的に増加するおよそ0.8からおよそ1.2まで,酸化膜が壊れることにつれて. カドミウムはμはほとんど変わらない,電気抵抗の測定は絶縁膜が低い荷重で存在することを確認する.それは高い荷重が衰弱したもの. これらのすべての場合において,酸化膜に覆われてることで表面が分離したとき,摩擦力は本質的には酸素の表面で測定されている. より高い荷重では,表面膜はゆがみ,破損することで,真実の金属の接触面が現れることを許す.そして摩擦力はしばしば(いつもとは限らない)上昇する, 予想されるように,これら2つの状態と関連のある摩耗率は,著しく違う,そしてそれらはチャプター5でさらに進んで話される.

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'竹島'訳2

 いくつかの非常に柔らかく延性のある金属、特にスズとインジウムの場合、最も軽い荷重でも表面間の金属接触が起こり、結果的に摩擦係数が高くなり、負荷によって著しく変化しません。 ここで、形成されているが、酸化物膜は、やわらかい基板がほとんど機械的な支持を提供しないので、容易に貫通される。 そのほかの極端なふるまいとしては、 クロムは、薄いが非常に強い酸化膜を形成し、(電気抵抗測定によって決定されるような)金属接触なしの広い範囲にわたっての負荷および一定の低い摩擦係数を示す。

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'津守'訳2

 要約すると、潤滑されていない空気中の純粋な金属の滑り摩擦は表面の酸化物の存在によってしばしば決定されるということである。もしその酸化膜が滑り摩擦中に壊れなかったとすると、表面損傷はわずかでその酸化物自体が摩擦係数を決定する。その摩擦係数の値はよく(しかしいつもではない)酸化膜がはがれたところや突起間で起きる金属接触のような比較的高い荷重のところよりは低くなる。そのような状況ではひどい表面損傷と急な摩擦は起きます。いくつかの金属では、酸化膜コーティングは広範囲の負荷にわたって保持されるため、遷移は生じないが、酸化膜は非常に軽い圧力でも貫通し、接点は常に金属接触である。

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'平久江'訳2

 酸化フィルムもまた空気中で摩擦の違う金属と合金において重要である。 一般的に、合金の摩擦係数が純金属の摩擦係数よりもより小さい傾向がある。 鉄の滑り摩擦は広く研究されてきており、μは構成と微細構造の両方を変え、そしてよく荷重にもまた依存する。 図3.14は典型的な作用を示している。

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'渡辺(紘'訳2

 炭素含有量0.4%の鋼における実曲線は、低負荷では相対的に高いμの値から、高負荷ではより低いμの値へ変化していることを示している。その変化は、鋼の表面上に表れる酸化物の層状構造物が原因で起こるといわれている。その最上の層はFe_2 O_3であり、同時に、この層の下にFe_3 O_4や、最終的に、金属に接しているFeOの層が存在する。このモデルについて言えば、その変化はそうすると、より高負荷でのFe_2 O_3層のめり込みが原因で起こる。その他の鋼はそのような著しい変化は見られない。つまり、図3.14の折れ線(炭素含有量のより少ない鋼の方)は一般的に観測されるふるまいを説明している。

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'渡邉(陽'訳2

 合金の摩擦挙動に対する微量成分の影響を表面偏析の結果として顕著にすることができる。  鉄中のアルミニウムは、例えば表面に偏析し、真空中で摩擦係数を増加させる傾向がある。  しかしながら表面の酸化は摩擦の低下を促進させるアルミニウム酸化物の層を発生させる。  表面偏析の影響は複雑である。しかしその合金の成分の構成の比較的小さな変化で摩擦特性の変化方法を与えることができる。

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'淺田'訳2

 表3.1(b)は低炭素鋼に対し摺動する様々な合金のμの代表値を示す.特に有鉛のα/β黄銅(銅-亜鉛),灰色鋳鉄や銅-鉛のような合金は特に低い摩擦係数を示すものとして目立つ.全て3つの場合の理由は同じであり,全てが低せん断強度の薄い界面膜の相を含む.鉛黄銅および銅-鉛は,いずれも金属鉛の分散体を含み,母体相にはほとんど溶解しない.摺動すると,表面上に鉛の薄く弱い膜が形成され,結果として式3.24に示されたメカニズムによりμの値が低くなる.灰色鋳鉄では低せん断強度膜は黒鉛成分によるものである.(セクション3.7参照) 保護酸化物層の形成に依存しない鋼に対する乾式摺動における本質的に低い摩擦係数を有するこれらの合金は,幅広い工学的用途を有する.銅-鉛および鉛を含む他の銅系の合金はジャーナル軸受に使用されているが,灰色鋳鉄の良好な摩擦特性は低コストや,重い工作機械のツールスライドウェイのような用途に適した減衰能力の魅力を増す.伝統的な軸受合金であるスズ系および鉛系のホワイトメタルは鋼に対して本質的に低い摩擦係数を有しないことは注目に値する.(表3.1(b)) 9.3.2項で述べるように,他の要因がこの目的のための適合性を決める.

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