第11回英文輪読07月06日

'飯詰'訳

 滑っている金属の温度が上昇したとき、いくつかの影響がおこる。機械的性質が変わり、酸化速度が上昇し、相変態が起こります。これら全てが、摩擦作用に影響を及ぼします。

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'伊藤'訳

 図3.15は、3つの一般的な結晶構造の金属の超高真空におけるμの測定結果を示し、塑性変形挙動に及ぼす温度の影響が測定された摩擦係数にどのように影響するかを示している。 立方体の最密充填体と体心立方体の金属の両方において、摩擦の遷移が生じる。 c.c.p. 金属は、加工硬化速度の著しい変化(低温でより高い)に関連し、b.c.c金属では延性 - 脆性遷移と一致する。

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'佐藤'訳

 六方最密構造の金属は,この範囲を超えた温度での摩擦において摩擦力に変化は見られない,一方で,それらの機械的特性は大幅には変わらない,しかし,個々の金属の延性とそのμの値の間にははっきりとした相関がある. チタニウムとジルコニウム,(かなりの延性があるが),は面心立方構造の金属における摩擦挙動と似ている,一方で,ベリリウムとコバルト(これらの延性は制限がある,これらの金属の低い温度で操作される少ない数のすべり系によって)は低い値のμをしめす. これらの実験では,(界面膜の影響がある場所はゆっくりと除外される,真空で行われることで),接触点においてμは大部分が金属の延性によって決定されることは明らかである. 一般的に,金属の延性が上がれば,μの値もあがる.

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'竹島'訳

 金属が空気中で加熱されるとき、その酸化速度は増し、酸化膜の厚さ、ひょっとすると性質もまた変化するだろう。 このことは、摩擦が温度によって変化する第2の機構が提供される。

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'津守'訳

 図3.16は純ニッケルに対するオーステナイト系ステンレス鋼の摺動についての効果を示しています。温度が上昇するにつれて、その金属の延性の上昇はμの安定した上昇を導きます。突然750℃になるまでニッケル上に酸化ニッケルの薄膜を形成して、その摩擦はより低い値に急激に減少していく。冷却中その酸化物は突起へと分離し続け、そして低摩擦は低温度まで維持される。同様の挙動は鋼でも一般的に観察される。表面のFe3O4の層はFe2O4よりも低い摩擦係数を与える。形成される主な酸化物は温度と合金の組成、気相によって決定される。ガス-固体反応によって形成されるほかの表面膜は適切なシステムで摩擦挙動を変化させる可能性があります。例えば、塩素はたくさん金属と反応する。その結果塩化酸化膜は摩擦を減少することができる。

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'平久江'訳

 材料の機械的特性の影響を通した相遷移は摩擦の大きな変化の結果になる。 最も猛烈な効果は融解による効果である、金属が融点に近づくにつれその強度が急速に低下し、そして温度拡散とクリープ現象がより重要になる。 接点における凝着と延性の増加による結果は摩擦の増加を導く。 ある滑り表面が実際に溶けるとき、しかしながら、それ故にせんだん力を失い、摩擦力は液相の粘性力によって決定づけられた低い値へと落ちる。 このことはとても速い滑り速度(一般的に>100ms^-1 図3.17)の金属の滑りと氷や雪を滑るスキーにも起こる。 これらの両方の場合において、摩擦仕事の消失は接点の温度を融点に上昇させるのに十分な局所熱を作り、そこでの滑りは流体潤滑(項4.4)に効果的な状況下で行われる。 低い滑り速度、あるいは十分に低い周囲の温度においては、溶化薄膜は形成されずそして摩擦は固体表面の相互作用に支配される。

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'渡辺(紘'訳

 固相変態も摩擦に影響を及ぼす。図3.18は温度に対するコバルトの摩擦変動を表している。コバルトは低い温度での最密六方構造から、かなり緩やかな変態(平衡温度417℃)をする。最密六方構造は限られた滑り変形をするが、面心立法構造は良く延びる。面心立法構造の摩擦係数は高く、反して、最密六方構造の摩擦係数は低い。摩擦のふるまいの変化というのは、変態に関する平衡温度より低い周囲温度で始めて観測され、その理由は、摩擦熱が局部的に海面温度を上昇させるためである。

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'渡邉(陽'訳

 スズは異なる多形変換を示す金属であり、また摩擦の変化を導く。図3.9で示される。  13℃以下の温度変化の灰色スズ(ダイアモンド構造の立方体)では安定同素体、一方13℃以上での白色スズ(体心正方晶)は安定している。  図3.19で示されているμの変化は温度によって完全に可逆的です。  少量のビスマスをスズに加えると白から灰色の同素体に変化するのを抑える。それゆえにスズビスマス合金の摩擦係数は温度によって変わらない。

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'淺田'訳

 金属における摩擦に影響を及ぼす相変態の別のクラスは秩序-無秩序変態であり,多くの合金系で起こる.Cu3Auの銅-金合金が研究されている.(Fig. 3.2) 低温でCu3Auは長距離立方構造を有し,390℃で秩序-無秩序変態が起こる.機械的特性は変態とともに著しく変化する:弾性率と硬度の両方が規則的に増加し,図3.20からわかるように,摩擦の顕著な減少もある.

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'飯詰'訳2

 トライボロジストにとってもっとも興味深いセラミック材は、いわゆるエンジニアリングセラミクスであり、それは低密度とすばらしい機械性能(例えば高い強度、硬度、剛性)を高温まで兼ね備えている。エンジニアリングセラミクスのよくある例はとして、窒化ケイ素(Si3O4)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(立方体つまり正方晶のZrO2)が挙げられる。これらの材料は名目上純粋なものだが、これらは普通添加剤を含む、その添加剤は成形過程を助けるために少量(例えば焼結助剤)、もしくは合金添加剤としてかなり多くの割合でのどちらかで存在する。セラミック剤が別材料の基盤に薄いコーティングとして利用されることにも、考慮できる面白さがある。特にちっ化チタン(TiN)とダイアモンドはこのように使われるとき、魅力的な摩擦特性を持ちます。

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'伊藤'訳2

 エンジニアリングセラミックスと金属の機械的挙動の主な違いは、原子間力の異なる性質から生じる。金属結合よりもセラミックス中でイオン性または共有結合性である。MgOやAl 2 O 3のようなセラミックスのイオン結合は、一般的な塑性ひずみに対応するために必要な5つよりも少ない転位のために利用可能な少数の独立したすべり系のみを有する結晶構造をもたらす。

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'佐藤'訳2

 

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'竹島'訳2

 エンジニアリングセラミックスについて報告されたμの値は、典型的な幅広い変動が見られる。それゆえ、特定の材料の代表的な摩擦係数でさえ状態に誤解を招くだろう。 環境要因がこの変動の良い部分の原因です。 化学的不活性の評判にもかかわらず、ほとんどのセラミックスの表面は、表面膜の形成をもたらし、摩擦挙動を変化させる摩擦化学反応を受け易い。 これらの反応は、同じ大きさの温度で自由表面よりすべり接触ではるかに迅速に起こる。 突起接触点での局所の高い引火温度が(5.5節でさらに論じられるが)、摩耗過程による原子的にきれいな表面の暴露、および反応の直接機械的刺激(例えば、突起接合またはひび割れの非常にひずんだ領域) はすべり接触時に表面反応を加速させることができるすべての機構である。

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'津守'訳2

 空気中の酸化物のないセラミクスには通常なら摺動面に酸化膜を形成する。例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化チタンは空気中または水蒸気中からの酸素と著しく反応したことが摺動後に全て発見された。酸化セラミックスは液体または蒸気であったとしても水と反応するだろう。例えば、アルミナとジルコニウムの両方とも湿った空気中で摺動面に表面水和物の層を形成します。酸化物のないセラミクスの場合、酸化に続いて水和が行われ、湿潤空気中の窒化ケイ素上に形成される表面膜の性質は、両方の反応によって制御される。

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'平久江'訳2

 これらのトライボケミカル反応は摩擦における大気構成に影響する役割を果たしそれは共通してセラミックで観察される。 例えば、図3.21はどのようにμの値が乾いた窒素ガス、湿度が異なる二つの空気、液体の水の中で自身に対して滑るシリコンニトリドにおける得られる水の増加とともに低下することを示す。 上で略述した反応は界面におけるシリカフィルムの構成と水和で導き出され、それのせんだん強さの低下とそれ (せんだん強さの低下) によって摩擦係数が減少する。

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'渡辺(紘'訳2

 あるセラミックにおいて、表面膜の硬化はとても著しいことがあり、ダイヤモンドやチタンの窒化物は良い例を与える。それらの2つは、真空中のなかを同一材料同士で滑る際に、高い摩擦を示す。ダイヤモンドに関しては、清潔にした後、繰り返し真空中で滑らせても摩擦係数μは1にまで達する。しかし、大気中では、ずっと低い摩擦が測定され、ダイヤモンドにおいては、μは0.05から0.15であり、チタンの窒化物においては、普通、0.1から0.2である。著しい表面酸化は、チタン窒化物において報告されてきており、それは、大気中の低い摩擦に関する原因であるように思われる。しかし、ダイヤモンドにおいては、表面改質は反応性生物の形成というよりはむしろ、気体の吸収が原因であることがよりありえそうである。大気中のダイヤモンドの、とりわけ低い摩擦係数は、吸収されたよごれが存在している状態での表面間での、とても低い凝着力が原因である。それには、その他の散逸過程による寄与も伴っており、恐らく、とても細かなスケールでの突起接触における塑性変形である。

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'渡邉(陽'訳2

 表面科学反応と同様に、セラミックスの摩擦において重要な第2の要因は、摺動面での破壊の範囲である。  我々は材料の摩耗を検討する際に見るように、いくつかの条件の下での広範囲の脆性破壊は、接触領域で発生する。多結晶セラミックではしばしば粒界破壊であるが、より厳しい条件下では粒内破壊である。破壊の発生は摩擦の増大を導く、これは、エネルギーの散逸のための追加メカニズムを提供するからである。

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'淺田'訳2

 硬く鋭いピンやスタイラスが摺動するような集中した接触では破損が容易に生じる. 例えば,図3.22はダイヤモンド円錐を炭化ケイ素の単結晶上でスライドさせたときの実験結果を示している.低負荷では,炭化ケイ素の塑性溝が生じ,破損は生じなかった.μの値は比較的低かった.荷重が増加するにつれて脆性破壊が摺動痕の周りに生じた.これは図6.15に示されるものと同様であり,より高い摩擦係数である.

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