第12回英文輪読07月13日

'飯詰'訳

 大気組成、温度、加重、滑り速度、セラミクスの摩擦の滑り時間の影響は通常、トライボケミカル表面膜の変化の点と、接触範囲における破断範囲の点から解釈される。加重と滑り速さの両方は摩擦エネルギー損失の割合にも影響を与え、それゆえに接点の温度にも影響を与える。十分に高い温度では、ほとんどのセラミクス材では増加した塑性が起こり、摩擦作用に影響を与える。これらの要因の影響は、大きくすることができる。例えばグラフ3.23はアルミナとジルコニアの、空中で同じ材料同士のペアが滑っているときの温度ごとの摩擦係数の種類を示している。初めに見られる温度による摩擦の上昇は、接点からの吸着水の除去に起因する。

▲PAGE TOP

'伊藤'訳

 トライボケミカルプロセスへの界面温度の影響は、しばしば多くのセラミックシステムで一般的に観察される滑り速度との摩擦の変化に関与しているとも考えられている。図3.24は、自己噛み合いスライディングにおける窒化珪素と炭化珪素の代表的な結果と、 アルミナおよびジルコニアにおいても報告されている。臨界摺動速度を超えると、破壊の開始が摩擦および摺動摩耗率の急激な増加と一致する窒化ケイ素の場合、図5.31に見られるように、破壊が重要な役割を果たすこともある。

▲PAGE TOP

'佐藤'訳

 層状構造のいくつかの物質は,特定の状況下で低い摩擦力の値を示す, したがってそれらは個体潤滑剤として重要である. この用途はセクション4.7で詳細に考察される. これらの材質のうちで主要なものはグラファイト(炭素の同素体)と二硫化モリブデン(MoS2),これらの構造は図3.25で表される.

▲PAGE TOP

'竹島'訳

 いずれの場合も、構造の層内の原子間の結合は共有結合で強く、層間の結合はかなり弱い。 黒鉛では、面間結合は主にファンデルワールス力に由来し、炭素原子のπ電子軌道間の相互作用から生じる弱い共有結合の原因によるものである。 面内結合エネルギーは、層内の原子間のエネルギーの約10分の1から100分の1である。 二硫化モリブデンにおいて、硫黄原子の層の間の結合は、ファンデルワールス力によるものであり、黒鉛よりもかなり弱い。 両方の材料は、機械的および物理的特性において強く異方性であり、特に、他の方向よりも基礎面(すなわち、原子平面に平行)におけるせん断変形に対してかなり抵抗力が低い。

▲PAGE TOP

'津守'訳

 グラファイトと二硫化モリブデンの両方の低摩擦は層状構造と弱い面間接合のことと関連しているが、決して類似の構造を持つ全ての化合物が低摩擦を示すわけではない。したがって、その低摩擦の値はそれらの要因のみに起因するものではない。

▲PAGE TOP

'平久江'訳

 空気中で黒鉛やそのほかの材料に対する黒鉛の滑り摩擦力は低く、一般的にμ≒0.1である。 もし黒鉛の表面が滑りの後に電子回析によって試験されると、基礎層平面は界面の平面に5°のオーダーの誤整列でほぼ平行になっていることがわかるだろう。 黒鉛の摩擦は周囲の大気の特徴に強く依存する。 真空あるいはドライ窒素では、μは一般的に空気中よりも十倍凄く、そしてこれらの状況下で黒鉛はすごく早く摩耗する。ガスと蒸気の管理付加は低摩擦と黒煙の摩耗が酸素、水蒸気、あるいは凝縮蒸気の存在によるものだと明らかにする。

▲PAGE TOP

'渡辺(紘'訳

 図3.26はグラファイトの、いくつかの気体の分圧変化に対する滑り磨耗率の影響を説明している。酸素は水蒸気に似た影響を示すが、分圧は焼く100倍大きい。図3.27(上側の曲線)は、グラファイトの摩擦係数が気圧の減少に伴って、どのように劇的に変化するのかを示す。グラファイトのふるまいにおけるいくつかの特徴はまだ、よく理解されていないけれど、ある分子の吸着が摩擦係数の低い値になくてはならないことは明らかである。グラファイトの平面における、グラファイトの薄板間の摩擦はいつも低いように思われる。つまり、薄板は低エネルギー面で、凝着がほとんど起きていないことを示す。しかし、薄板の端は高いエネルギーを持つ場所で、ほかの端、あるいは薄板と強く結びついている。滑り摩擦において、一部の端は常にさらされるため、真空中のグラファイトの摩擦は高い。凝縮された蒸気は摩擦を低くする。それは、高いエネルギーをもつ端に選択的に吸着し、結合を飽和させ、凝着を減らし、それゆえに摩擦を減らす。低い密度の吸着分子だけで、この効果を生み出せる。

▲PAGE TOP

'渡邉(陽'訳

 グラファイトと違った二硫化モリブデンは本質的には低摩擦係数を示す。  図3.27ではどのようにして摩擦が気圧に依存しているかを示している。すなわち二硫化モリブデンは大気ではμの値は低く示され、それに対してグラファイトの反応は真空中でさらに低く落ちる。  二硫化モリブデンに凝縮蒸気を加えることによって摩擦係数を増大させる。  グラファイトのように二硫化モリブデンは摺動面に配向膜を形成する。層は表面に平行に整列する傾向にある。表面の微結晶結合はサンドウィッチ構造の結果から、薄板の内部分裂によって促進される。  0.1以下の摩擦係数は一般的に基底面どうしをスライドさせることによって見つけ出せる。エッジ方向の微結晶体が基底面に対してスライドすることによって、μは二、三倍大きくなる。 二硫化モリブデンの低摩擦係数の実験的観測から、それゆえに、スライドすることによって生み出される強い配向膜や、元々の低粘着そして、二硫化モリブデン構造の基礎的な層間のせん断強度に起因する。

▲PAGE TOP

'淺田'訳

 ラメラ構造を有する多くの他の化合物が存在する.滑石,二硫化タングステン,フッ化黒鉛,塩化カドミウムおよびヨウ化鉛のようなものは低摩擦を示し,固体潤滑剤として潜在的に有用である.これらは黒鉛および二硫化モリブデンの潤滑剤としての実用化とともに4.7章でさらに議論される.雲母や水酸化カルシウムなどのほかの物質は,低いμの値を示さない.

▲PAGE TOP

        

'飯詰'訳2

 ポリマー同士の接触、もしくはポリマーと金属、はしばしば、主に弾性的である。この重要な点において、ポリマーの摩擦は金属のそれとは異なる。2.5.3章で見たように、比E/H(Eはヤング率、Hは物質の硬さ)は、式2.16によって、接触範囲における塑性範囲を決定する;表面地形も重要である。金属ではE/Hの値は一般的に100かそれ以上、一方でやわらかいポリマー(例えば低い率のもの)のE/Hは約10しかない。やわらかいポリマーの塑性指数ψ(2.5.3章参照)はそれゆえに金属の値の約十分の一しかなく、そしてそれゆえに接触は粗い面であるものを除いてほとんど完全に弾性である。これに当てはまるポリマーはポリエチレン(高密度のものはHDPE、低密度のものはLDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、エポキシ樹脂を含んでいる。多くのゴムは弾性的に接触する。

▲PAGE TOP

'伊藤'訳2

 ポリマーの摩擦に重要な役割を果たす第2の要因は、その機械的特性の強い時間依存性である:ほとんどのポリマーは粘弾性であり、ひずみ速度での流動応力の顕著な増加も示す。

▲PAGE TOP

'佐藤'訳2

 ポリマーがポリマー,金属,セラミックに対して滑るときの摩擦係数は一般に0.1から0.5の範囲の間にある,しかしながらこの範囲外の値も見られる. これらの物質では,アモントンの法則が広く適用されない,μは多くの値をとる,垂直荷重,滑り速度,そして温度によって. なので特定の物質の摩擦係数のリストは,価値がない

▲PAGE TOP

'竹島'訳2

 金属のようなポリマーの摩擦は、2つの原因に起因する可能性がある:(局所的な接触領域のまわりのかなり大きな体積におけるエネルギーの散逸を含む変形項)と(滑動部と対抗面間の界面から生じる粘着項)。 これらの2つの摩擦源が生じる領域では、ポリマー表面上に硬い突起を摺動させるための図3.28で示されている。 金属の場合、摩擦の変形成分と接着成分との区別は幾分人工的であり、そして多くの状況下では明確な区別はなされない。 しかしながら、いくつかの実験およびいくつかの実用的な利用では、1つの項が支配的であり、単独で試験することができる。

▲PAGE TOP

'津守'訳2

 次の二つのセクションではそれらの理論からポリマー摩擦への寄与について考察していく。最も実用的なポリマー摩擦の応用方法ではポリマーが剛性の高いカウンター面に対してスライドするため、この状況に集中する。我々の議論はまた他のポリマーと摺動するポリマーの場合にも応用できる。

▲PAGE TOP

'平久江'訳2

 私たちは凝着を除くことによって摩擦の変形する構成を分離することができ、このことは硬い球や円筒を界面の凝着を減らすために潤滑処理されたポリマー表面で転がすこと、あるいはよく潤滑された状態でスライダーを引っ張ることによって効果的に達成できる。 図3.29は転がりの場合を説明している。

▲PAGE TOP

'渡辺(紘'訳2

 転がり摩擦に対する抵抗力は、球体下のポリマーの大部分におけるエネルギー散逸から生じる。そして、それは念弾性反応の直接的な結果である。図3.29の球が右方向に転がるとき、ポリマー要素がその軌道内で、段々と変形していくが、一方で、後ろの要素は元の形状を取り戻す。個々の要素は、シーケンスABCDEで説明される変形周期を経験する。念弾性材料において、エネルギーはこのサイクルの中で熱として散逸させられるだろう。つまり、摩擦力は、力によって動かされた距離の、単位あたりに散逸したエネルギーに等しいだろう。

▲PAGE TOP

'渡邉(陽'訳2

 もし全エネルギー入力の端数βが散逸するならば(例 端数(1-β)は機械的に回収される)、垂直荷重W下で回転する球の半径Rについては、摩擦力は3.27式で与えられるだろう。  ここでのνはポリマーについてのポアソン比であり、Eはヤング率の実数部である。回転する球ではなく、半角αの円錐円筒の良好な潤滑状態の摩擦力は3.28式で示される。

▲PAGE TOP

'淺田'訳2

 球または円錐による変形の場合,βは純粋なせん断変形の単一サイクルで失われるエネルギーの割合(損失係数α)の約2〜3倍である.また,転がり接触または摺動接触下でポリマーが受ける変形のより複雑なサイクルを反映する.αおよびEの値はポリマー中の負荷周波数および温度によって変化し,別々の実験においてFdefから独立して測定することができる.

▲PAGE TOP

<< PREV NEXT >>